71章 外来種
秀一はアキリサと一緒に散歩していた。するとアキリサは何か見つけた!
「あ!タヌキだわ!」
「タヌキ!?」
(この辺にタヌキなんていたかな?)
「まってちょうだ~い!!」
「おいおい!深追いするなよ!」
アキリサに追いかけられた獣は、距離を取ると反転し止まった。
「ん?!あれはタヌキなんかじゃないぞ!アライグマだ!!!」
「どっちにしても可愛いわ!よちよち~おいで~!!!」
アキリサはさらにアライグマの方に寄って行った。
「おーい!!!危ない!」
するとアライグマはアキリサに飛びかかった!
「きゃああああああ!!痛い痛い痛い!!!」
アライグマは鋭い爪でアキリサの顔を引っ掻き回した!
「いたいたいたいたいたいたいた!!!!」
「アライグマは見た目に反して凶暴なんだぞ!」
「びえええええん!!痛いわ!助けてぇ!!!!」
アライグマはさらにアキリサの顔を引っ掻き回し続けた。
「よーし!」
秀一はアキリサの顔を引っ掻き回しているアライグマに飛びかかった。アライグマはすかさずアキリサの顔を両足で蹴り飛ばして逃げた。
「いやん!!!!」
秀一もアキリサの顔を踏み台のように踏みつけて、アライグマに飛び移った。
「あああん!酷いわん!顔にぃ!!!」
アキリサは嘆いたが、秀一はアライグマを見事に捕まえた。秀一は妖力でアライグマを大人しくさせた。
「あらん?随分大人しくなったわね?」
「動物に懐かれやすいんだ。僕。」
「このアライグマどうするの?」
「アライグマは危険な外来種なんだ。」
「じゃあこのまま野放しにはできないわね。アキリサのような被害者を産まないためにも。」
「しかし、アライグマには罪はないよ…。元々連れてきたのは人間なんだからな。
よし!アライグマを北アメリカに送り返してあげよう!」
秀一は妖力を使いアライグマを北アメリカ行きの帆船まで飛ばした。
「これで北アメリカに届けられるだろう。」
「それにしてもひどい目に遭ったわ!」
「大丈夫だったか?」
秀一はアキリサの顔の傷をぺろぺろ舐めた。
「きゃっ!」
「嫌だったか?」
「そんなことないわ!嬉しい!お兄ちゃん!」
秀一が傷を舐める事でアキリサの心も癒されるのであった。