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第105話 黄魔法・白魔法・聖魔法

 夕食が済んで部屋に戻ったところでやっと、教会から持ってきた本を取り出した。

 この本は盗まれたりなくしたりしないように、対策しなくてはいけない。

 セキュリティとして、俺の側から一定距離以上離れたら俺のコレクション内に戻るという魔法を付与しておくことにした。

 これで置き忘れても、盗られても戻ってくる。

 本当に【文字魔法】って便利すぎる。


 そうだ、閲覧制限もかけておこう。

 本が開けなければ、盗られることもないだろう。

 複製した本の全てに同じ魔法を付けておいた。



 よし、それじゃあ、読み始めるとするか。

 まずは『黄属性』からだ。


 黄魔法では回復が最も知られているもので、これを使える者が一番多い。

 多いと言っても希少な黄魔法の中で多いというだけなので、魔法師全体では数百人にひとりくらいのようだ。

 しかしこの術者を欲しがる者が多いので、持っていることを隠している場合も考えられる。

 もしかしたら、もう少しくらい多くいるのかもしれない。


 次に多いのは、雷系の魔法。

 だが、大きな攻撃の魔法が使える者はいないらしい。

 空から落ちてくる稲妻のような魔法が使える者はいない、ということなのだろう。

 それでもスタンガン程度のものは使えるようで、相手を気絶させることくらいはできるみたいだ。


 その他には空間操作・時間操作・重力操作は黄属性である。

 ……『重力操作』……?

 これ、この間……俺、やっちゃったよね?

 これでヤバイ剣、作っちゃったよね?

 剣に付与したとか、ライリクスさんにも言っちゃったし。


 ……なるほど。

 黄属性だったのか。

 そりゃ、方々から狙われちゃったりするよ。

 ライリクスさんが、あんな顔すんの当然だよ……

 またしても、無知の罠に嵌ってしまったっていう自業自得じゃん!


 そして黄魔法はその総てが、かなり多くの魔力を必要とする。

 俺は……意外とそうでもないと感じてしまっているが、それはただ単に俺の魔力量がぶっちぎりに多いせいなだけである。

 普通の人なら、雷魔法スタンガンを使っただけで自分もぶっ倒れるらしい。


 転移についても書かれている。

 空間操作だけでなく『方陣門』というものが必須で、門なしに魔法での長距離の移動は不可能……

 できたよね。

 俺。

 馬車で二時間程度の距離……うん、きっともっと長距離のことだな。

 ここから王都とか、そういう距離のことに違いない。


「時間操作か……あったら便利そうだなぁ」

 食材をそのままで保管したり、保温したり……劣化防止……とか。

 ……やってるね。

 俺、既に同じようなことできてるね。

 あ、もしかして過去に戻せるとか、時間を進ませる的な……タイムマシン系の技能なのかな?

 うん。

 きっとそう。


 てか、もっと細かい説明プリーズ!



『白属性』についても発見されているものが羅列してあるだけで、詳しい説明がなかった。

 ただ独自魔法……家系魔法とか、血統魔法というものについては、どの家系がどういう魔法を所持しているかが書かれている。

 これって、貴族のどの家門が何を使えるか解っちゃうってことだよね?

 結構トップシークレットなのでは?


 そこに『ドミナティア』の文字を見つけた。

 やっばりセインさん、有名貴族の家系だったんだなぁ。

『聖神二位・氷雪魔法』……そうか、氷の魔法って青じゃないのか。


 水魔法の仲閒かと思っていたけど、氷は別系統なんだな。

『聖神二位』……って……あ、女神のひとりが確か「聖神二位ミヒカミーレ」って名前だ。

 なるほど、その女神の守護する魔法なのかもな。


 加護色が、深い藍色と氷を顕す玉虫色……

 偶然とはいえ、そんな色で作ったよね、ケースペンダント。

 そっかーーーーっ!

 あんなに喜んでくれたのは、その色ってのもあったのかー!

 意匠マークも藍色にしたよね、俺!


 緑属性の魔法にも特化している家系なんだな……すげー。

 エメラルドは、そっちの加護なのかもしれないな。


 いかん、有名人のデータに食いつくミーハーな感じになってしまった。

 一般市民はこれだから。




 ここからは『聖属性』か。


 聖属性は……加護・守護・治癒・制御・精神・無効化の魔法……及び魔眼……

 あれれれぇぇ?

 見たことあるモノがいっぱい載ってるぞぉ?

 あいつら聖属性だったのかよ!

 なんでそんなもの俺が持ってんだよっ?


 多分【文字魔法】で、それっぽいことやり過ぎたんだろうなー。

 無効化とか、いっぱい使ったよね。

 魔眼……俺の魔眼は、どーいう魔眼なんだろう。


 確認されている魔眼もそんなに種類は多くはないんだな。

 魔眼には強さがあって、それによって視え方が違うようだ。

 上のクラスの方が視える情報量が多いのだろう。


 鑑定系だと一番下が『判別』次が『鑑定』一番上が『看破』。

 ライリクスさんは『看破の魔眼』って言っていたから最上位ということだ。

 へぇ……練度が視えるとか、魔法の種類が視えるとか、いろいろあるなぁ。


 あ、魔力の状態が視えるっていうのあったぞ。

『魔力の状態によって感情の動きが判別できる』

 うん。

 前に聞いていたとおりだな。


 俺のは、何が鑑定できるんだろうなぁ……

 ん……?

 でも『鑑定の魔眼』は『魔眼鑑定』ではないな?

 俺が魔眼なんじゃなくて、魔眼がどういう魔眼なのかが解るってことなのかな?


 そういえば『視られている』っていうのを感じられることが多かったな。

 レーデルスから転移で戻った時に『見られていない』って思ったのは『魔眼で視られていない』って思ったのかもしれない。


 これ、結構使えるのでは?

 どこからどういう魔眼で視られているか解れば、それが悪意があるものかどうか解れば……


『悪意』とか『殺意』ってのが解れば、近寄らせないこともできるかもしれない。

 こういうのって【精神魔法】で解るんじゃないのか?

【文字魔法】で指定して使えば、組み合わせて使えるようになるのではないだろうか。


 魔法師試験での俺のうっかりのせいで、これ以上変なことに巻き込まれないためにも、察知できる魔法は必要だ。

 そして、どういうことが『まずいこと』なのか、ちゃんと知らなくては……

 無知はあまりに危険だ。



 さてと、魔法のことはこれから対策をするとして……

 他に複製してきたのは、どんな本があるのかなぁ。

 お、こいつは神話だね。

 よくある英雄物語だ。

 すっげー、魔法とか強さがインフレ過ぎ。


 あ、こっちにもあるんだな。

『失われた大陸』説。

 ニファレント大陸の魔導帝国かぁ。

 アトランティスとかムー大陸みたいな超古代文明ってやつだね。


 こっちは禁忌魔法?

 ああ、でもこれはファンタジーっぽいなぁ。

 いや、これこそ中二病の必須魔法なのでは?

 ははは、海を蒸発させるとか、ここまで書かれちゃうとファンタジーって解っちゃうじゃん。

 でもこういう荒唐無稽なのは、気楽に読めて面白いよな。

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