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第90話 夏の終わり

 結局、腕輪のおっさんとは、そのままお互いの名前を教えずに別れた。

 俺の家が『南・青通り三番の食堂』とは伝えたから、もし食べに来てくれたらその時に名前を聞こう……



 イモスイーツに続き、シナモンを使ったフレンチトースト風もなかなか人気であった。

 カレーは……うっかり辛くし過ぎたり、そもそも香辛料に慣れていない人がいたりで反応は区々だが、やたら好きになってくれたのはリシュリューさんだ。

 特に辛口のチキンカレーをもの凄く気に入ったようで、何杯もおかわりをしてくれた。

 あの細身のどこに入るのか……美形のカレー爆食いというのも、なかなかシュールである。


 もちろん、カレーはレトルトにもしているのでリシュリューさんはお得意様である。

 ただ……惜しむらくは米がないことだ。

 やはり、カレーには米だと思う……

 パンでも麺でも美味しいよ?

 でもね、やっぱ米なんだよね。


 米を作っている地方はあるんだが、遠方なので持って来てもらうだけでコストがもの凄く掛かる。

 シュリィイーレは水田にはまったく向いていないせいもあって、米が普及していないので食べないんだよね、みんな。

 もの凄く残念だ……



 そうこうしているうちに夏も終わりに近くなり、陽が陰るのが早くなってきた。

 もうすぐ誕生日だ。

 ……やっぱり儀式的なものって、緊張する。


 こちらでの成人式はその年の人が集まってやるわけではなく、誕生日のその日から一年以内に教会に行き二十五歳になったことを告げる。

 そうすると『加護の祈り』ってのをしてくれて、それが終わると身分証の表示が大きく変わるらしい。


 全員に職業が表示され、魔法や技能が増えたり減ったり。

 そして魔法と技能に熟練度、つまりレベルが表示される。

 どれだけ修行したか、実経験を積んだかが一目瞭然となってしまうのである。


 もちろん、練度は今後も伸ばすことができるし、新しい技能や魔法の獲得も死ぬまで可能ではある。

 それによって、職業が変化することもあるという。

 しかし働く時に使うことが多くなるものと使わなくなるものができるため、全く違う種類の新しい技能や魔法は出にくくなるそうだ。


 熟練度は第五位が一番初歩、そこから第二位まで上がって一人前。

 第一位で名人級、特位で達人ということのようだ。

 どれくらい使うとどこまで上がるとかが判らないから、凄く楽しみだが怖い……

 学年末の成績表をもらう気分。

 取りあえず、今の自分を確認しておけば差が解るかもしれない。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 名前 タクト/文字魔法師カリグラファー 

 家名 スズヤ

 年齢 24 男

 在籍 シュリィイーレ

 養父 ガイハック/鍛冶師  

 養母 ミアレッラ/店主

 魔力 28677


 【魔法師 二等位】

 蒐集魔法 文字魔法 付与魔法 

 金融魔法 守護魔法 加工魔法

 制御魔法 複合魔法 集約魔法

 耐性魔法 強化魔法 変成魔法

 植物魔法 治癒魔法 雷光魔法

 混成魔法  

 

 【適性技能】 

 鍛冶技能 金属鑑定 金属操作 

 石工技能 貴石鑑定 鉱物操作

 錬金技能 身体鑑定 成長操作

 木工技能 植物鑑定 植物操作

 大気調整 大気鑑定 空間操作

 陶工技能 土類鑑定 土類操作

 水質鑑定 水性操作

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 魔力が馬鹿みたいに増えてるのはいつものことなのだが、またちょっと増えたなぁ。

 この【混成魔法】というのはどのタイミングで増えたのか判らない。

 いつの間にかあったのである。


 それと【変成魔法】は、ふたつ以上の物質を圧縮などすることによって『全く違う物質』にしてしまう魔法。

 もうひとつの【混成魔法】は、ふたつ以上の物質を一緒にしても『それぞれの特性を維持したままひとつにする』魔法だ。


 技能は判別だったものが、軒並み鑑定になった。

 そして『土類操作』『水質鑑定』『水性操作』が加わった。

 実はメニューの拡大によって色々な種類の皿が欲しくなったので、作ってしまったのだ。

 その時に、多くの種類の土に触れたせいと思われる『土類操作』。

 紅茶を入れる度に硬水から軟水に変えたり、状態を調べたりしていたせいであろう『水質鑑定』『水性操作』。


 これがどう変わるのだろう……

 そうだ、表示偽装を書き直しておこう。


『攻撃系・戦闘系の魔法・技能は全て非表示』

『赤属性の魔法・技能以外で表示されるのは文字魔法・付与魔法・耐性魔法・強化魔法のみ』

『魔力総量は3250で表示』

『身分証に表示されないものは全ての鑑定・看破・魔眼でも視ること、記憶すること、記録することはできない』


 これを全て『黒』で、太めの文字で書く。

 実は黒の特性が『強調』であることが判ったのだ。

 黒が一番強制力が強く、文字を太く書くことによって持続時間が長くなるのだ。

 魔力がたくさん入るのかもしれない。


 ちゃんと発動するか確認。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 名前 タクト/文字魔法師カリグラファー

 年齢 24 男

 在籍 シュリィイーレ 

 養父 ガイハック/鍛冶師  

 養母 ミアレッラ/店主

 魔力 3250


 【魔法師 二等位】

 文字魔法 付与魔法 加工魔法 

 耐性魔法 強化魔法


 【適性技能】 

 鍛冶技能 金属鑑定 金属錬成

 石工技能 鉱石鑑定 鉱物錬成

 陶工技能 土類鑑定 土類錬成

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 よし。

 これなら大丈夫かな。

 誕生日まであと少し……どう、変わるんだろうか。

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