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カリグラファーの美文字異世界生活   〜コレクションと文字魔法で日常生活無双?〜  作者: 磯風
第二章 慣れてくるといろいろあるものです
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第50話 銃

「冒険者が、何しに禁足地に入り込んだ?」

「……決まってるでしょう? 私達が来たのは、依頼があったからよ」


 俺は石組みの塀に隠れて、水道の始まりの場所に近づく。

 あいつ等の視線は、衛兵達に向いてる。


 今のうちだ。

 コレクションから昨日魔法付与した鉱石を取り出し、水の中に入る。

 水道の一部の石に鉱石を触れさせて魔法を転写した。

 以前は転写の命令を書いた魔法で指示していたのだが、俺の魔力を流せば空中文字を移動させられることに気付いたのだ。


 そっと水から上がり、服と身体を魔法で乾かす。

 ほんと、備えあれば憂いなし。

 水に入ることを想定しておいてよかった。


「依頼……とは?」

「守秘義務ってのがあるから言えないわ。でも……この袋をここに投げ入れれば」

 なんだ?

 あれ?

「依頼は完了よ!」


 あいつ、何を入れる気だ?

 まさか、毒じゃないだろうな?


「空気圧縮! 封っ!」

 青魔法発動の札を素早く出し、投げられた袋の周りの空気を固めた。


 ポチャン!


 袋は水路に落ちたが、中身は出ていない。

 ふう、よかった。上手くいった。

 浮いているから水路の端に引っかかっているみたいだ。

 すぐには流れて行かなそうだけど……届くかな?


「あのガキ……!」

 え、気付かれた?

 声は聞こえていないはずなんだが……

 やべっ、身体が半分壁から出てる。

 見えてるじゃん!


「もう終わったわ! ここに用はない! 逃げるわよっ」

「あのガキだけでも殺してやる! 俺に恥かかせやがって!」


 やつが構えたのは、あれは……銃だ。


 改造って銃のことか!

 使い方を知っているのか?

 いや、壊れていたんじゃないのか?

 そう思いながらも、慌てて壁に身を隠す。


 撃ってこない。

 やっぱり使えないのか?

 建物の壁を回り込んで、ビィクティアムさん達のいる辺りを壁の陰から覗く。

 ビィクティアムさんが男に斬りかかるのが見えた。

 女がその剣を受け、男は銃をビィクティアムさんに向け、構え直す。


 他の衛兵達も、ふたりを囲むようにして捕らえようとしている。

 だめだ、もし銃が使えるなら、危険すぎる。


 俺は、男の銃が見える位置に飛び出した。

 奴がニヤリと笑って俺に銃口を向け、撃鉄を起こした。


 今だ!


「空気圧縮、栓!」

 銃口を指差し、なるべく聞こえないように唱える。

 男が引き金を引いた。


 どん!


 男の手元で銃が爆発した。


 男の悲鳴。

 呆然とするもうひとりを、ビィクティアムさんが取り押さえた。


「……間に合った……」

 明度と彩度を両方上げ、原色に近い色で書くと発動時間が早くなるという事に気づいたのだ。

 この札の青は、最も発色のいいインクで書いてあったから間に合ったのだろう。


「君、だいじょうぶかい?」

 衛兵のひとりが俺を気遣ってくれる。

 俺が魔法を使ったとは、思っていないのだろう。


「はい、すみません、ちょっと邪魔しちゃったかも……」

「いや、こっちは大丈夫。怪我はしていないね?」

「平気です。ありがとうございます」


 ビィクティアムさんは、少し睨むような視線でこちらを見ている。

 ……絶対に気付いたよねぇ。

 あとで聞かれるだろうなぁ。


「すみません、靴の紐を結び直したら、すぐそっちに行きます」

「そうか、じゃあ向こうにいるから」

 衛兵さんは、捕らえたふたりの方へと戻っていった。


 俺は腰掛けて靴紐を直す振りをしながら壁に『転移目標・水源(透)』と黄色いインクで空中文字を付与した。

 これはまだ試していないから、上手くいったらラッキーってくらいの魔法だ。


 そして、壁の裏側から水路の方へ回り込み、あの女が投げ入れた袋を手元へと運ぶ。

 空気の魔法で周りを囲ってあるから、この札で操作できるのである。

 あ、文字の色が全部なくなった……


 袋を覆っていた圧縮空気も消えた。

 いけね、地面に落としちゃったよ……ちょっと濡れたけど平気かな?

 慌てて拾って、コレクションの鞄の中に入れておく。


 効果時間がギリギリだったな。

 やっぱり発動時間を早めるのを、色だけに頼る訳にはいかなそうだ。

 魔法のもちが悪くなる。


 最適解はまだまだだなぁ。

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