56章 チンアナゴ
秀一はローザの元を訪ねた。
「いらっしゃい。神主さん。」
「今日は良い物を持ってきたぞ」
「なんですって!」
「チンアナゴというものだ。」
「チンスコウ?」
「違う違う。チンしか合っていないだろ。チンアナゴだ。」
「かば焼きにするとおいしいわよねえ。」
「それはアナゴ!これはチンアナゴ!」
秀一はローザの顔面をフライパンの底で叩きつけて突っ込んだ。
「っ~~!!!」
「チンアナゴは観賞用の魚なんだ。」
秀一は水槽を見せた。するとチンアナゴがニョキニョキっと出てきた。
「きゃあ!蛇みたいで怖いわ!」
「心配しなくても毒は持っていないぞ。」
チンアナゴは大きく口を開けた。
「みろ!あくびをしたぞ!可愛い~!」
「そうしら…。」
「これをお前にプレゼントしよう。」
「ええ!要らないわ!」
「生き物を育てるのは良い事だぞ。」
「育てるのは自分の髪の毛だけで十分よ。」
「ペットの世話をすると人間的にも成長するぞ。」
「人間でさえも信用できないのに動物なんて尚更信用できないわ。」
「じゃあ植物の世話なんかどうだ?」
「そうね…。だったらサボテンが良いわ。」
「水を上げるのが面倒だからか?」
「うふふ、バレました?」
「怠けようとするなー!!!」
秀一はローザの顔をフライパンの底で何度も何度も叩きつけた。
バンバンバン!バンバンバン!!バンバンバン!!!バン!バン!!バン!!!
「あーん!アイドルは顔が命なのに~!」
「そんなにサボテンが好きなら受け取りな!」
秀一はロサの顔面にサボテンを投げつけた。
ブスブスブス!
ローサの顔にサボテンのトゲが刺さり、顔中トゲだらけになった。
「いやああ!私の美貌があー!!!」
「仕方がない。チンアナゴは自分で飼うか。」
本当は秀一が飼いたくて買っただけなのであった。