表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/242

第7話 この部屋の中も調べてみよう

 それにしても……文字で全てが解決するなんて、思ってみなかった。

 文字が、こんなに無敵だったとは。

 とんでもない万能感。

 ……使い方さえ間違えなければ、だ。


 もしかしたら飛んだりできるのでは? と思ったが、見たこともやったこともないことはできないようだ。

“理屈を知っている事”……が前提なのかも。

 確かに、人が飛んでる所なんて見た事はないし、そうできる理屈もわかんないよね。

“経験則に基づく”なのかもしれない。


 でも、今はそんな事、できなくてもいい。

「……俺、ここで生きていけるかもしれない……」

 食い物も水もある。

 出せる。

 医療品も、雑貨も、ありとあらゆる生活用品も。

 そして、ゴミも始末できる。

 火もおこせて、灯りも確保できる。


 ……問題は住む場所と、この世界の人間達との共存ができるか、だ。


「……この小屋があるって事は、これが作れる人間がいるって事だ」

 テーブルも椅子も身長・百七十四センチの俺が座って、ちょうどいいサイズだ。

 この世界の人間の大きさも、こんなものなんだろう。


 この棚には、何が入っているんだろう?

 上の開きの扉から開けていく。

 いくつかの瓶と、食器……だろうか。


 瓶の硝子は不透明で、日本のものよりは不純物が多そうだ。

 気泡も入っている。

 コルクみたいなもので栓がしてあるものが多い。

 いくつかは、なめし革のようなものを紐でまいて蓋にしているものもある。

 ラベルは付いていないので、何かは解らない。


「流石に開けるのは怖いな……」

 中に虫とか湧いていたら、泣いちゃうかもしれない……

 それに、棚の上も埃やカビまみれだし、触りたくないよな。


「そうだ、ちょっと試してみよう」

 紙に『室内浄化消毒』と書き、床に落とした。

「おおおー! きれいになったぞ!」

 埃や汚れがさっぱりとなくなり、戸棚の中まで綺麗になった。

 でも、瓶には触らなかったけどね。

 だって、虫がいたら嫌だし!


 下の方の扉を開けると、殆どの棚は空っぽだったが何か落ちている。

「これ……羊皮紙かな? 文字らしきものがびっしり書いてある……!」


 カリグラフィーは当時貴重だった羊皮紙に、なるべく多くの情報を書き込むために生まれた。

 文字が小さくても、密集させてもちゃんと読めるように美しく書く技術。

 それが、カリグラフィーの真骨頂だ。

 羊皮紙を見て、テンションが上がらないわけがない!


「全然、見たことのない文字だな……」

 俺の知っている地球上にある、どの文字とも似ていない。

 ……強いて言えば、フェニキア文字にルーン文字を合わせたみたいな字だ。

 読みたいなぁ……なんて書いてあるんだろう。


「……読めるんじゃないか?」

 ひとつ、思いついた。

『この紙を持つ者は全ての言語の翻訳ができる』

 と書いて、その紙を握り締めながら羊皮紙を見てみる。


「読める! 単語が、日本語に訳されてる!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ