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Cafe Shelly

Cafe Shelly 売る物、買う物

作者: 日向ひなた

 本気でやばい。オレは帳簿の数字を眺めては自己嫌悪に陥っていた。このままだと借金を重ねてしまうことになる。なんとか売上を上げないと。

 ため息をついて空を見上げる。外はもう春の気配。本当ならこの陽気と一緒に、自分の心も晴れやかに、そしてにこやかになっているはずだったのだが。それにしても、お客さんが来ないな。

「真也くん、いるかい?」

「あ、商店会長さん。今日は何の用事ですか?」

 現れたのは残念ながらお客さんではない。頭がピカリと禿げ上がったこの商店街の商店会長さん。

 オレはいわゆるシャッター通りと呼ばれている商店街の一角に、再生支援という制度を活用して店を営んでいる。販売をしているのは、ちょっと珍しい健康食品や健康グッズ。健康食品というとネットワークビジネス的な怪しいイメージを持つ人もいるだろうが。オレが扱っているのはそんなものじゃない。野菜を中心とした自然食品と、そこに付随したサプリメント。さらには手軽に運動を促したり健康を促進できる小物やグッズ。

 都会だと大きな雑貨店にはたくさん並んでいるようなものではあるが。この街にも需要があるはずだと思い、オレはこの道にかけようと独立をしてこの店を営んでいる。

 最初は物珍しさもあって、それなりに商売は成り立っていた。が、半年も経つと客足も途絶えがちになる。さらに、この商店街はもともとシャッター通り。休日でも人で賑わうなんてことがない。

 そこで商店街ではイベントをやろうと企画しているところ。今訪れている商店会長さんもその話で来たに違いない。

「真也くん、この前の会合で決まった例の件だけど。ぜひ友達も手伝ってもらって、若手の力でなんとかならんかな」

 例の件って、イベントでぬいぐるみを着てパフォーマンスをするってことだよな。そんなことで人が呼べたら苦労はしないんだけど。でも、新参者のオレが反対できるわけもなく、なんとかしましょうと引き受けてしまったからなぁ。

「えぇ、とりあえず三人は確保できていますから。まぁちょっとだけですけどアルバイト代の方はお願いしますね」

「それはなんとかするよ。ところで、もう一つ相談があるんだけど、いいかな?」

 商店会長さん、若いオレが来た時から何かと頼みごとをしてくる。実は商売に身が入らない理由の一つがこれだ。こういった雑用的なことが多くて、本業のほうがおろそかになりつつある。

 実はオレが関わっているのはこの商店街のことだけではない。商工会議所の青年部にも所属して、毎週のように話し合いとかやっている。これも人脈を広げるためには必要なことだし。

 さらに地元のボランティアサークルにも所属している。ここではどちらかというと中心的に動いているからなぁ。そのとりまとめも大変だ。

 どれもビジネスに直結するだろうと思ってやっていること。おかげでオレという人物の信頼は高まったと自負できる。が、逆にいろいろな仕事が多すぎて本業が疎かになっているのは否めない。

 しかし、どうやったら売れるんだろうか。物はどれも悪くないし、買ってくれた人の評判もいい。なのにお客が来ないとは。

 やはりこんなシャッター通りに店を出すんじゃなかったな。家賃が安いからと飛びついたのが間違いだったか。かといって、繁華街にお店を出すほど資金があるわけじゃないし。どうしたものか。

「おい、真也くん、聞いてるか?」

「え、あ、はい」

 おっと、商店会長さんがなんか頼みごとに来たんだった。

「でね、この清掃活動にもっと若い人達に協力してもらいたいんだけど。ついでにマスコミ取材も呼びたいんだが。真也くんは顔が広いから、なんとかならないかな」

「まぁ、なんとかしましょう」

 オレの悪い癖だ。

 結局、商店会長の言う事を安請け合いして、また自分で自分の首を締めてしまう。まぁこういったボランティア的なことをやっていれば、回りまわってこちらにもいいことが返ってくるはずだ。それを信じて、また作業を行う。

 それにしても、本気で客を呼ばないと。ちょっと投資にはなるけれど、新聞の折込広告でも入れてみるか。そんなことを考えていたら、久々のお客様の到来。

「いらっしゃいませ」

「あ、こんにちは。へー、ここがうわさの健康グッズの店かぁ。確かにいろいろ置いてるなぁ」

 来店したのは背の高い男性。メガネを掛けてリュックをしょっている。よくみると、がっちりとした体つきをして、いかにもスポーツマンといった感じがする。

「今日は何かお探しですか?」

「いやぁ、知り合いからこんな店があるって聞いたもので。ボクも身体には気を付けている方だけど、生活が不摂生になりがちでね。ここに良いサプリメントがあるって聞いたんだけど」

「お客様は何か運動をしているのですか?」

「うん、自転車を少しね」

 少し、という割にはどう見ても本格的なアスリートだ。オレもいろいろな人を見ているが、筋肉の付き方とかを見ればどの程度のスポーツマンかはわかる。

 ここでお客さんはひとつの商品を手にした。

「これ、おもしろいな。身につけているだけで疲れが取れるのかぁ」

 オレはその瞬間を見逃さなかった。この商品は高い割には仕入れが安い。つまり利益率が高い商品だ。これは何としてでも売らないと。

「いいのに目をつけましたね。これはですね、マイナスイオンの働きで体に溜まった疲れの成分である乳酸を取り除いて、早く疲労回復を行うという製品なんですよ。プロ野球選手も愛用しているものなんですよ」

 さも最もらしい説明を行ったが、なんてことはない。商品のパッケージの裏に書いてあったことを思い出してそのまま伝えただけだ。

 ここでお客さんはニヤリと笑った。

「なるほど、これがこのお店のおすすめ商品なんだね」

「え、えぇ」

 おすすめ商品と言われて、ちょっと躊躇した。

 もともとオレはこういったグッズよりも健康食品の方を売りたいんだ。やはり毎日の栄養バランスをとることが健康の近道なのだから。しかし、人によっては即効性を求めたりする。そういう人のために、こういったグッズを販売しているのだが。

 ここでお客さんはビックリするような言葉をオレに伝えた。

「なるほど、このお店がイマイチな理由がわかったよ」

「えっ、なんなんですか?」

 いきなりそんなことを言い出すお客さん。失礼にも程がある。

 が、この後オレのほうが失礼だったことを痛感させられた。

「ごめんごめん、実はね、ボクはある人から頼まれてこのお店にやってきたんだ。そしてこのお店にアドバイスをしてくれないかと言われてね」

「あなたは一体…?」

「ボクはね、こういう者なんだ」

 お客さんは名刺を差し出した。そこにはこう書かれている。

コーチ 羽賀純一

「コーチって、スポーツか何かの?」

「いや、違うよ。コーチングって知っているかな?まぁ分かりやすく言えばコンサルタントみたいなもんだよ」

 コーチングというのは聞いたことがある。ビジネスとかで相手のやる気を引き出す会話術のことだったと記憶している。でも、その人がどうして?

「ある人に頼まれてって、それは誰なんですか?」

「ごめん、それは今は言えない。けれど、迫水さん、あなたのことをとても心配している人なんだよ」

 一体誰なんだ? 羽賀さんの言葉は続いた。

「それよりも、今の売り方とこのお店を見て、迫水さんにはとても大事なことが抜けているっていうのがわかったよ。これを持っていないと、残念ながら今のままで終わってしまうよ」

「大事なことってなんですか? それ、教えてくださいよ」

 なんか胡散臭い人だなぁ。誰に頼まれてやってきたのかは知らないけれど。オレはオレなりに考えて今の商売をやっているのに。それを否定された感じがした。

 だがこの羽賀さん、にこやかな顔をしてボクにさらにこんな言葉を続ける。

「ここで教えてあげるのは簡単なことなんだよ。けれど、教えたところできっと迫水さんはこう思うだろうね。そんなことは知っている。そのくらいのことはやっている、ってね。ボクからみると、迫水さんは負けず嫌いなところがあるように思えるんだけど」

 その点を指摘されてドキッとした。

 確かにそうだ。特に今回のように、自分の欠点を指摘されるとムキになって反論してしまうところがある。

「じゃぁ、どうすればいいんですか? 羽賀さんが教えてくれないのなら、オレはずっとこのままでいろってことですか?」

 頭でわかっているのに、またムキになって反論。

「いやいや、迫水さんはとても学んでいる人だっていうのは聞いているよ。だからね、ボクの役割はその学びを促すだけだよ。その前に気づくこと、ここから始めてみないか」

「気づくってどうやって?」

 気持ち的にはまだムッとしているオレ。羽賀さんはそんなオレにこんな方法を提案してきた。

「ボクの知り合いにおもしろい喫茶店をやっているところがあるんだよ。その喫茶店は今の迫水さんにはないものを持っている。よかったら一緒に行ってそれを観察してみないか」

 ふん、面白い。その喫茶店とやらを観察してみようじゃないか。

「いいでしょう。でも、お店を空けるわけにはいかないから、行けるのは夜かうちの店休日の火曜になりますけど」

「夜は七時までしかやっていないから、来週の火曜日にしよう」

「わかりました」

 待ち合わせの場所と時間を決めて、オレは気持ちが高まった。オレのやり方のどこが悪いんだ。オレに何が足りないんだ。くそっ、そんなに言うなら見てやろうじゃないか。今はその気持でいっぱい。そんな気持ちを抱いたまま、約束の火曜日を迎えた。

「お待たせしました」

 待ち合わせは駅前の噴水。羽賀さんはにこやかな軽いノリでオレにこう言う。

「よっし、じゃぁ行こうか。ところで迫水さんはコーヒーは大丈夫かな?」

「えぇ、飲みますけど」

「今日はおもしろいコーヒーも飲んでもらおう。きっと足りないものの答えを教えてくれるよ」

 コーヒーを飲むと答えを教えてくれる? 意味が分からない。とにかくオレは羽賀さんのあとを付いて行くことに。

 連れて行かれたのは、とある細い通り。ここはオレも何度か来たことはある。パステル色のブロックで敷き詰められた、車一台が通るのがやっとのところ。道の両側にはブロックでできた花壇があり、そろそろ春の花を咲かせている。

「ここだよ」

 羽賀さんが指さしたのはとあるビルの二階。その入口には黒板の立て看板がある。

「カフェ・シェリーですか?」

「そう。このお店にいろいろなヒントが隠されているから。ぜひ見つけてみてね」

 そう言って羽賀さんは階段を上がっていく。オレもその後に続く。

カラン、コロン、カラン

 ドアをひらくと軽快な音と共に響くいらっしゃいませの声。

「マスター、マイちゃん、こんにちは」

「羽賀さん、いらっしゃい」

 カウンターからこのお店のマスターがにこやかな顔でオレたちを迎えてくれた。フロアに目をやると、かわいい女性の店員さんがにっこりと微笑んでいる。

 店全体に目をやる。白とブラウンを基調とした、落ち着いた空間。そんな中にもアクセントとなるピンクや赤といった色合いの花が置いてある。店の中にはコーヒーと甘いクッキーの香り。なるほど、空間演出的なものは成功しているな。

 まぁ確かにオレの店は殺風景だから、こういった空間づくりが足りないが。羽賀さんはそれを見せたかったのだろうか?

「マスター、こちらは迫水真也さん。山下町の商店街で健康食品や健康グッズの販売をしているんですよ」

 羽賀さんはカウンター席に座りながら、店のマスターにオレのことを紹介してくれた。オレも羽賀さんに続いてカウンター席に座った。

「へぇ、健康食品ですか。私も体には気をつかっている方なんですよ。羽賀さんほどのスポーツマンじゃありませんが、ジムには行っていますからね」

 確かに、マスターの体つきは筋肉質でその年令を感じさせないものがある。

 それにしても小さな喫茶店だな。今座っているカウンター席が四つ、店の中央に三人がけの丸テーブル、窓の方には四人がけの半円型のテーブル。十人も入れば満席じゃないか。よくこれで商売が成り立つな。

「マスター、シェリー・ブレンドを二つ」

「かしこまりました」

 そう言ってマスターはコーヒーを入れる作業に入った。

 あらためてメニューを開いても、コーヒーが中心で食べ物は少ししか無い。いわゆる純喫茶ってやつか。取り扱う商品を絞るのも大事だな。羽賀さんはそれを伝えたかったのだろうか?

「ところで真也さんは主にどんな健康グッズを売っているんですか?」

 マスターはコーヒーを入れながらオレに問いかけてくる。どんな、と言われて悩んでしまった。

 健康グッズは人に説明しにくいものが多い。おまけに、これといったおすすめ商品があるわけじゃない。

「そうですね。まぁスポーツの疲労回復とか、肩こりの解消とか、あとは運動のためのものとか。いろいろ扱っていますよ」

 この程度の返事しかできない。

「なるほど。じゃぁ私が真也さんのお店をお客さんに紹介するときには、何のお店と言えばいいですかね?」

 何のお店って、だから健康食品や健康グッズのお店って羽賀さんが紹介したじゃないか。それに、うちのメイン商品は健康食品の方だし。そう思ってちょっと反論。

「うちは健康グッズよりも健康食品の方が一番のウリなんです。とあるメーカーのものを中心にしたサプリメントなんですけど。そのおかげでオレ自身も健康を取り戻した経験がありますから」

 ここで羽賀さんが横から口を挟んできた。

「へぇ、そうだったんだ。私には健康グッズの方が中心に見えましたよ。サプリメントはついでに見えました」

 そうなのか? 言われて自分の店をもう一度思い返してみた。

 確かに羽賀さんが言うように表には健康グッズ、奥のカウンターにサプリメントという形にしている。そのため、通りからは健康グッズ屋に見えるだろう。しかし、お客さんを呼ぶにはサプリメントを前面に出しても効果はないだろう。ここはオレも悩んだことだ。

「確かに羽賀さんの言うとおりだとは思いますが。でも…」

 言いかけたときに、マスターがコーヒーをさし出してくれた。

「真也さん、まぁ一杯飲んでみませんか? 話はそれからでも」

「あ、はい」

 そう言ってオレはコーヒーを口にした。

 オレはコーヒーの専門家じゃない。けれど、ここのコーヒーが美味いのは間違いない。と同時に、深みを感じた。

 さらに、その深みの奥になんだかわからない感情が湧いてきた。なんだ、これ?

 まっさきに浮かんだ言葉が「ありがとう」。そして「どうぞ」という声と笑い声。こういうやりとりをお客さんとやりたいなぁ。ふとそんな考えが頭をよぎった。

「そうか、そうなんだ。こういうのがオレの店にあればいいんだ」

 思ったことがふと言葉にして出てきた。

「一体どんなものを感じましたか?」

 羽賀さんの声でハッと我に返った。喫茶店にいるんだったな。でも、今のはなんだったんだ?

「あ、えぇ、いやぁ」

 さっき感じた感覚がまだ頭に残っている。けれど、そんな幻覚みたいなものを見ただなんて口にはできない。

「迫水さん、何か不思議な感覚を覚えたんじゃないですか?コーヒー以外の味を感じたか、何か見えたか」

「えぇ、まぁ。これって何なんですか?」

「マスター、説明してあげてください」

 説明って、オレに何が起きたんだ?

「不思議な味がしたでしょう。これがこのコーヒー、シェリー・ブレンドの魔法なんです。このコーヒーは飲んだ人が望む味がします。まれにその望みを映像として見せてくれることもあるんです」

 そんなバカな。そう思ったが、実際に今オレはそれを体験した。

 ということは、オレがさっき感じた物。ありがとうという声と、どうぞという声、そして笑い声。そうやってお店の中が賑わっている。これがオレの望んでいるものなのか。うん、確かにそう言われればそうなのだが。

「先ほど、こういうのがお店にあればいいんだっておっしゃいましたよね。それ、よかったら詳しく聞かせてください」

 羽賀さんの促しに、オレは今見たことが自然と口に出てきた。ありがとうという声、どうぞという声、そして笑い声。それが今の店にないことに気づいた。

「なるほど、そんなものを感じたのですね。それに対して迫水さんはどう思っていますか?」

「それが自分でもよくわからないんです。オレ、今の店を開いたときには笑顔あふれてお客さんがワイワイできる店をつくろうって思っていたはずなのに。いつの間にそんな思いがなくなっていたんだろう」

「そうでしたか。マスター、よかったらこのお店の四つの思いの話をしてもらってもいいですか?」

「えぇ、構いませんよ」

 四つの思い? それはなんだろう。そういえば羽賀さんはオレの店にないものをこの喫茶店は持っていると言っていたな。そのことなのだろうか。

 マスターはにこやかな顔をして話を始めた。

「今からお話しする四つの思い。これは私が今まで学んできた成功哲学の中から、商売を行うために特に必要だと思うものを抜き出して、この店の理念としているものです。まぁ特別なものでもないんですけどね」

 成功哲学なら、腐るほど本を読んだ。それを実践していたつもりだが。

 オレは黙ってマスターの話に耳を傾けた。

「まず一つ目は『感謝の心』です」

 聞いてちょっとがっかりした。

 お客様に感謝する、なんていうのは当たり前じゃないか。

「真也さんはお客様に感謝されていますか?」

「えっ、感謝されているか?」

 思わぬ言葉に、オレは思考が止まった。

 お客様や周りに感謝することは実践している。けれど感謝されているって、あまり意識したことがない。

「そう、お客様にありがとうを言われているか、ということです。この数が多ければ多いほど、自分への利益になるんですよ」

「はぁ、でもモノを売ったりサービスを提供したりすればお客様から感謝されるんじゃないですか?」

「では、お客様は真也さんにありがとうって言ってお店を出ていますか?」

 そう言われると、オレがありがとうございましたって言うことが当たり前で、お客さんからそういった言葉を聞いたことがない。オレが無言でいると、羽賀さんが突然こんな質問をしてきた。

「迫水さんは世界的な大富豪といえば誰を思い出しますか?」

「えっと、そうですね…マイクロソフトのビル・ゲイツなんていうのは有名でしたよね」

「では彼がどうやって大富豪になったか、わかりますか?」

「そりゃ、Windowsを開発して世に出したからでしょう」

「そうですね。Windowsの出現で私たちのパソコン生活は大きく変化しました。あの恩恵を迫水さんも得ているのではないですか?」

 確かにその通りだ。

「あのWindowsのおかげで、直接的ではないにしても私たちはMicrosoft社に感謝をしたはずです。そして、そのMicrosoft社をつくったビル・ゲイツに感謝をしたことになります。世界中の人がそうなったわけですから、ビル・ゲイツはその感謝を受けてあれだけの資産を築くことになったんですよ。これはどの成功者も同じことが言えます。多くの人に感謝されたからこそ、あれだけの報酬を得られたんですよ」

 なるほど、確かにそうだ。

「ということは、まずはお客様に感謝されることをしなければいけない、ということなのですね」

「はい、その通りです。お客様に感謝をすることは当たり前。感謝されてこそ商売は成り立つ。そこを抜きにして、一方的に商品やサービスを与えても意味はありません」

 マスターの言葉はオレの心に大きく響いた。自分の商売を見なおさないと。

「なるほど、わかりました。でも、どうやればお客様に感謝されるようなことができるのかなぁ」

 オレのつぶやきにマスターがさらに応えてくれた。

「そのための方法が二つ目の思いです」

「そ、それ、教えてくださいっ」

 オレは思わず前のめりになってマスターにせがんだ。

「まずは与えよ、です」

「まずは与えよ?」

 どういうことだろう。マスターの話は続く。

「真也さんは『情けは人のためならず』という言葉を知っていますか?」

「えぇ。これ、情けをかけると人のためにならないって勘違いをしている人が多いですよね。正解は、情けをかけると回りまわって自分のところに返ってくるということでしたよね」

「はい、その通りです。その意味をもっと明確にした言葉が先程の『まずは与えよ』なのです」

 あ、そういうことか。つまり自分が何かを欲しければ、まずは自分の出来ることを相手に与えなさい、ということか。

 ここでオレは何気にシェリー・ブレンドに手を伸ばした。そしてコーヒーを口につけた瞬間、頭の中で大きなものが爆発した感じがした。

 爆発、というと過激に聞こえるが。そこから溢れてくるのは自分の持っている健康知識。これを多くの人に分け与えている、そんなイメージの絵が一瞬頭に描けた。これは何を意味しているのだろうか?

「迫水さんはボランティア活動や商店会の活動なんかをしているんですよね」

 羽賀さんの声で現実に引き戻された。

「え、えぇ、そうです。でも、本音を話せばそういった活動は情けとかそんなのじゃないですよ」

 これはオレの本音だ。

「ほう、よかったらそこをもう少し詳しく聞かせてくれませんか?」

 マスターの促しに、オレはなぜか自分の心を話したくなった。

「情けじゃなく打算的な行動ですよ。そうやってボランティア的に活動していれば人脈も広がるし。また信頼も得られます。そうしてお客さんにつなげようとしていたんです。こんな気持じゃ、まずは与えよなんて無理なことですよね」

「いえ、そんなことはありませんよ。迫水さんはすでにその恩恵をもらっていますからね」

「羽賀さん、それはどういう意味ですか?」

 オレは羽賀さんの言葉が気になった。が、羽賀さんはニコニコと笑うだけでそれ以上のことは教えてくれなかった。

「それよりも、三つ目にいきましょうか」

 羽賀さん、何か隠しているのか? 羽賀さんのその言葉で、マスターは三つ目の心の話を始めた。

「では三つ目の心です。それは競争よりも協力です。私たちは競争社会に生きています。しかし、ものごとを効率よく効果的に行うには、競争よりも協力のほうがいいんですよ」

「これ、マスターの十八番だよね」

 羽賀さんの言葉でマスターはさらに笑顔になった。

「十八番って、どんなことをやっているんですか?」

 オレはそこにとても興味を持った。

「ははは、そう言われると言わなきゃいけなくなるじゃないですか」

「言われなくてもいうくせに」

 このとき、店員の女性が横から口を挟んできた。なかなか可愛らしくきれいな人だ。

「あ、紹介します。私の妻のマイといいます」

「こんにちは」

 えぇっ、ちょっとビックリだなぁ。マスターはどう見ても年齢が四十代半ば。それに対してマイさんはまだ若い。

 オレが言葉を失っていると、羽賀さんがすかさずフォローしてくれた。

「マスターは昔高校の先生をやっていてね。マイさんはそのときの教え子だったんだよ。年齢差は二十以上あるけど、どこからどうみてもお似合いのカップルだよ」

「羽賀さん、ありがと。でね、ウチのマスターはホント気前が良すぎて。さっき、まずは与えよって話をしてたでしょ。そのおかげで、多くの人と協力できるようになったんです。ここにいる羽賀さんもそのうちの一人ですし」

「はい、マスターが協力してくれているおかげで、私も商売が成り立っているようなものですよ」

「それ、もっと詳しく教えてください」

 商売が成り立つと聞いて、聞かないわけにはいかない。

「ははは、そんなに大したことじゃありませんよ。そうですね、一つたとえ話をしましょう」

 どんな話だろう?

「真也さんはブティックの社長です。ここにいる三人がその店員です。そのうちの一人、マイがカリスマ店員ですごい売り上げをあげていたとします。でも他の二人はそうでもない。さて、真也さんだったらお店の売上をあげるのにどうしますか?」

 どうするって、他の二人の売上を上げるか、カリスマ店員にもっと稼いでもらうしかないだろう。

「そうですね、他の二人にももっとハッパをかける意味で売り上げランキングをつけて、トップには報奨金を出すとか」

「なるほど、競争ですね。その場合、どう考えても私たち二人はカリスマ店員のマイにはとうてい及びません。また、マイも報奨金が出るとなると、きっと自分のノウハウは独り占めですね」

 確かにそうだなぁ。

「だからこそ、協力なんですよ」

「となると、マイさんは他の二人に自分のノウハウを教えるってことですか?」

「そう、その通り。そうすることで、私たち二人は効果的な売り方を学べます」

「でも、それじゃマイさんは教育に時間がかかって、自分が売る時間がなくなってしまい、売上が減るんじゃないですか?」

「そこをカバーするために、協力をするんです。協力をすることでお店の売上はアップします」

 マスターの言っていることはわからなくはないが。ここで一つ疑問が出た。

「同じ組織内で協力するって言うのはなんとなくわかりました。でも、オレのところみたいに一人で商売をやっているところはどうなんですか? 協力しようにも、その相手がいないんじゃ意味が無いですよ」

「あら、うちも同じですよ。二人でやっているんですからね。だからこそ、同業者で協力するんです」

 マイさんがそう言う。オレはすかさず反論。

「同業者って、ライバルじゃないですか。ただでさえお客の取り合いをやらなきゃいけないのに。協力なんて…」

「つまり、シェアの奪い合いっていうやつですね」

「はい、マスターの言うとおりです。今は競争社会なのに、そんな中で協力は意味があるんですか?」

「真也さん、私はこう思うんです。競争社会だからこそ、協力が必要なんだって。まずは業界全体の客数を増やす。そうすれば当然売上は底上げできます。すると、どのお店も今までのシェアであっても、売上は伸びますよね」

「まぁ、確かにそうですけど」

「実際に、私の指導した居酒屋さんたちはそうやって手を組んで、イベントなどを行って全体の客数を伸ばしているんです」

 それニュースで見たことがある。

 だからといって、オレの場合本当にだれと協力をすればいいのだ? その疑問を素直に羽賀さんにぶつけてみた。

「なるほど。確かに迫水さんの場合、周りにそういった健康グッズを売る人はいないですね。だからこそ、四つ目の心が効くんじゃないですか? ね、マスター」

「はい、その通りです」

 マスターと羽賀さんは目で合図をしながら、オレの言葉に対しての答えを確認しあっていた。まるで、オレがそう質問することがあらかじめわかっていたかのようだ。

「じゃぁ、その四つ目を教えてくださいっ」

 オレはがっつくようにマスターに懇願した。

「真也さん、そんなに慌てないで。では四つ目です。それは『人を育てる』、つまり人材育成です。これは先程のカリスマ店員の例でもお伝えしましたが。協力者を育成すること、これも大事なことなのです」

 人を育てる。オレは今までずっと一人で商売をやってきた。人を雇って、なんてところまで稼いでいないということも理由なのだが。そんな人を育てる、なんてことは最初から頭になかったのは確かだ。

「企業は人なり、という言葉はよく耳にするでしょう。この人材育成を成功させれば、どんな状況でも儲けを創りだすことは可能なんですよ」

「でも…今は人を雇って育てるなんて余裕はありません…」

「あらぁ、それは大丈夫ですよ。うちの店がやっていることをやればいいんです」

 オレの嘆きに、マイさんがそうアドバイスをしてきた。

「このお店がしていること? なんですかそれ、教えてくださいっ!」

 オレはなりふり構わず懇願した。とにかく、得られる情報は貪欲に得に行かないと。

 オレの勢いにマスターはちょっとびっくりしたが、すぐににこやかな顔に戻ってこう言った。

「真也さん、マイが言ったことはまさに今、この場で行われていることなんです」

「今行われていること?」

「はい、今は何の話をしていましたっけ?」

「人材育成、ですよね」

「そうです。まだお気づきになりませんか?」

 えっ、どういうことだ? オレがキョトンとしていると、マスターはさらにこんなヒントをくれた。

「誰が誰を育成しているんでしょうね?」

 ここでようやくわかった。そうか、今この場で行われている会話。これこそが人材育成そのものじゃないか。

「わかりましたよ。つまり、マスターたちがオレ、つまりお客さんを育成している。そういうことなんですね」

「そう、その通りです。私たちはお客様に学びの場を提供しているのです」

 このとき、頭の中で何かが一瞬ひらめいた。が、すぐにどこかに流されてしまい、それが一体なんだったのかを思い出すことができない。

「マスター、今の言葉をもう一度言ってもらってもいいですか? ちくしょう、今一瞬いいことをひらめいたのに。えぇ〜っ、なんだったかなぁ」

「迫水さん、何かいいアイデアがひらめいたんですね。マスター、お願いします」

「うん、それでは私が今の言葉をもう一度言います。そうしたら残りのシェリー・ブレンドを飲んでみてください。きっと何かが見えてきますよ」

 マスターの言葉に、オレは残りわずかのシェリー・ブレンドを手にとって構えて待った。

「私が今言ったのは、私たちはお客様に学びの場を提供しているということです」

 それっ。すかさずシェリー・ブレンドを口に運ぶ。そして眼を閉じてみる。

 このとき、大勢の人の姿が見えた。そしてオレはその人達にむけて何かをしゃべっている。

 そうか、オレがお客さんを教育すればいいんだ。そうしたら、お客さんは健康についてさらに深く学ぶ。これは人材育成だ。

 すると、その輪が広がる。協力になるな。オレはその情報を無料で提供。まずは与えよ、だ。するとお客様から感謝されるじゃないか。

 頭の中ですべての糸がつながった。そうか、今までオレは何でも一人でやろうと頑張っていた。けれどそれじゃダメなんだ。もっと周りと協力できるように、周りを育てていなかいと。

「羽賀さん、マスター、わかりましたよ。オレのやるべき事が見えてきました」

「うん、さっきまでと目の輝きが違うよ。どうやら何かを見つけたようだね。よかったら詳しく教えてくれないか」

 羽賀さんの言葉に、オレは頭の中で浮かんだことを口にした。いや、口から先に言葉が出たといったほうがいいだろう。言いながら、こうすればいいんだということに気づいていく。そしてその口から出たことを早速実行にうつすことを決意した。

「よし、それ、楽しみだな。ボクも早速協力させてもらうよ」

「私もお店で宣伝させていただきますよ」

「ありがとうございます」

 早速、協力を始めることができた。

 ボクが考えついたこと、それは…その二週間後、早速それがスタートした。

「では今から、健康づくり教室を始めます」

 お店のレイアウトを少し変更して、小さな教室を開いた。そこで無料の健康づくり教室を始めることにしたのだ。

 今、目の前には五人のお客様がいる。羽賀さんいわく、初回としては上出来だとか。

 お客さんは、羽賀さんの知り合いが二人、オレのお客さんが二人、そしてカフェ・シェリーで見たという若い女性が一人。みんな熱心にオレの話に耳を傾けてくれる。そして終わったときにみんながこう言ってくれた。

「ありがとうございます」

 うん、なんかいい響きだな。そして二人のお客さんがうちの商品を買って帰ってくれた。

「また来週も行いますので。今度はまた違うテーマでやりますから、よかったらお越し下さいね」

 そう言って来週開催のチラシを渡す。そのおかげか、二回目は人数が一人増えて六人に。さらに三回目はもう一人増えて七人に。

 毎回メンバーが微妙に入れ替わっているが、そんな中カフェ・シェリーで聞いて参加しているという女性だけはずっときている。おかげでその女性とも少しずつ話せるようになり、なんとなく仲がよくなってきた。

 そんな感じでニヶ月ほど続けてきたが、とうとうお店での講座もお客さんがいっぱいになってしまった。うちのお店はそんなに広くないので、十人ちょっとが限度である。

 ありがたいことに、講座を開くと何名かは商品を買って帰ってくれる。そのおかげで売上も徐々に伸び始めた。ここは一つ、勝負をかけて広い会場を借りてみるか。

 しかし、ここで問題が発生。オレが広い会場で講座をやってしまうと、その間は店を閉めないといけなくなる。最近になってボチボチとお客さんも増えてきたのに、それはもったいない。この週の講座が終わったあと、そんなことを参加者にちょっと漏らしてしまった。すると、意外な反応が。

「私でよかったらお店を手伝わせてもらえませんか?」

 そう言ってきたのは、一回目からずっと参加している女性。名前は沢田ちかさん。今は職を探しながら、家事手伝いとコンビニのアルバイトをしているということ。

「でも…そんなにお給料出せないですけど…」

「いいんです。私、迫水さんの考え方に賛同しているんです。こうやって私たちに無料で健康の知識を与えてくれて。今まで学ばせてきたお礼ですから。それに、何度もここに足を運んでいたおかげで、お店のやりかたもなんとなく分かってきましたから」

 正直なところ、すごく嬉しい。それは、お店を手伝ってもらえるというだけではない。実のところ、もう少し沢田さんとプライベートでもお近づきになりたいなと思っていたから。

 さらにありがたいことに、週一回ならば空き店舗を無料で貸してくれるという商店会長の粋な計らいをいただいた。

 なんだか全てが順調に動き出した。これも羽賀さんとカフェ・シェリーのマスターのおかげだ。そういえば、あの日以来オレはカフェ・シェリーに足を運ぶ時間もなく働いていた。お礼を言いに行かないと。そう思って、次の休みにようやく足を運ぶことにした。

 もともとカフェ・シェリーのお客さんであった沢田さんも誘ってみたら、ふたつ返事でOK。やった、ちょっとしたデートになるかな。

 そうしてオレはようやくカフェ・シェリーの扉を開いた。

カラン、コロン、カラン

「いらっしゃいませ」

 マイさんの声に続いて、マスターの声もこだまする。

「ご無沙汰しています。その節はありがとうございました」

 オレはお店に入るなり、深々と頭を下げた。

「おぉ、真也さんじゃないですか。あ、今日はちかちゃんも一緒なんだね。さ、こちらへどうぞ」

 マスターはオレと沢田さんをカウンター席へと誘導した。すると、そこには運のいいことに羽賀さんの姿もあるじゃないか。

「かなり順調にいっているようだね」

「羽賀さん、本当にありがとうございました」

「ボクは何もしていないよ。この店に連れてきただけだからね」

「それがオレの転機になったんです。おかげで忙しくさせていただいています」

 ホント、羽賀さんと出会う前とは大違いの毎日を送っている。健康講座が無い日でも、お客さんが居座って長話をするようになった。これはうれしいことだ。

 さらに、沢田さんもセミナー以外の日はお客さんとしてきているのに、接客をしてくれる。

「で、ちかちゃんは目標達成できそうなのかな?」

「えっ、そ、それは…」

 沢田さん、マスターに突然そう言われて赤い顔をしてうつむいてしまった。目標達成ってなんなのだろう?

「マスター、それはちょっと野暮な話でしょ。こういうのは自然に任せればいいんだから」

 マイさんが言葉をかぶせているが、オレには何のことかわからない。

「沢田さん、何か目標を持っていたんだ。よかったら聞かせてよ」

「そ、それはまた後で。それより、注文しましょ。シェリー・ブレンドでいい?」

 沢田さん、何かをごまかすようにあわてて注文をしている。もちろん、ここに来たらシェリー・ブレンドに決まっている。二つ注文して、今度はオレが羽賀さんに質問をした。

「ねぇ、羽賀さん。最初にオレのところに現れたときに、誰かに依頼されて来たって言ってましたよね。それ、結局誰なんですか?」

「そっか、迫水さんにはまだ話してなかったね。それはね…」

 そのとき、カウベルの音と共にカフェ・シェリーに一人の人物が現れた。

「あ、会長さん」

 商店会長である。

「おぉ、真也くんもここに来ていたのか。あ、羽賀さん、この度はいろいろとありがとうございました」

 商店会長、羽賀さんとお知り合いだったのか。

「いやぁ、実は今まさに会長の話をしようとしていたところなんです。あの話、してもいいですよね?」

「えぇ、構いませんよ」

 あの話とはなんなのだろうか? オレは改めて羽賀さんの方を向いて身構えた。

「迫水さん、実は私に今回の件を依頼してきたのは、この商店会長さんなんですよ」

 えぇっ、それはビックリだ。でもどうして?

「ははは、真也くんにはいろいろとお世話になっているからね。いつも頼りっぱなしで申し訳ないと思っていたんだよ。で、何かお礼ができないかと思っていたときに、この店で羽賀さんと出会ってね。そこで、羽賀さんに真也くんの商売がうまくいくように指導してもらうことでお返しができるかなと思ってね」

 そういうことだったのか。前に羽賀さんが、まずは与えよの話をしたときにオレがすでに恩恵をうけていると言っていた意味が今わかった。

「会長、ありがとうございます」

 オレは涙してお礼を述べた。

「ところで、あっちの方は進展はどうなんだい? 見たところ、うまくいっているようだけど」

「えっ、あっちの方?」

 突然商店会長から言われて、何のことかわからなかった。健康講座のことかな?

「なんだ、ちかちゃん、まだあれから進展がないのかい?」

「え、あ、はい…」

 おれじゃなくて沢田さんのこと? おれが戸惑っていると、マイさんが助け舟を出してくれた。

「真也さん、商売ばかり見ていないで、そばにいる女性もちゃんと見てあげてね」

 ここであらためて沢田さんを見る。え、まさか、そういうこと?

「男女の仲も、感謝の心と与える心、協力する心が大事です。そうすることで、お互いが育っていくんですから」

 マスターはカップを磨きながら独り言のようにそう言う。

 あらためて沢田さんを意識する。なんだか照れくさいな。けれど、公私共に非常に心強いパートナーができた感じがしてうれしい。

 今回は大きなことを勉強できた。売り手が売りたいものだけを売っていてはダメ。買う人のために何が出来るのか。売るものと買うものが一致して初めて商売が成り立つ。そのための四つの心、これを自分の心情として生きていこう。

「マスター、頑張ります」

 オレは力強く、そう決意した。


<売る物、買う物 完>

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