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カリグラファーの美文字異世界生活   〜コレクションと文字魔法で日常生活無双?〜  作者: 磯風
第二章 慣れてくるといろいろあるものです
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第47話 雑談と錆山の呪い

「え? あのふたり、ぺディールさんの所にも行ったのか」

「ああ、へんてこな道具を直してくれってよー」

 夕食に来ていたぺディールさんが、溜息をついていたので話しかけたら、原因はどうやらあのふたりの冒険者だったようだ。


 ぺディールさんの家は、以前見学させてもらった金属加工の工房だ。

 衛兵隊に納品する小型の剣や、やじりを作っている。

 腕の良い武器職人だ。


「ぺディールさんの所に持って行ったんなら……武器?」

「多分なぁ……見た事もねぇやつで、使い方も見当もつかねぇものだったが」


 この辺で見た事のない武器……か。

 なんにせよ、そんなものの修理依頼なんて受けなくてよかった。

 ん?

 あのダリヤって人『改造』って言ってたかな?


「見た事ねぇから直せねぇって言ってるのに、なら別の武器を安く売れとか理屈の通らねぇこと言い出しやがってよぉ」

「図々しいやつらだな」

「ま、なんも売らねぇで追い返したけどよ」


 きっとうちでも、直せなかったらなんか寄越せとか言ってきたかもな。

 ホントに、冒険者っていうよりごろつきだよ。


 俺はぺディールさんの皿に、おかわりのパンをのせながら呟いた。

「なんで冒険者って、そんなにいくつも武器を持ちたがるんだろう?」

 いつも魔獣の狩りばっかりしてるのかな?


「あいつらは……人が入りこまねぇ所まで行ったり、墓荒らしなんかをすっからすぐ武器を駄目にしちまうんだよ」

 墓荒らしって……あ、昔の墓?

 副葬品とか入ってるのか?


 俺は個人的には、たとえ学術目的だろうと、他人の墓にずけずけ入り込むのとか好きじゃない。

 ましてや遺体を引きずり出したり、副葬品を展示したりなんてどうしても嫌悪感を抱いてしまう。

 それに何千年経とうと、自分の家族の墓が見知らぬ誰かにほじくり返されたらと思うと腹立たしく感じるからだ。

 まぁ、個人的な好き嫌いなので人には話さないけど。


「……やっぱ、俺は冒険者って、好きになれそうもないや」

「それでいいんだよ。あんなのが好きって方が、俺ぁ信じられねぇよ」


「ぺディールさん、食べるの早いね。パン、もう一個いる?」

「お、いるいる。ここのは旨ぇからすぐ食っちまってよ」


「タクトー、こっちもパン、おかわりくれよー」

「はい、はーい」

 みんなよく食うなぁ。

 嬉しいけどね。


 このパンは、俺が焼いてるんだよねー。

 周りが硬めで、中がサクサクのフランスパンみたいな奴。

 柔らかいだけより噛み締める程味がする、こういうタイプが好きなんだー。


 一通りおかわりを渡したあと、ペディールさんの隣の席にいたルドラムさんに呼び止められた。

「タクト、またこの間くれたお守りってのもらえねぇか?」

「あれ? 信じてなかったんじゃないの?」

「いやぁ、なんつーか……坑道の整備に加わる事になってよ。やっぱちょっとまだあの場所、怖いっていうか……」


 そうだよねー、結構派手に落ちたもんな。

 ルドラムさんには、激痛の記憶もあるだろうし……


「じゃあ、気休めだけど作ってあげるよ。いつから手伝いに行くの?」

「明後日から四日間だな」

「随分短いね?」

「交代制なんだよ。あそこはあんまり長時間いるとさ、呪われるって言うし」


 そうか、錆山の麓も行くしな。

 掘り起こすとなれば、ボーキサイトなんかの粉塵を吸い込む可能性も高い。

 きっとそれで病んでる人が、少なくはないはずだ。

 確か、発症から亡くなるまでの期間も短くて、進行の早い肺の病だ。


 だけど医師もいるし、防塵の魔具なんかもあるはず。

 なのに時間を制限したりするしかないっていうのは、きっと俺が知っているあちらの世界の病気とは、違うものなのかもしれない。

 原因がはっきりしていないから『呪い』なんだろう。


「わかった。じゃあ明日の昼までに作っておくよ」

「おう、悪いな。ちゃんと金は払うよ」

「いいよ、今回は。この前助けてくれたお礼って事で」


 身体に悪いものを吸い込まないようにするのは難しくても、体内に溜まらないようにしたりはできるはずだ。

 原因がはっきりと解らなくても、もしかしたら俺の【文字魔法】で解毒……とか、身体に悪いものを取り除くっていう指示をしたら、少しは手助けになりそうな気がする。

 魔法の組み立てを考えて、付与したものを渡してあげよう。

 ちゃんと、身体に張り付く魔法も付けておかなくちゃ。



 翌日、俺はルドラムさんにガッツリ守護系魔法を付与したお守りを渡した。

 効果期間は一ヶ月にしておいた。

 勿論、セキュリティも発動させておく。


「この袋に魔力を通してくれる?」

「ん? 何でだ?」

「そうするとなくさないで済むんだ。特別に付与してあるから」


「そんな魔法があるのか……やっぱすげぇなぁ、タクトは」

「じゃあ、お土産に錆山の岩とか持ってきてくれてもいいよ?」

「はははっ! そうだな! 少しくらいなら持ってこられるかもな」


 やった!

 錆山の岩は、いい素材が入っているものが多くて買うと高いんだよ。

 俺は、まだあそこには入れないから嬉しいー!

 錆山の採掘に入るには、年齢制限と技能制限がある。

 成人していて『鉱石鑑定』を持っていないと入れないのだ。


 坑道の整備に、一ヶ月くらいかかるらしい。

 魔法を使うから、このくらいの期間で済むのだろう。

 だが、その間にも有効な魔法の使い手は、何度か招集されるはずだ。

 一回の期間が短くても、回数行くなら吸い込む粉塵の量も多くなる。


 ルドラムさんは、お守りさえ持っててくれれば大丈夫だ。

 でも、その他の人達も肺を患わないといいんだけど……

 なんか、俺にできる事はあるかな。

 表だって【回復魔法】なんて使えないし。


 ……考えてみよう。

 俺は、この町の人達に健康で、幸せであってもらいたい。

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