67章 羽根募金
秀一はローザの元を訪ねた。
「いらっしゃい神主さん!」
「うん。言われた通りに1円ずつ募金してきたぞ~。」
「まぁ!本当!?」
「はい、募金してきた時に貰った羽。」
「ありがと~!!」
「『募金したい』なんて言い出すなんて中々偉いじゃないか。他人の事を考えるのは良い事だ。」
「うんん。違うの。」
ローザは羽を布で作った大きな翼に付けた。
「これで空を飛びたいと思って、羽が欲しかったの。」
「人助けの為じゃないんかーい!!!」
秀一はローザの顔を引っ掻き回して蹴り飛ばした。
「アイドルの命の顔がああああああああ!!!!」
「まぁ動機は不純だが、募金するのは良い事だ。」
半年の月日が経過した――――。
「できたわ!ついに羽がびっしりの翼が完成したわ!」
「これだけの羽を集めるのに毎日募金したからな。」
「私の計算では片翼が17mあれば人間でも鳥のように飛ぶことが可能なはずよ!」
ローザは羽を付けた翼を両手に着て屋根の上に上った。
「ローザ、行きます!」
ローザは屋根から飛び立った。そして、羽ばたいた!
しかし、すぐに真っ逆さまに転落し、顔面から地面に埋まっていた岩に激突した。
「いやああん!私の美貌が壊れたわぁん!!!!」
「やはりこうなったか。」
「どうして!?なんで飛べないの!?」
「これで空を飛ぶためには通常の20倍の大胸筋が必要なんだ。」
「何ですって!?」
「どれ貸してみろ。」
秀一はローザの来ていた翼を着込み、屋根の上に上った。そして屋根から飛び立ち羽ばたいた。
秀一はぐんぐん空高く昇って行った。
(やはり、妖怪の僕の筋力なら空を飛べたか……。)
「すごいわ…紅白の小林さちこみたいだわ…。」
ローザは茫然と空高く舞い上がった秀一を傍観するのであった。