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カリグラファーの美文字異世界生活   〜コレクションと文字魔法で日常生活無双?〜  作者: 磯風
第二章 慣れてくるといろいろあるものです
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第56話 ライリクスさんとお話ししよう

「ライリクスさん……どうして?」

「おおー、タクトくーん、さっきぶりー」

 片手で神官の右手をがっちり固めながら、ひらひらと手を振る。

 この人……ただの衛生兵じゃないよな、絶対。


「はっ、放せっ! 水、水を拭かないと……っ」

「大丈夫ですよ? ただの水じゃあないですか。もう風邪を引くほど、寒くはありませんし」

「俺の質問は無視ですか?」

「あ、ゴメン、ゴメン。ちょーっとだけ待ってて?」


 俺に軽口を叩きつつ、ライリクスさんは神官に向き合う。

「この水……なにかあるのですか?」

「……何も……ない。ない、あるわけが……」

 うあー……なんかあるって、言ってるようなものじゃん。

 まさかこの神官……?

 えええー、またぁ?


「おや? なんだか熱くなってきたみたいですよ? あなたの身体……熱でも出てきたのかなぁ?」

「え……? あ、あ……ああ」

 え、マジで?

 そんなに早く熱が出ちゃう毒だったの?

「どうですー? クラクラしてきたとか?」

「……! ちっ、違うっ! こんなに早く熱など出ないっ! あれは遅効性の毒で……!」


 バカ決定。


「ふぅー……今回の実行犯共は、ホントに間抜けばっかりなのかな? それとも」

 ライリクスさんの顔から笑顔が消えた。

「裏にいるやつらが、切り捨てても惜しくないやつだけを選んでるのかな……?」

「切り……すて……」


 神官の心が挫けた。

 ぐったりとして動かない。

 ライリクスさんにはそういう技能か……魔法があるのかね?

 精神攻撃的な。


「君達ーこいつ、頼むねー」

 いつの間にか、もうふたりの衛兵が来ていた。

 あ、教会の裏口にもまだ何人かる……

 神官は教会ではなく、一番東側の石工組合を通って連れ出された。


「俺も……同行、ですか?」

「いや、ここで少しだけお話ししてくれれば、家まで送るよ?」

「何を話せば?」

「そうそう、最初に言っとくね。僕は確かに医療魔法も使えるけど衛生兵じゃあないんだ」

 やっぱり。

「『審問官』なんだよ」

 尋問のプロかよ。

 精神攻撃できても、おかしくねぇな。


「なんで、ここに来たの?」

「もし町中でも毒がまかれるとしたら、ここだと思ったので」

「ここで、何をしようとしていたの?」

「取りあえず、水が水源から町に入ってくる場所を、見ておこうと思って」

「なんで教会を通り抜けたの?」

「それは偶然。というか、入ったことなかったから中を見てみたくて」


 ……ほら、次は?

 聞かれれば答えるよ?


「ふーん……本当みたいだねぇ。だとすると天才的なカンの良さだなぁ」

「本当か嘘かなんて、解るんですか?」

「うん、看破の魔眼持ちだからね!」


 うっわー、来たよ、反則。

 てへぺろみたいな顔、しないで下さいよ!


 しかも、看破って鑑定の上位技能じゃん?

「嘘だと、はっきり解っちゃうんだよね……魔力の状態が変わるからさ」


「……魔力の状態って?」

「なんでも、聞いたら教えてもらえると思ってる?」

「あなただって、そう思ってるでしょ?」

 質問は子供の特権だぜ。

 さぁ教えろ!


「……悔しいから教えてやらない」

「ガキですか」

「まったく……君みたいに全然、誤魔化しとかしない子、初めてだよ」


「そうなんですか?」

「そうだよ。僕が『何度か食堂に行っている』って言った時に、素直に知らないって謝ったでしょ? 大概の人はなんとなく覚えてるーとか、そういえばーとか誤魔化すんだよね」

 そんな事で嘘ついても、仕方ないと思っただけなんだが。


「人の顔を覚えていないって指摘されるのを、恥だと思う人は多いんだよ」

「そんなの覚えてなくたって、どうって事ないと思うんだけどな」

「客商売が顔を覚えていないのを、どうって事ないって言い切れる人もあんまりいないよ?」


 あぅ……

 そうだ、前の所でも言われていたなー。

 だってカルチャースクールのおばさんって、割とみんな同じようなカッコした人ばっかだったんだもん。

 子供とかも、あんま区別つかないっていうかぁ。


「でも僕『食堂』が『君の所の食堂』なんて言ってないから、見覚えなくて当たり前なんだけどねー」

 そっから、嘘なのかよっ!

「ライリクスさん、性格悪いって言われません?」

「そんなぁー照れるなぁー」

 褒めてねぇよ。


「んじゃ、最後に聞きたいんだけど」

「はぁ……」

「あの冒険者達が持っていた武器、まだこの町にあると思うかい?」

「……はい」


 ある。

 絶対に持ち込まれている。

 あいつらはおそらく使い方を、今回の事件の黒幕に教わったはずだ。

 そしてきっと『そいつが持っている銃よりもっと強いものに改造したかった』に違いない。



「……解った。このこと、絶対に喋っちゃ駄目だよ? 君と……君の家族の命に関わるかもしれないからね」

「他言はしませんよ。俺の夢は『平凡で楽しい日常生活』ですから」



 絶対に家族に手は出させない。


 絶対に。

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