83章 動画
秀一はロザの部屋を訪ねた。
「神主さん来てたの?!」
「今さっき来たばかりだ。
何を見ていたんだ?」
「この間、神主さんに街のワイファイでダウンロードして貰った動画をみてたのよ!
藤木冬彦の動画よ!」
「藤木冬彦?」
「知らないの?今流行ってるのよ。」
「やれやれどこでそんな情報を手に入れるんだか。」
「ダウンロードした時に一緒に入ってくる広告動画よ。」
「どれどれ。
『オラは秘境者』ってタイトルなのか。」
「そうよ!ガチョウ倶楽部というトリオ芸人の一人の藤木冬彦さんが秘境をロケする動画よ。」
「そんなに有名なのか?」
「ええ!『秘境と言えば藤木、藤木と言えば秘境』って言われる程なのよ!」
「歌も歌っているのか。」
「そうよ。歌のタイトルも『オラは秘境者』よ。歌ってみる?」
「自主規制で無理だ。」
「ですよね~。」
「分かっているならいうな!」
秀一はロザの顔を踏む倒し、ロザの腹の上で何度も何度もジャンプした。
「やめてやめてやめてーーーー!!!」
「他にはどんな動画を見ているんだ?」
「そうね。『城下町ロケット』や『相方』や『カメラを止めろ!』が流行ってるわ。」
「どんなストーリーなんだ?」
「『城下町ロケット』は朝鮮の城下町の町工場で長距離弾道ミサイルを作る話よ!」
「ああ、何話か見たことがある。途中で切ったな。
ミサイルの話より特許の話ばかりで『城下町知財』って感じだ。」
「じゃあ『相方』なんてどう?刑事ドラマよ!特選係という警視庁の追い出し部屋で働く杉上左京という人材の墓穴と呼ばれる警部とその相方が事件を次々に解いていくのよ!」
「相方がコロコロかわりすぎじゃないかねえ。」
「な、なら『カメラを止めろ!』はどうかしら?撮影禁止エリアや取材NGで『おい、カメラ止めろ!』と言われながらも撮影を続けるジャーナリスト映画よ。」
「…と、見せかけたゾンビ映画なんだろう?ホラー映画は興味ないなぁ。」
(そもそも僕、妖怪だし。)
「じゃあどんな動画やドラマ・映画なら興味あるの?」
「就活の動画なら興味あるなぁ。」
「!!!」
「就活の動画を今度ダウンロードしてきてやろうか?」
「…わかったわ。この話はやめましょう。
ハイ!!やめやめ。」
「勝手に終わらすなー!!!!」
秀一はロザの顔を片足で踏みつけ、ケンケンで何度もロザの顔面の上をジャンプした。それでも就職に関わる動画は見たくないロザであった。




