74章 VR野球
秀一はチェリーの元を訪ねた。
「あら、いらっしゃい神主さん。」
「新しいゲーム買って来たぞ。」
「あらこんなの頼んでたかしら?」
「僕が見つけてきた。僕が欲しいから買った。VR装置だ。」
「まぁ!これが噂のVRゲームね!」
「大人数でプレイできる野球ゲームだ。他の娘たちも全員誘ってマルチプレイしよう!」
秀一はひきこもり娘たちを全員集めた。
「私もVRゲームは初めてだからワクワクするわ!」
チェリーは喜んだ。
「ゲームなんかプレイしたことないわ。やりなれたあなたが有利なんじゃないの?」
ローザが不満を漏らした。
「私も初めてだって言ってるでしょ!聞いてなかったの?!」
秀一が仲裁に入った。
「喧嘩は良さないか。今回は全員チームだ。全員仲間で強力プレイする。」
「野球って9人でやりますもんね。ちょうど9人です。」
ジェシーが人数を確認した。
「敵チームはどうしますの?」
「敵チームは全員コンピューターだ。」
「CPUの強さはどうするの?調整できるんでしょう?」
ゲームのベテランであるチェリーが聞いた。
「強さは『イージー』『ノーマル』『ハード』がある。初めだからイージーにしようか?」
「簡単すぎてもつまらないわ。ノーマルにしましょう。」
チェリーが提案した。
「そうだな。みんなはどう思う?」
「私もノーマルで良いと思うわ。」
ローザが賛同した。
「アキリサはハードでプレイしてみたいわ。」
「私もハードが良いわ。」
アキリサとイチゴがハードを提案した。
「じゃあ、多数決にしよう。」
秀一の提案で多数決を行い、その結果ノーマルにすることに決まった。
「このVRは仮想現実の電脳世界に行ける近未来型の最新ゲームだ。アバターも本人そのもの。アバターは自分の身体のように動かせる。痛みや臭い・寒さ熱さなどもリアルに感じられるんだ。」
「凄いわね。」
「だから覚悟してかかってくれ。それじゃあゲームにログインしよう。」
秀一たちはゲームにログインした。
「着いた。ここが仮想現実の電脳世界だ。」
「本当だわ!全く現実世界と変わらない感覚だわ!不思議ぃ!」
ロザは驚いた。
「凄いわ!アバターも完璧に私の身体を再現されてるわ!髪の毛もサラサラつやつや~!」
ロザは髪を風に靡かせた。
「本当。風が気持ちいわ~!」
それつられて、ローサも風に髪を靡かせた。そして他のひきこもり娘達も次々と風に自慢の赤髪を靡かせた。
「流石自慢の髪だな。本当に綺麗だ。アバターでも真っ赤な美髪が忠実に再現されているな。」
「でしょ~!!」
ひきこもり娘たちは声を揃えて、自慢の長い赤髪を自慢した。
「よし、じゃあ早速プレイしてみるか。敵チームは全員AIだ。」
「プレイボールね!」
「その前にユニホームに着替えないとな!」
ひきこもり娘たちは野球のユニホーム姿になった。秀一以外は全員ミニスカのユニホームだった。
「可愛いユニホームですわ!」
「ゲームのアバターだからこそ成せるユニホームだ。さあ!プレイボールだ!」
AIチームの先攻で野球が始まった。キャッチャーは秀一でロサがピッチャーだ。
「行きますわよ~!」
ロサは第1球を投げた。
カキーン!
「ピッチャーフライか。」
「オーライオーライ!あん!!」
ロサは取り損ね顔面にボールが激突した。
「いったぁ~いですわ!わたくしの世界一美しい顔がぁ~!!」
「何やっているんだ!早く一塁に送球しろ!!」
「あ、はい!」
ロサはボールを一縷に投げた。
「きゃああああああああ!!!」
ボールは一塁にいたローザの顔面に激突した。
「あーん!私の可愛い顔に傷が付いたらどうしてくれるのよ~!」
「早く玉を拾え!」
ローザは痛いの堪えて玉を拾った。
「セーフ!」
「気を取り直して次だ次!」
次の玉もあっさり打たれてしまった。ロザがキャッチしに行くがやはり取り損ねロザの顔面にボールが激突した。
「あんっ!私の美しい顔が~!大切な髪が乱れちゃったわ~!」
そう言いながらもロザは二塁に送球した。二塁に居たローサの顔面にボールが激突した。
「あ~ん!あたしの美顔が!壊されたぁ!完璧な赤髪も滅茶苦茶だわ!」
「セーフ!」
「今度こそ行きますわよ!」
ロサは再び投球した。
カキーン!!!
アキリサがキャッチしに行くがやはり取り損ねロザの顔面にボールが激突した。
「いやん!アキリサの命と同じくらい大切な美しい顔に何するのよ~!」
そう言いながらもアキリサは三塁に送球した。だが、三塁に居たチェリーの顔面にボールがやはり激突した。
「いやああああ~ん!!!私の自慢の美肌がぁ…コラーゲンがぁ…。」
「セーフ!」
「今度こそ行きますわ!」
カキーン!
イチゴがキャッチしに行くがやはり取り損ねイチゴの顔面にボールが激突した。
「いたぁ…!私の完璧な美貌があ~ん…。」
イチゴの顔に激突したボールはバウンドし場外に出てしまった。ホームランだ。一気に4点を取られてしまった。
「クソウ!ロサ!奥の手だ!コマンドで燃える魔球を使え!」
「こうかしら?」
ロサは燃える魔球を投げた。
カキーン!
燃える魔球はロサの顔面に激突した。
「あっつ~いぃ!」
痛みと熱さに耐えながらもロサは一塁に送球した。しかし間違ってまた燃える魔球を投げてしまった。燃える魔球は一塁にいたローザの顔面に激突した。
「きゃあ!あつあつあつあつあつ~!!」
「何やっているんだ!?下手くそ!」
「でも、なんだか燃えてきましたわ!」
「本当に燃えているぞ。」
「え?」
ロサの燃えるように赤い髪の毛に燃える魔球の炎が引火したのだった。
「いやあああああああああああ!!!熱い熱い熱い熱い熱い!熱いですわ~!」
ロサは走り回った。ローザの燃えるように髪にもやはり燃える魔球の炎が引火していた。
「髪があああ!!!髪があああああ!!私の命より大切な髪がああああ!!!」
ローザとロザは走り回った。そして数十分後二人の髪の毛は燃え尽きた。
「わたくしの宇宙一美しい髪がぁ…」
「アイドルの命のつやつやヘアーがぁ!足元まである長い髪がぁ…」
二人は泣き崩れてしまった。
「心配するな!これはアバターなんだから!大丈夫だ!」
「そんなこと言われましてもぉ…」
「こんな姿じゃゲームできないわぁ!」
二人とも泣きながら気絶してしまった。
「仕方がない補欠のAIを入れよう。」
AIを二人追加し、試合は続行した。AIは燃える魔球を投げた。
カキーン!
また打たれてしまった。
燃える魔球はロザの顔面に激突した!
「熱い熱い熱い熱い熱い!!!」
燃える魔球はバウンドしローサの顔面に激突した!
「きゃあああああああああん!!!私の美しすぎる長い赤髪を引き立てる美しす過ぎる顔があ~ん…。」
燃える魔球はさらにバウンドしジェシーの顔面に激突し、またバウンドしアキリサの顔に激突し、さらにさらにバウンドしてチェリーの顔面に激突した。
「あはぁん!!!私の長くて真っ赤な美髪を引き立てる綺麗な顔がぁああ!!」
「ぎゃふん!」
「やあああああん!!!綺麗で真っ赤なロングへアに相応しい美顔があああ!!!」
萌える魔球はロザ・ローサ・ジェシー・アキリサ・チェリーの赤い髪の毛にやはり引火した。
「いやあああああああ!!熱い熱い熱い!熱い!」
「あたしの命より大切な赤いロングへアがあああああああ!!!」
「アキリサのセクシーでキュートな赤髪がああああああああん!」
「あついあついあついあつい!髪の毛っ!」
「私の髪があああああああああああああああ!!!!」
ロザ・ローサ・ジェシー・アキリサ・チェリーは数十分走り回った後、五人の髪の毛は燃え尽きた。
「私の赤髪がぁ!サラサラヘアーがぁ!私の完璧な美髪がぁ…」
「あたしの赤髪…自慢のサラサラつやつやヘアー…」
「アキリサの命より大切な赤髪が…」
「私の美しい髪がぁ…美しいキューティクルがぁ…」
「私のスマートな髪がぁ…」
五人も泣き崩れて気絶してしまった。
「ゲームのアバターが損傷したぐらいで大げさすぎるだろ!」
しかし、ゲームの続行が不可能になったので秀一はゲームを終了した。
「あたしの赤髪がぁああん!!
……あら?私の髪の毛が元の美しい髪に戻ってるわ!」
「よかっかったわ!真っ赤で完璧な美髪は無事だわ!」
ひきこもり娘たちは自分の自慢の赤髪を見て安心した。
「だからアバターだから大丈夫だと言ったのに。」
この後しばらくはこのゲームを誰もやろうとしないのであった。