58章 要介護主人公
秀一はロザの元を訪ねた。
「いらっしゃい!神主さん。」
「うん。」
「また小説を書いてみたの!読んでみて!」
「今回は原稿用紙30枚か!頑張ったな。」
「そうなの~!」
秀一は早速原稿用紙を読んでみた。3枚目で読むのを辞めた。
「ねえ!面白いでしょ!?」
「つまらん…。」
「嘘よ!」
「嘘じゃないやい!」
「いいえ!顔に嘘って書いてあるわ!」
「それこそ嘘だろ!!!」
秀一は外に出て魔力でロザを天高く投げ上げた。ロザは大気圏近くまで吹っ飛ばされ、顔面から地面に叩きつけられた。
「いた~い!」
「読みにくいし、情景描写も無いからストーリーがイメージできない。つまらない。」
「最後まで読んでみて!絶対面白いから!」
「最後まで読みたいと思わせる文章を書けない時点で失敗だ。」
「でも最後まで読んでみて!最後まで読めば絶対に面白いと思うから!
もし面白くなかったら張りつけにしても良いわよ!」
秀一はロザの書いた文章を最後まで読んだ――――。
ロザは逆十字に逆さで張りつけられていた。
「いや~ん、頭に血が上るわ~おろして~。」
「最後まで読んだぞ。面白くなかった。」
「そんなことないわ!絶対に面白かったはずよ!顔にそう書いてあるわ!」
「嘘を付くな!!!」
秀一は毬状になった岩をロザの顔に投げつけた。岩はロサの顔に激突した。
ブスブスブス!岩でできた毬がロザの顔に突き刺さった。
「いたぁ!!!」
「テンプレの異世界転生ネタでオリジナリティは0だ。しかも主人公が味方の便利キャラに至れり尽くせりやってもらって、主人公自身はなにもしていない。」
「異世界転生物では優秀な部下が面倒な事は全部やってくれる要介護主人公は王道なのよ!」
「それにしても主人公が何もかも任せすぎる。」
「私の願望を書いたんだもの。何でもかんでもやってくれる人がいたら私はずっとひきこもりでいいわ!」
「…。
現に僕が殆どやっているじゃないか。」
「そうよ。だから私は一生引きこもりで良いの!私は異世界転生物の要介護主人公よ!」
「ふざけるな!」
秀一はロザの首から下を地面に埋めてしまった。
「たすけて~。本当に手も足も出ないわ~。」
「僕は要介護主人公の便利キャラじゃない。」
(むしろ僕自身が妖怪語主人公なんだ。)
「なんちゃって。」