第47話 創造と破壊
「うぃ~・・・・ヒック! わはははは~・・・ヒック!」
カムサムはベロンベロンに酔っ払っていた・・・。
「ちょ、ちょっとカムサム。もう、その位でやめなさいよ」
「何ぃ~・・・姫! 久しぶりの酒なんだよぉ~、しかも! こんなに美味い酒ははじめてだあ!」
フェンたちはオルペアパーラに入ってすぐに宿をとり、近くの酒場で食事をしていた。店員や客は確かに悪魔なのだが、フェンやユピが今まで戦ってきたような悪い奴はいない。
外から可愛らしい子供の悪魔たちの声が聞こえてくる。絵にかいたような平和な街だ。
「世界は広いな。価値観がまるっきり変わったよ。ここにいる悪魔はわたしら人間と何ら変わりない」
「そ、そうね・・・。悪いのは魔王軍・・・。なのよね・・・」
ユピは腕組みして言った。
「姫。迷うな。我らの目的は魔王討伐。それも何ら変わりない・・・はずだ」
すると奥のテーブルに座っていた老人が酒を持ってユピに近寄って来た。マンドリルに似ている。というかマンドリルが服を着ている。
(ん・・・?)
「コレ、お嬢さん・・・。あまり大きな声でそういう事をいうんじゃない。魔王軍に聞かれたらどうする」
「・・・これは失礼したご老人。気をつけます・・・」
マンドリルの老人はユピたちをじっと見つめた。
「お、お主ら・・・。もしや人間・・・か?」
「ち、ち、ち、違いますよ。ほら俺のおでこ。紋章あるでしょ?」
「・・・ホントじゃ。お主はまぎれもなく悪魔じゃな。ちょっと異質な感じがするが・・・。じゃが、お嬢さん方は人間じゃのう。わしはこれでも500歳を超える上級悪魔じゃ。なあに。悪いようにはせん。事情を話せ。わしは・・・」
マンドリルの老人はそこまで言うと、まわりをキョロキョロしてユピに耳打ちした。
「魔王軍、大っ嫌いなんじゃ」
酔っぱらったカムサムをユピがズルズルと引きずり、フェンたちはマンドリルの老人の家に招かれた。こじんまりとした家だが、綺麗に掃除されていて花のいい香りがする。
「・・・そういうことか。これはびっくり。噂の勇者パーティがお主らとはのう」
フェンたちはマンドリルの老人が淹れてくれたハーブティを美味しくいただき、旅の経緯を話した。
「おお、名乗るのを忘れておった。わしはガララ。見ての通り猿の悪魔じゃ。よろしくな」
「ガララさん・・・。このハーブティすごく美味しいです」
フェンは笑みをこぼして言った。
「ははは。そうか。良かった。この可愛らしいお嬢さんが聖剣の持ち主とは。お主らはギルティアの歴史について知らんじゃろう? わしが教えてやるわ。そこの召喚士の坊主も少し記憶を消されとるようじゃから忘れておるじゃろう?」
カエデは自分の頭をぽんぽんと叩いた。フェンとユピがうなずく。酔いのさめたカムサムは椅子に深く腰掛けて、擦りむいた膝を「ふーふー」している。
「・・・悪魔の地、ギルティア。正式な国名はその名の通り『ギルティア王国』じゃ。建国は5000年前。神ロドアによって力を与えられた雷鳥、炎鳥、風鳥が創った大陸に栄えた国じゃ」
ガララは続けた。
「初代魔王、つまりこの国を建国したのが『破壊神』と呼ばれる悪魔じゃ。今の魔王『アークシュタイン』がちょうど五十代目にあたる。意外に魔王の寿命は短いんじゃよ」
「ご、五十代目・・・」
「創造と破壊の輪廻。この世は上手くバランスをとりながら未来に向かって進んでおる。『創造神』に相対する神・・・それが『破壊神』じゃ」
「破壊神・・・」
「そう。破壊神の力は代々の魔王に継承される。そして破壊神となった魔王は100年に一度この世界に大きな破壊をもたらし生涯を終えるのじゃ。そしてまた、次なる魔王が破壊神となり繰り返す。世界の歴史的な大災害は破壊神によって起こされた破壊なんじゃよ」
ユピは眉をひそめ黙って腕組みしている。
「破壊神が何を破壊するかは誰もわからん。そして今年は現魔王『アークシュタイン』が100歳を迎える年。いつ破壊が起きてもおかしくないのじゃ」
ガララは続けた。
「ギルティア王国建国から5000年。魔王軍に所属しない学者の中には密かにこう分析する者もおる・・・」
カエデたちは息をのんだ。
「アークシュタインはギルティア王国も含めて、この世の全てを破壊するつもりではないか・・・とな」
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