64章 発明の母
秀一はローサの元を訪ねた。
「いらっしゃい秀一君。」
「何をしているんだ?」
「発明よ~!」
「発明だって?」
「乾燥したワカメで作ったレインコートよ!コンパクトで持ち運びが楽でしょう?水にぬれると膨張して大きくなるのよ!」
ローサは窓から外を見た。ちょうど雨が降っていた。
「ちょうど良いわ!さっそくこのレインコートを試してみて!」
「さっそく雨に濡らしてみたが全体に染み込むまでには時間が掛かりそうだなぁ…。」
「そうね…。ここは改良の余地がありそうね。」
結局コートが膨張するまで20分かかった。
「さぁ!さっそく着て見て!」
グチャ!
「わあ!びちょ濡れだぁ!」
わかめのコートは水がしみこんでびちょびちょで着るとたちまち濡れてしまった。
「失敗作じゃないか!!!」
秀一はローサの顔を引っ掻きまわし、後頭部を押さえつけて顔面を地面に叩きつけた。
「いたぁ~ん!!!私の美貌がぁん!
…これは失敗だったわね…。また別の発明を考えなきゃ!」
「全く。」
「じゃあ次はこれを試してみて!絶対に倒れないコップよ!」
「どれどれ?」
「だるまを見て思いついたの!そこがだるまのようになってるのよ!」
秀一は試しにコップを倒してみた。するとすぐにコップが起き上がった。
「どう!?傑作でしょう?」
「これも失敗作だな。」
「ええ!?なんで!?」
「倒れた拍子に中身がこぼれている。これじゃ意味がない。」
「しまったわ!全然、気が付かなかったわ!」
ローサは慌てて零れた中身を拭いた。
「じゃあ!これならどう?!絶対に割れないコップよ!」
ローサはビニールに空気を入れて膨らませコップの形にした。
「ビニールでできているから落としても絶対に割れないわ!」
「…うん。これよりもアルミでできたコップの方が良いだろう。アルミのコップならわざわざ空気を入れる必要もないし。」
「し、萎ませておけば持ち運びも便利よ!」
「持ち運びが簡単なコップな紙コップがあるし、ただ割れないだけなら紙コップだってそうだし。」
「うぅうぅ…。」
「全然駄目だな。発明家になんてそう簡単にはなれないよ。」
「あーん、せっかく『日本のエジソン』を名乗ろうと思ったのにぃ!」
「諦めるな!頑張れば本当に脱ニートできるかもしれないぞ!」
「もう諦めたわ。絵でも描いて『現代のピカソ』でも目指そうかしら。」
(…………。)
この諦めの速さが彼女がニートから脱出できない最大の要因なのであった。




