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第137話 監視カメラ作成

「んー…と、ちょっと作ってみるので…ライリクスさん、なんか小さな入れ物がふたつないですか?」

ライリクスさんが戸棚から俺がお菓子を入れて売っていた籠をふたつ、持って来てくれた。


俺はその場で小さな貴石みっつと籠に丁度入るくらいの磁石を取り出して簡易監視カメラと再生機を作ってみることにした。

貴石は『レンズ』と『マイク』、磁石は『記録媒体』だ。

あちらのカメラのようにちゃんとした仕組みは必要ない。

【文字魔法】で指示すればいいだけだ。


レンズの『L』、マイクの『M』とレコーダーの『R』をアンシャル体で付与する。

『L』には見える範囲と明るさを指定、映像を磁石へ送る。

『M』は集音し、すべての音を磁石へ送る。

『R』は触れている『L』『M』の貴石から送られてくる映像と音をすべて記録していく設定だ。


音と映像の貴石を分けたのは、魔力の保持力を強めるためだ。

石のサイズが大きければ、光と音をひとつの石で支えるのに問題はないのだが、隠しカメラとしては小さい方がいいからである。


カメラは籠の編み目を少し開き、そこに貴石を嵌め込む。

その貴石に触れるように磁石を置く。

どれもずれないように魔法で固定するのだ。



そしてもうひとつの籠は再生機。

再生は『リプロダクション』で『R』なのだが、レコーダーに使ってしまっているので『ビュー』の『V』にした。

『V』を付与した貴石には、触れている『R』の磁石の映像の拡大再生と音声の再生をさせる。


「うん、これでいけるかな」

「タクトくん…これは一体何ですか?」

おっと、夢中で作っちゃったぜ。

でも10分ぐらいしか経っていないよ?


「これは『記録する魔道具』で、遠視の魔眼を参考に作ってみました」

 「……魔眼っていうのは…参考になるものなのか?」

 「タクトくんのやる事に我々が何を説明できるというのです?」

こら、そこっ!ボソボソと何を言っているのですかっ!

「ちょっとやってみますね」


俺は自分にレンズとマイクを向け、自撮りしてみる。

ちょっと歌など歌ってみたり。


「はい、じゃあこの『記録の石』を取り出して、こっちの『再現の箱』に入れます」

今撮った映像が壁に映しだされ、俺の歌が聞こえた。


「な…なんだ…これは…?」

「これが『映像』…ですか?」

「はい。『その時の記録』です。これなら音だけじゃなくて、何がその場で起きたのか客観的な目で何度でも見る事が出来ますよ」


セインさんは口をぽかんと開けて動かない。

まぁ、初めて見る動く映像だもんなぁ…吃驚するよねぇ…。


でも思っていたより画質も音質も良いぞ。

あ、そうか、カメラとマイクにシトリンを使ったからか。

音も光も黄魔法だもんな。

黄色い貴石はベストマッチということだ。


磁石は魔力をかなり多く保持できるから、記録媒体としても優秀だし。

再生の方も黄色い石にした方がいいかもしれないな。

水晶は万能だけど、色を合わせた方がもっと良い画質と音が再現できそうだ。


「俺が明日する事ってこれで大丈夫ですか?」

「あー、ああ、充分だ。よろしく、頼む」

「はーい!あっ報酬、忘れないでくださいねっ!」



黄魔法だから途中で切れたりしないように、空気中の魔効素変換吸収も書いておかなきゃ。

それと…映像と音を転送をできるようにしとこうかなぁ…。

何があったか手元で見たいしー。




その後の3人 〉〉〉〉


「あいつ、自分がどれほどとんでもない事をしでかしたか解ってないだろう?」

「いつも通りのタクトくんです。こうやってどんどん我々の常識と概念を打ち砕いていくんですよ、彼は」

「……あんなことは…どういう知識があれば思いつくというのだ?彼は……いったいどれほどの知識を有しているのだ?」


「思いつきをあんな短時間で形に出来るというのも…何度目の前で見せつけられても未だに信じられんな」

「タクトくんは記憶力がとてもいいんですよね。そして、覚えているものを簡単に応用できる」


「うむ……だが、あの『映像』?という魔法は…私からは光魔法に見えたのだが…」

「ああ、俺にもそう感じたな。あれは『賢神一位』の加護魔法だろう」

「同神家門の長官がそう感じられたのであれば、間違いなく【雷光魔法】でしょうね…その内絶対に適性が出ますよ…とんでもない段位で」


「あいつがどうやって常時発動を克服したのか、気になるな…」

「あの様子では教えてはくれんだろうな。タクトくんが隠している事をすべて明かしたら、魔法の在り方そのものが変わりそうで怖ろしいわい」


「しかし、その場のすべてが記録できて、いつでも再現できる…というのは『過去を何度でも見る事が出来る』という事ですよね?」

「まさか、あいつは知識と理論だけで【時空魔法】に至れると言うのか?」

「そこまでは言いませんが、その手がかりになる現象ではないかと」


「ふむ…『音』の記録だけでもその可能性はあると思っておったが、その時のすべて…となれば更に近づくのではないか?セラフィエムス」

「ああ、タクトの神が『賢神一位』だからな…時空についての何らかの力を授かっても不思議ではない」


「『至れるものの神典』を訳する事で理解を深めれば、彼は自分の本当の力に気付くかもしれませんね」

「…絶対にシュリィイーレから出せないな…あいつは」



「それにしても……タクトくん、歌は下手なんですねぇ…」

「…それ、本人には言うなよ?」

「言いませんよ。でも、なんでも出来る彼のそういう所を見ると、ほっとしますね」

「確かにのぅ」

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