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第13話 運命を導く者

 フェンとユピがフルゴラに向ってからちょうど一週間が過ぎた。


「カエデ〜。お腹減った」


 カエデは自分のおにぎりを半分に分け、大きい方をガルムにあげた。ガルムが尻尾を振ってもぐもぐと食べている。


 エルドラの厳しい修行に耐え抜いたカエデは、7日目にしてやっとガルムの獄炎を自在に操れるようになっていた。


 その日も修行を終え、目を閉じて草むらに寝そべっていると、フェンとユピが錫杖ヴァジュラを持って帰って来た。ユピが空に向って大声をだす。


師匠エルドラさま! ユピ、ただいま戻りました!」


「おお、直して来てくれたか・・・」


 エルドラが空から降りてくる。そして羽を休めた。


「ユピ、フェンご苦労じゃったな」


 ユピはフェンから錫杖ヴァジュラを受け取り、エルドラに手渡した。


「おお、さすがはウルヌラじゃ。完璧に修復されておる・・・」


 そう言ってエルドラが錫杖ヴァジュラを天に掲げると、しばらくして西の空に雨雲がやって来た。フルゴラの上空にあたる位置だ。



 およそ四か月ぶりの雨。


 こうして日照り続きだったフルゴラに念願の雨が降り注いだのである。深刻な水不足に陥る前に、古都フルゴラは救われたのだ。フェンたち(?)が作ったビーフシチューによって。


「さて、あとはカエデのブックの装飾じゃな」


 エルドラはそう言うと、カエデのブックに向かって錫杖ヴァジュラを振り下ろした。


 ブックは金色の光に包まれた。一瞬、雷のようなまばゆい光が弾けて、ブックは光を失った。表紙には雷鳥を模した装飾がほどこされている。


「カエデ。辛い修行によく耐えたのう。これで終わりじゃ。装飾もこの通り施した。これで水の精霊であるリリスの力はさらに上がるだろう」


「エルドラ様、ありがとうございました。これからも修行に励みます」


 エルドラは「フム」と言って続けた。


「それとブエルじゃが・・・」


 カムサムが頭を抱えた。


「カエデ。もうわかっとろうが。お主、とんでもない奴と契約したのう・・・。ブエルはこのまま成長するとわしら神々が束になってもかなわんくらいの化け物になる」


 カエデは遠くでガルムとじゃれあっているブエルを眺めた。その上を雷鳥(サンダーバード)の雛鳥がくるくる飛び回っている、


「その力を正しく制御できねば、世界を破滅においやるのは魔王ではなくブエルになるかもしれんぞい・・・」


 フェンはカエデを見た。


「万が一ブエルが暴走したとき、それを止めることが出来るのはガルムしかおらんじゃろうな。カエデ、炎鳥(フレイムバード)に会いにいけ。ガルムの力を引き出しておくんじゃ」


 カエデはうつむいている。そして目を上げて言った。


「フェン。俺、ブエルを守りたい。ブックを装飾して俺がもっと強くなれば、あいつを守れる。だから炎鳥フレイムバードを一緒に探してくれないかな・・・」


 フェンは笑みをこぼし言った。


「当たり前よ。あたしだってブエルの親友なんだから」


 するとカムサムが手に持った本を開いた。


炎鳥フレイムバードは火と太陽の神。カエデ君のブックを装飾してもらうのが、次の目的だね」


 カエデとフェンはうなずいた。ユピは例のごとく腕組みして、ただ黙って聞いていた。



 ・・・エルドラはユピに言った。


「ユピ。お主の運命も複雑じゃのう。フェンにカエデ。世界の行末はこの子達にかかってるようじゃ。天はすでにこの子達の運命をお主に任せておる。二人の運命を導く者として生きるのが、お主にとって良いのか悪いのか・・・」


 ユピは珍しく満面の笑みを浮かべて、空を見上げた。


「じゃあ、明日。夜が明けてから出発しようか~。炎鳥フレイムバードの住処は南海の孤島ジャジャ。まずはクリシュナへ行って、船を調達しますかねえ~」


「お――――――!」


 フェンとカエデは空に向って拳を振り上げた。


―――――――――――――――――――――


フェン・アスガルド 勇者 :LV26


カムサム・マグナ  賢者 :LV29


カエデ・イチノセ  召喚士:LV25


ユピ・ロゼリア   勇者 :LV35


―――――――――――――――――――――


最後までみていただいて本当にありがとうございました。


ブックマークしていただいた皆さま励みになります☆ 


これからも頑張りますので応援していただけると幸いです。


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