61章 フィギュアとドール
秀一はチェリーの元を訪ねた。
「いらっしゃーい神主さん。」
「うむ。頼まれてきたフィギュアを買って来たぞ。」
「あら~ありがとう!」
「これはなんのキャラのフィギュアなんだ?」
「『銅鑼喰え』というゲームのヒロインのフ口―ラというキャラよ!」
「フィギュアを沢山集めているんだな。」
「そうよ。今回買ったのが『フ口―ラ バニーガールVer.』よ。」
「へー。」
「その前に買ったのが『フ口―ラ 水着Ver.』!」
「!」
「その前に買ったのが『フ口―ラ メイド服Ver.』!」
「?」
「さらにその前に買ったのが『フ口―ラ セーラー服Ver.』!」
「全部別人じゃないですか!?」
「違いますよ―――っ。
これだから素人は駄目だわ。」
「全部顔が全く違うぞ。」
「制作会社によって再現度が違うのよ~。」
「正しいのはどの顔なんだ?」
「これがフ口―ラの版権画。」
「いままで見せられたフィギュアと全然顔が違うじゃないか!」
「今までのみせたのは再現度が少し低いの。一番高いのはこれね。『フ口―ラ 平服Ver.』」
「これでもやっぱり顔が違うようだが?口の辺りがなんか変だ。」
「そうね…。二次元の物を立体化するとどうしてもこうなるのよ。元が平面の物を立体化するとどうしても元と差異が出るの。フィギュアってそういう物よ。」
「そういうもんですかねえ…。」
「そうよ!」
秀一は魔法の壺からドールを取り出した。それはジェシーから貰ったドールだった。
「僕はフィギュアよりドールの方が好きだな。」
「なんのキャラ?」
「『ジュニアハイスクールDxD』というアニメのリアスズ・グレモリというキャラだよ。」
「そのアニメならゲームにもなってるから知ってるけれど、そのドールも再現度低いんじゃない?」
「まぁな。」
「私はフィギュア派だわ。フィギュアよりドールの方が再現度が低い事が多いもの。」
「このサラサラの柔らかい髪の毛はドールでしか再現できないだろ。」
「でもドールは関節が球体間接になっていていかにも人形って感じだわ。」
「服を着せれば間接は隠せる。それにフィギュアと違って動かせるぞ。」
「露出過度な衣装ならフィギュアの方が良いわ。」
「ドールは衣装の着せ替えも容易だぞ。しかもこのドールはおっぱいが柔らかい。」
「フィギュアは固まったイメージがあるかもしれないけどおっぱいが柔らかいフィギュアだってあるのよ!」
二人の談義は平行線を辿った。
「同じ像なのになぜこうも話がかみ合わないのか。」
「ドールとフィギュアはそもそも別ものだもの。蠍とザリガニくらい違うわ。野球と卓球くらい違うわ。」
「分かり合えないのか。」
「ドールとフィギュアの良いとこどりしたのが『ねんどろいど』よ。」
チェリーはねんどろいどを見せた。
「なんだよこの二等身の頭でっかちは!!!」
秀一はチェリーの頭を平手打ちした。
「いたた。これはこういうデフォルメなの!」
「しかし、やっぱり髪の毛は固いようだ。やはりドールが一番だな。」
「髪フェチなのね。」
「うるさい!」
そう言いながら秀一はドールの髪をブラッシングするのであった。