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19.5 ガンゼールとガイハック

「おい、今日はいるんだろうな? あの子は」

「……何の用だ、ガンゼール」

「昨日話したかったのに、おまえがなかなか連れて帰らないから、今日になっちまったんだよ」

「だから、何の用があるんだと聞いている」

「とにかく会わせろ! タクト……だったか? 二階か?」


「ダメだ! 今は具合が悪くて寝てる」

「起こせよ! 急ぐんだ」

「タクトがおまえのいう事をきく必要なんかない!」

「あー、わかった、悪かったよ。そうムキになるなよ」

「……出ていけ。会わせるつもりはないし、おまえのいう事を聞かせるつもりもない」


「付与魔法が使えるんだろ? うちの器具や、部屋の防毒付与を頼みたいんだよ」

「そんなこと、他の魔法師にやらせろ」

「できる奴がまだこの街に来ていないから、頼んでるんだ!」

「おまえの態度は、人に物を頼む態度じゃない。出て行けと言ってるんだぞ、俺は」


「これから、角狼にやられる患者が増えるんだぞ?」

「防毒付与なんて、おまえが部屋の清掃や器具の煮沸を横着したいだけじゃねぇか」

「ぐ……で、でも、やっておかないともし毒が散ったら……」

「それを綺麗にすることを含めて、おまえの仕事だろう」

「やってる暇がなくなるんだよ、清掃なんて!」


「どうしても必要なら、馬でも走らせて付与魔法師を迎えに行けばいい。結局、おまえが楽したいだけだ」

「あの子ができるならその方が早いし、大勢の患者が救えるんだぞ?」

「患者を救うのはおまえの仕事だと、何度言わせるんだ。あの子には、なんの責任も義務もない」

「でもよ……」

「加えて言うなら、俺が、おまえに便宜を図ってやる義理もない。もう一度言うぞ? 出て行け。おまえをタクトに会わせるつもりはない」


「……今度うちに治療に来たって、診てやらねぇからな」

「ほう……命を脅しに使うのかよ、医者のくせに」

「くそっ! もういい! 帰りゃいいんだろ!」

「ああ、そうしてくれ」

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