第51話 尋問(?)
東門まで戻って来て、捕縛されたふたりはそのまま牢へと連行された。
俺は……ビィクティアムさんからの尋問タイムである。
東門にある衛兵隊詰め所の一室に、連れてこられた。
お菓子が出ているので、一応お客様扱いのようだ。
同行していた衛兵さん達は、ビィクティアムさんの斜め後ろに控えている。
「それでだ……タクト、先ずはあいつらを追えたのは、おまえのおかげだ。礼を言う」
「いえ、ビィクティアムさんが信じてくれたからです。こちらこそ、すみませんでした」
「それと、おまえはあいつらが、何をしようとしたか解っていたのか?」
「いいえ、解っていた訳じゃありません。あの人達が色々な人に迷惑かけていたから、またなんかするつもりかと思ったんです」
色々……に俺も含まれてるので。
「あの袋……女が投げ入れた袋はどうした? 確認したか、ワイズ?」
ビィクティアムさんが、後ろの衛兵に確認する。
俺を気遣ってくれたあの衛兵さんだ。
「いえ……見あたりませんでした。もう中身が溶けて、袋も流されたのではないかと思います」
「……そうか……」
ビィクティアムさんが、立ち上がって顎をくいっと動かした。
ワイズと呼ばれた衛兵を、脇のふたりが取り押さえた。
「う、うわっ! 何を……!」
「気付いていないと思ったか? あのふたりを、あの山に通したのはおまえだ」
えっ?
ええええーっ?
「俺が追跡すると言った時に、おまえは既に山歩き用の靴を履いていたな?」
足下を見たらワイズ以外は普通の靴だった。
「そ、それは偶然ですよっ」
「朝の見回りは、おまえが北東門の担当だった。あいつらは北東門から入ったはずだ」
「北東門の見回りは……ファイラスも一緒で……」
「本日、私は先に東門に向かうように言われていました」
……あの人がファイラスさんか。
即答だね。
すぐばれる嘘ついちゃって……もう、黒だって言ってるようなもんじゃん。
「それにあの男が、おかしな武器を俺に向けた時におまえはわざと身体をずらして、あの男からタクトが見える様に視界を開けた」
そ、そうだったのか?
でもそのおかげで銃口が見えて、ソッコー圧縮空気で栓ができたから、ある意味ファインプレーなんだけど。
「そして……あの袋の中身がどうして《《溶けてなくなるもの》》だと知っていた?」
あ、そうだよ。
誰も中を見ていない。
溶ける物なのか、そこに留まって何かを発生させる物なのか解らないじゃないか。
そっか、あの時ビィクティアムさんが睨んでいたのは、俺じゃなくてこいつだったのか。
「ビィクティアム副長!」
部屋に衛兵がひとり、入ってきた。
手にコップを持っている。
「ご指示の通り、すぐそこの井戸から水を汲んで参りました」
「ご苦労。下がっていいぞ」
「はっ!」
「飲んでみろ、ワイズ」
「……い、いえ……」
「飲めよ。戻ってから一口も水を飲んでないだろう?」
「いやだ! 飲めるか、こんなものっ!」
……自白、完了だな。
マジで毒だったんだな。
この町の人達を殺す気だったんだ。
「あの袋なら……俺が回収しました」
あ、ワイズが目を剝いてる。
そうだよ、あんた達の企みは失敗だよ。
「俺が隠れていた辺りに流れてきたので、拾っておきました」
「……と、溶けなかったのか……? なんで……」
俺は袋を開けずに、ビィクティアムさんに渡した。
袋を開けたビィクティアムさんは吹き出し、その中身をワイズに見せた。
「あいつら、バカだろう? 油紙に包んだままじゃないか!」
「へ……?」
「タクトがすぐに拾ったからだろうが、中は全く濡れていないぞ!」
ワイズの顔が真っ赤になった。
「あっの、くそ冒険者ぁぁぁぁっ! あの方からの依頼を、下らない事で失敗しやがってぇっ!」
はい、終了。
「『あの方』ってのも吐いてもらうぞ」
ビィクティアムさんの凄味のある声に、今度は真っ青になったよ。
ワイズはそのまま連行、あのふたり同様牢屋行き……かな。
「さてと、こっからが本題だぞ、タクト?」
今度こそ俺の番かぁ……
うー、胃の辺りがモヤモヤするぅ。




