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第112話 冬のお仕事確認とご挨拶

 家に戻った俺は、冬場にやることが意外と沢山あることに気付いて、ちゃんとスケジュールを立てようとノートに向かった。


 まずは、さっき受けた翻訳。

 訳すのは『至れるものの神典』だけ。

 他のものは、個人的にできるだけ訳してみよう。

 関連性とかありそうだし。


 そして、マリティエラさんから依頼された剪刀ハサミ作り。

 これは父さんにも協力してもらえれば、そんなに時間をかけずにできあがるだろう。


 それにはチタンを多めに取り出して、ストックしておかないといけない。

 ケースペンダントにも使うし、これからもいろいろと需要がありそうだ。

 チタン以外にも、アレルギーの出づらい金属もさがしておかないとな。


 それと、レトルトパック作り。

 パンを多めに、あと一品か二品種類を増やそう。

 これは母さんと相談しながら、負担がかからないように作ってもらわなくっちゃな。


 それ用の、アルミパッケージも作らないと。

 でもこれは時間も掛からないし、材料も問題ない。

 俺の魔力次第だから、そっちもノープロだ。


 あとは……転移の魔法を、もっと魔力消費を抑えて使えるようにしたい。

 できれば、家から教会のあの秘密部屋まで、転移で行き来したいのである。

 そのためには『空間操作』技能と、おそらく【制御魔法】を鍛えれば、距離を伸ばしつつ魔力の節約ができるようになるのではないかと思う。

 繰り返し使うしかないから、暫くは短い距離を移動して魔力消費量を確かめながらだな。


 魔力回復の薬とか、あればいいのに……

 ないんだよねぇ。

 前に父さんに聞いたら

「魔力も体力も、食って寝る以外に回復はしねぇぞ」

 って、言われちゃったんだよね。

 ドーピングはできないってことですよ。


 その他は既にルーティンの燈火用電池作り、ケースペンダント仕上げ……だね。

 うん、大丈夫そうだな。




 そして翌日、翌々日は西地区の数件に魔法付与に向かい、今年の【付与魔法】依頼は全て完了した。

 もうすぐ雪が降るから、外に出られなくなってしまうので今のうちに挨拶回りだな。

 西の畑で、うちの小豆や野菜を作ってくれているエイドリングスさんの所からだ。


 エイドリングスさんとアーレルさんご夫妻は、もうお子さん達が独立してしまって、ご夫婦ふたりで畑をやっている。

 人手がなくてなかなか市場へ売りに行くことができないと溢していたので、依頼した作物を作ってくれるならうちが全部買い取るという約束をしたのだ。

 作って、売って、在庫管理して……なんて全部やるには大変だからね。

 それに、作るだけに専念してもらった方が、いいものができると思ったのだ。


「あらあら、タクト、いらっしゃい」

「こんにちは! アーレルさん。エイドリングスさんはまだ畑?」

「そろそろ戻るわよ。この間貰ったお菓子、とっても美味しかったわ」


 たまにお菓子の差し入れや、レトルトパックを差し上げているのだ。

 勿論この家も、俺の『おうち丸っと【付与魔法】』で快適住居になっている。

 信頼に応えてくれる取引先には、いつも良い状態で仕事をしてもらいたいしね。

 今日もご挨拶がてらお菓子とレトルトパックを渡して、畑にも顔を出した。


「エイドリングスさーん、こんにちはーっ!」

 小さめといっても。なかなか広さのある畑である。

 声を張らないと聞こえないのだ。

「おーう!」

 エイドリングスさんも元気そうだな。


「今年は小豆のお菓子が凄く売れたよ。ありがとうね!」

「そいつぁよかった。来年はジャガイモと小麦で、小豆がない年だから足りなくなっちまうか?」

「毎年なくても大丈夫だよ。他にもお菓子の種類があるからね。いつも食べられるって言うより、特別な感じがする方がいいかなって思ってるし。ジャガイモや小麦も沢山欲しいしね」

「そーか! じゃあ、もっと頑張って育てねぇとなぁ!」


 エイドリングスさんは年の割に豪快なお爺さんで、農家というより猟師みたいな感じだ。

 自警団に参加している強者なので、年を感じさせないせいもある。

 そして俺がレーデルスのバーライムさんから、甘薯とエンドウ豆の買い入れをするという話もした。


「ちっこい子が五人もいるんじゃあ、大変だろうなぁ……うちは三人でも大変だったからなぁ」

「本当はシュリィイーレで作ってもらえる方がいいんだけど、こっちよりレーデルスの方が甘薯向きみたいだから」

「そうだな、そうやって買ってくれるのは、農家としては助かるからな」


 うん、ウィンウィンというやつですね。

 エンドウ豆はスープにしたり、煮物にも焼き物にもアクセントで使えるから沢山あっても困らないんだよね。

 あー、お米があればなぁ……豆ご飯、大好きなんだよなぁ。


「そういえば、タクトのこの身分証入れは、他の町でも売るのか?」

「いや、シュリィイーレだけだよ」

「そうか……レンドルクスが、増産を頼まれたって言っていたから、別の町に持っていくのかと思ったんだが……」



 んんんー?

 なんか、嫌ーな予感がするぞー。

 タセリームさんに確認しなくては!

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