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カリグラファーの美文字異世界生活   〜コレクションと文字魔法で日常生活無双?〜  作者: 磯風
第二章 慣れてくるといろいろあるものです
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第60話 もうひとつの銃

 タセリームさんの所に向かう道すがら、何人もの衛兵達がチラシを配っているのを目撃した。

 羊皮紙でチラシとは、なかなか大盤振る舞い……

 余程大切で、緊急のことなのか?

 めぼしい場所にも貼ってあるみたいだ。


 一枚貰って、読んでみる。

 これ……俺がビィクティアムさんに言われて描いた、拳銃の絵じゃねーか!


『この形に似たものを見た・所持している者は早急に衛兵に連絡すべし』


 一般人にも渡っている可能性が出てきたのか。

 なになに、爆発・暴発の危険有り……


 うん、間違いじゃないけど、どうすると爆発するかは……敢えて省いているのか。

 使うことが危険なのではなく、これそのものが危険物だと認識させる目的だろう。

 珍しい物だから、いじっているうちに暴発することもあるし、あながち間違ってないか。

 しかし何故、俺の絵を使った……恥ずかしすぎる……


「おおーい、タクトー」

「あれ? 遅れちゃいましたか、俺?」

「いや、待ちきれなくて迎えに来た」

 子供かっ!


 その後、小走りでタセリームさんの店に向かう羽目になった。

 まったく、何がそんなに楽しみなんだか。


「実はさ、君の意匠もいいんだけど、これとか、これの形なんかもカッコイイと思うんだよ!」


 タセリームさんのお気に入りの珍品達が、俺の目の前に並んだ。

 うーむ……よく判らないセンスだ……

 この蛙っぽい人形とかを、どうデザインに組み込めと?


 ふと見上げた棚の上に蛙と……銃が飾られていた。

 この人、絶対にこれがなんだか知らずに買った!

 しかも撃鉄上がってる!

 まずいだろ、流石にっ!


「た、タセリームさん、あれ……」

「ん? ああ! あれもカッコイイと思うよ! この間、ミューラのマハルって町から来た商人が持ってきたんだ」

 ミューラ?

 知らないな……

 いかん、チラシを見せなくちゃ。


「あれ……多分これの事じゃないかな?」

 俺は、さっき貰ったチラシを渡す。


 読み始めたタセリームさんの顔が、どんどん真っ青になっていく。

 そうだよな、暴発事故の被害者が指四本と右目を失った……なんて書かれてるもんな。

「早く衛兵さんを呼んだ方が良いよ……?」

「そっ、そうだなっ! タクトっ! 触っちゃ駄目だぞっ!」

「うん、触らないよ」


 慌てふためいて衛兵たちを呼びに走り去るタセリームさんを見送りつつ、俺は撃鉄が上がったままの銃に近付く。

 この完品を、できれば渡したくない……

 危ないと判ってても使ってみたくなる物だしね、こういうのって。

 構造が解ってしまうと、作りたくもなるだろうし。


 小さな紙の四角く括った中に『極小規模爆発』『シリンダー・弾完全破壊』『高温半溶解』と書き、左上に『γ(ガンマ)』と書いて【集約魔法】を作った。

 紙を折って、手に持つ。

 そしてシリンダーに、空中文字で『γ(透)』と付与した。


 タセリームさんが、ふたりの衛兵と戻って来た。

「これですっ! ミューラの商人で……初めて来た奴だったんですが、これだけ、珍しかったから買ったんです」

「おそらく、これはこの絵の物だと思います。危険ですから下がってて」

「はいっ、はいぃ!」


 タセリームさんが、後ろに飛び退いた。

 衛兵が近寄る前に手の中の紙を開く。


 ボンッ!


「うわわわっ!」

「うっ! 大丈夫かっ?」

「しまった……触れていなくても爆発するのか……!」


 ごめん、思ったより爆発が派手だった。

 赤で付与しちゃったせいかな?

 でも、怪我はしていないみたいでよかった。


「実は……さっき私が手に持って何度か……こう、いじりまわしてしまって……」

「そうでしたか。その時に爆発しなくて、よかったですね」

 うわー、タセリームさん、顔面蒼白だなぁ。


 このことは、衛兵さん達が上に報告するとのことだった。

 欠片も拾える限り拾っていったけど、溶けてる物もあったので判別は難しいかな。

 銃口とかは原形をとどめているから銃と判ると思う。


「こんな危険な物を売りつけやがって……あいつ、絶対許さん。あっそうだ、そう言えば……」

 タセリームさんが慌てて衛兵達を追いかけていった。

 なにか、売人の情報でも思い出したのか。


 ちょっと……やり過ぎたかな。

 でも、銃をこの町に入れたくなかったんだ。

 この件で衛兵隊が、この武器に対して危機感を持って欲しいと思っているのも……俺の身勝手なのかも知れない。


 俺の、武器に対する嫌悪感の押しつけみたいになっちゃってるけど……

 嫌なんだよな……どうしても。

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