72章 齟齬
チェリーは洗濯をしていた。そこで秀一に尋ねた。
「洗い物ない?」
「洗い物?洗濯をしていたんじゃないのか?」
「だから、洗濯で洗うものよ!」
「『洗い物』と言ったら普通食器の事だろ!」
バリバリ!バリバリ!バリバリ!バリバリ!バリバリ!!!
秀一はチェリーの顔を引っ掻き回して傷だらけにした。
「いたぁん!!!」
「洗濯の場合は『洗濯物』と言う。」
「どっちでもいいじゃない!」
「いや、こうしないと日本語的におかしい。」
「日本語って難しいわね。私が喋るには役不足だわ!」
「また間違っている!」
ボゴ!!!!!
秀一はチェリーの顔がめり込むほどにグーで殴った。
「そこは『役不足』じゃなく『力不足』だろ!役不足は褒め言葉だ。」
「うーん。日本語のミスなんて誰もそんなに気にしないんじゃない?皆その場のふいんきで喋ってるでしょう?」
「『ふいんき』じゃなく『雰囲気』だ!」
「『たいく』じゃなく『たいいく』みたいな?」
「そうだ。」
「じゃあ『ニッポン』と『ニホン』はどっちが正しいの?」
「どっちも正しい。国際競技などで応援する時の掛け声はニッポンが多い。」
「じゃあ、ふいんきと雰囲気もどっちでも良いんじゃない?」
「良くない!」
秀一はチェリーの顔に鉄球を投げつけ、さらにチェリーを投げ飛ばし顔面から岩に激突させた。
「あーん!私の美貌がぁん!!!もう!破天荒なんだからぁ!」
「破天荒の使い方も間違っているぞ!」
チェリーは失笑してしまうのであった。