第67話 ファッション回①
男の娘のファッションを考えたい!!
という欲望をぶつけました。
皆さんの脳内で思い思いの可愛い男の娘を想像しながら読んでください。
そして待望の夜が来た。
「今日は何から来ましょうか!! ふふふ、とっても楽しみです!!」
ベッドの上いっぱいに服を広げた翠はまさにご満悦と言った表情だ。
ここは尖塔の最上階にあるダイヤの寝室だ。
「しっかしまあ、女装趣味がバレないようにするために、マジックバックと消音魔法とは。気合が入ってるねえ」
「五月蠅い! 良いだろう別に!! それで何が困るわけではないし!!」
「まーねー」
そう、ダイヤ王子は高価なマジックバック――ラノベとかでよく見る見た目以上に荷物の入る魔法のカバン――と、音が漏れないようにする結界の魔法を張っている。
何かの拍子に自分の趣味がバレないようにするためだ。
「……苦労してるんだな、王子様も」
「……君にそう言われると、何だかムズ痒い気分になるよ」
「そんなことよりも!! 何を着るか決めましょーよー! せっかく沢山あるんだから!!」
「ああ、そうだな」
ファッションで遊ぶのは翠とダイヤだけで、俺はコメントとかサポートとかが主な役目だ。
本当は俺も色んな服を着たかったのだが「お兄ちゃんは何時でも良いじゃないですか! この時間の主役は私とダイヤ君です!!」と翠に言われてしまった。
しゃあなしである。
「私的には、今日はちょっといつもと違うファッションがしたいんですよね」
「うーん、じゃあ……オーバーオールとかどう? 翠ちゃんあんまり持ってないけど、似合うと思うんだよね」
「あっ、じゃあ私はオーバーオールをメインにします。あとは……シャツはボーダーとかかな? それと小物に……ベレー帽と丸メガネとか合わせたいですね」
「うん、良い感じじゃない? じゃダイヤ王子はどうする?」
「ボクは別に……何でも……」
「こら! 何でも良いみたいなのが一番お母さんは困るんだぞ!!」
「いや別にお母さんではないだろう、君は」
「そうですよ。それにもし本当に何でもいいって言うなら、ダイヤ王子は首にチョーカー付けてオチ〇チンにリボン巻いただけとかにしますよ!!」
「分かったよ!! ちゃんと選ぶよ!! それでいいんだろう!!」
「何か、翠の趣味って結構アレだよな……」
我が弟の性癖が心配だ。
――俺みたいにならなければいいが。
「え~と、そうだなあ。ボクは……じゃあ……コレかな」
そう言ってダイヤが選んだのは、ハイウエストのクラシックスカートだった。
ギャザーが入ってフワフワとした上品なスタイルのものだ。
「ダイヤ王子ってこういうお嬢さまコーデって感じの服好きだよね」
「わ、悪いかい!?」
「いや全然? むしろ超かわいいじゃん。俺こういうの好きだよ」
「そ、そう? ならいいんだけれど」
「じゃあ後はトップスですね。スカートの色はグレーなので色は何でも良いですけど」
「スカートに合わせてトップスもお嬢さま感欲しいけど、下が結構ゆるふわ系だから、シンプルな感じのにしてバランス入れたいよね。……このストライプのシャツってどう? ネイビーの。これに黄色いリボンを差し色として入れたいね」
「良いじゃないですか! 流石はお兄ちゃん!」
「ダイヤ王子的にはどう?」
「……うん、ちょっと試してみたい気がする」
「じゃあそれで行きましょう!!」
というわけで、しばし着替えの時間である。
この間、俺は部屋の外で待機している。
同性とは言え、ダイヤは着替えを見られるのを嫌がるかもしれないと思って、念のためそうしている。
また、翠とダイヤはベッドのカーテンを仕切りにしてお互いが見えないようにしている。
「どう? そろそろ良いか?」
「いいですよー」
「あ、ああ。ボクも構わないよ」
とのことなので、部屋に入ってみると。
「おおおお! 2人とも超似合うじゃーん!! 可愛い!!」
着替え終えた二人が、並んで立っていた。
「いやあ、やっぱ私ってばかわいいですねー!」
翠は長髪を軽く束ねてベレー帽を被り、丸メガネを掛けている。
そしてシンプルなボーダーのシャツと、カーキのオーバーオールを合わせている。
また、先ほどの話には出ていなかったが、真鍮のイヤリングも付けている。
普段ワンピースやフワッとしたスカートなどガーリー系のファッションを好む翠ちゃんとしてはやや珍しい雰囲気だが、小物で可愛らしさを出すあたりが彼らしい。
「ふーん、まあ。悪くはないね……」
などと言っているダイヤは耳をちょっと赤らめている。
彼は先ほど選んだグレーのクラシカルなスカートとストライプのシャツ、そして黄色いリボンをタイにして首元にアクセントカラーを入れている。
そして先ほどは話しには上がらなかったが、彼もベレー帽と丸メガネを掛けている。
「あれ、翠ちゃんとお揃いにしたんだ。良いじゃん!」
「可愛いと思って私が押したんですよー! どうです、ダイヤ君?」
「う、あ。まあ、うん。アリだとは思うけどね」
表情としてはどう見ても満更ではないくせに、恥ずかしいのかダイヤはそれをはっきりと認めない。
すると、翠が。
「もう! ちゃんと自分の可愛さを認めてあげないとダメですよ!!」
そう言ってダイヤに向かって人差し指をピッと向け。
「自分の可愛さを信じないのに可愛くなれるわけないんです!! ダイヤ君はもっと自分の可愛さを認めてあげるトレーニングをすべきです!!」
などと言い始めた。
何を言ってるんだ俺の弟は。




