81章 好物
秀一はアキリサの部屋を訪ねた。
「お帰りなさいお兄ちゃん。」
「ん~?
なんだ料理しているのか?」
「そうなの~たこ焼き以外の手料理にも挑戦してみたの~。」
「ほう、たこ焼き以外の料理なんて珍しいな。
何を作っているんだ?」
「『たぬきつねそば』よ~ん!」
「タヌキ抓そば?なんだそれは?」
「狸そばの揚げ玉と狐そばの油揚げの両方を入れた狐狸欲張りセットよ!」
「なるほど、考えたな。」
「ちょうど今できた所よ~。ぜひ食べて見て!」
「いただきま~す!」
「召し上がれ!」
パク!
ズルズルズル
「お味はいかが~?」
「…
しょっぱい…。
まるで海水のようだ…。
いや、これはしょっぱいというより醤油…。まさに醤油だ…!」
「あらっ!しまったわ!めんつゆとお醤油を間違ったみたい!」
「ちゃんと味見しろ~!!」
秀一はアキリサの顔を引っ掻き回して、背後からアキリサを押し倒した。
ガツン!!
アキリサは倒れ顔面を強打した!
さらに秀一は倒れているアキリサの背中に正座で乗り、正座のままジャンプを何度も何度も繰り返した。
「あん!あん!あん!痛い!痛い!痛い!
もうやめて~いたいわ~!」
「少しは懲りたか!」
「ごめんなさ~いぃ!お詫びに別のお料理を作ってあげるわ!
好物を教えて!」
「う~ん?好物?そうだな…。
いっぱいあるな。
ジャガイモ・栗・カボチャ・とうもろこし・しいたけ・しじみ・あさり・生揚げ・アスパラ・インゲン…
かな。」
「好きな味付けは?」
「味噌と胡椒かな。」
「分かったわ!さっそく作ってみる!」
~数十分後~
「できたわ!」
「もうできたのか。何を作ったんだ?」
「ふふふ、聞いて驚かないでよ!
お兄ちゃんの鉱物を全部煮込んだお味噌のスープです!創作料理よ!」
「好物を全部って、ジャガイモ・栗・カボチャ・とうもろこし・しいたけ・しじみ・あさり・生揚げ・アスパラ・インゲンを全部ごちゃ混ぜにしたのか!?」
「ええ!そうよ!」
「味噌のスープって…。
味噌汁だろ?」
「いいえ!お出汁は取ってないの!」
「え?」
「味付けは味噌と湖沼だけでしたのよ!」
「え~?!」
「あさりとシジミは殻を取って煮込んであるの!さっそく食べて見て!」
「く…く…く…。
いただきます……。」
パクッ!モグモグモグ
「ん?
これは!」
「どう?お兄ちゃん。」
「意外と美味しい…」
「それはそうよ!だってお兄ちゃんの好物だけを詰め込んだんだもの!」
なんかちょっと悔しい秀一であった。