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Xtra1 ❲その名はアスト❳

遥か遠い昔、とっても大きな龍が地球を二分し、それぞれの地球に歴史や文明が生まれ、生活しているって、わたしの大好きなおじいちゃまが言ってた。


それでわたしが住んでいる地球は龍地球と呼ばれてて、大きな龍の亡骸が大地になってそれが五つの大陸になったって伝えられてる世界に住んでいるの。


わたしの名前は、キャル・ディザー・アールド。十六歳の女子で、この王国……、アールド王国生まれの一応、王女なんだよね。で、おじいちゃまがこの王国の王様なんだ。


七十歳になるおじいちゃまは今も健在で、ガチガチの筋肉のマッチョな王様で、わたしにとって唯一の身内。わたしはおじいちゃまが大好きです。


と、まあ、そんな話しは置いといて、わたしは今、アールド城の中に居る。


アールド城の特徴は、大陸一の城下町真ん中に聳え立つ中世のお城と、大艦隊のような鋼鉄を二分したような造りの大きな大き過ぎるお城。


そんなお城の一室に、わたしとわたしの幼なじみである男子が居る。


その男子は周りをキョロキョロ見ながら、落ち着かない仕草を見せていた。


男子の名前は、アスト・シーア。物心ついた頃からの縁で、彼の特徴は黒と茶の交ざった髪、てっぺんにアホ毛、170センチの身長、イケメンなんだけど残念なキャラなんだよね。


どう残念かって言うと……


「よし、誰もいない。キャル、ボクの話しを聞いて」


アストははにかみながら、わたしを見つめる。わたしはまた始まったと感じため息を吐いた。


「ボクはキャルが好き!世界中で一番好きなんだ!」


アストは赤面しながら、わたしにいつもと同じ告白をする。


もうアストの告白って何百回目?毎日、挨拶のように告白してくるから、またなのね、ハイハイ……って感じで受け流してんだ。


アストの残念なとこは、思った事をすぐ口にする。あとちゃらんぽらんだから、真実味がない。


まあ、良くも悪くも根が正直ってところかな?


「ハイハイ、いつもありがとうね。わたしもアストの事、好きだからね」


わたしは笑顔で返答すると、アストは無邪気な笑顔を見せた。


「それより、アスト。おじいちゃまがあなたを呼んでたよ。また何かやらかしたの?」


「え~!ボク何もやらかした覚えないよ?」


わたしの言葉にアストが全力で嫌な顔をした。


ホントに嘘つけない性格だね。露骨におじいちゃまに会いたくない表情をしているから、思わず笑っちゃった。


「ふふふ、やらかしたってのは冗談よ。何故かわたし達、六人も呼ばれてんだよね」


「六人ってアイツらも?」


アストは苦虫を潰した表情を見せた。アストにとれば他の四人が苦手なんだよね。同じ幼なじみでいつも一緒なのに……





アールド城の謁見の間は天井、壁がステンドグラスで覆われたまるで教会のような造りの大きな場である。

その奥には煌びやかな宝石、黄金で装飾された玉座があり、玉座の主を護る為に玉座の両側の騎士隊長と宮廷魔術師の女性、そして壁際に十人の騎士が居る。


玉座の主は、言わずと知れた国王ルイ・ディザー・アールド、わたしのおじいちゃまである。


「おお、余の可愛い可愛いキャルや」


白髪白髭の筋肉ガチガチのいつも怖い表情のおじいちゃまが、わたしとわたしの女友達だけにしかしない笑顔でわたしを迎える。そしてわたしの隣に居るアストを軽く睨み付け、再びわたしに微笑む。


「なんだよ!呼んだのはじいちゃんじゃないかよ!なんなんだよ、その態度は!?」


アストがおじいちゃまに怒ると、鋼鉄の武具を羽織った騎士の方々がため息を吐く。


わたしもまた始まるのねって思いため息を吐いた。


「ふん!貴様の顔など見たくはないが、仕方なく呼んだのだ。バカアストめ」


「カッチーン!バカって言う方がバカなんだって、じいちゃんが昔、ボクに言ってたよね?だからじいちゃんの方がバカなんじゃない!?」


「叩き斬るぞ!この小わっぱがーーっ!」


おじいちゃまが懐の剣を抜き、アストに構えると、アストも懐に収めていた剣に手をあてる。


「また、始まった……」


騎士隊長の呟きと宮廷魔術師のため息が、広い謁見の間に響き渡り反響する。


おじいちゃまがアストに突進すると、アストは剣を抜き、おじいちゃまの剣を捌く。ぶつかり合う剣が火花を飛ばし、謁見の間が激しく響く。


「もう、いい加減にしてよ!おじいちゃまもアストも!」


わたしが怒ると、アストもおじいちゃまも一瞬だけ、わたしを見て微笑む。


「あ~!何、ボクのキャルに微笑んでんだよ!」


「誰が貴様のキャルだ!?このバカアストめ!いい加減本気で叩き斬るぞ!」


凄まじい剣劇の中、アストとおじいちゃまの喧嘩を見て、毎回毎回、同じ事の繰り返しで誰もこの喧嘩を止めに入らない。まあ、この二人を止めれるのは、騎士隊長のセレケさんか、宮廷魔術師のレティスさん位。でも、この二人がアストとおじいちゃまの喧嘩を止める事はない。


いつも止めるのは……


「もう、も…う、いい加減に、してよね……ぐすっ……」


わたしが涙目になると、騎士の方々がたじろぎを見せ、セレケさんとレティスさんが耳を塞ぐ。


「もうアストもおじいちゃまも大嫌いっ!うわわわわん!!」


わたしが泣き出すと、アストとおじいちゃまが剣を止める。


「そんな、キャル……、おじいちゃまを嫌わないでおくれ……」


「あ~!またボクのキャルを泣かしやがって!じいちゃんなんか嫌いだ!」


泣くわたしにおじいちゃまが真剣に落ち込み、アストが怒るが、おじいちゃまは戦意を喪失し、喧嘩が終わる。


いつもこうして喧嘩が終わるんだけど、わたし、泣き虫だからちょっとやそっとでは泣きやまないだよね。


「あらら、また泣いてんのキャル?」


「いい加減二人ともしょうもない喧嘩してっと、おいらが斬るぜ」


「よしよし、キャル……、じいさんにバカアスト、アタイのキャルを泣かし、生きていられると思うなよ!」


「……アストもじいじいも死ねばいいのに…………」


突然、わたしの前に現れた二人の男子と二人の女子が泣きやまないわたしを慰めに来た。


この四人もわたしとアストの幼なじみで、わたしの大事な大事な友達なんだ。


ただ、アストもおじいちゃまもこの四人の事、苦手みたいなんだけどね。


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