53章 ツチノコ
秀一はアキリサの元を訪ねた。
「おかえりなさい。お兄ちゃん。」
「うん。ただいま。」
「何を持ってきたの?」
「たこ焼き以外の趣味も見つけて欲しいと思ってな。」
「UMA?ウマの本?」
「ウマじゃない。ユーマと読むんだ。未確認生命体の事だ。」
「へえ。いろんな架空生物がいるのねえ。」
「UMAは架空生物じゃなく本当にいる可能性が高い生物なんだ。」
「ふうーん。」
「何か興味を持たないか?」
「別に。」
「ツチノコなんか見つけてみたいと思わないか?日本にいるUMAだ。」
「蛇みたいで怖いわ。」
「ツチノコは蛇の一種である可能性が高いからな。大丈夫だ。僕が付いている。」
アキリサは秀一が持ってきたUMAの本のツチノコのページを開いて目を通した。
「ツ、ツチノコって毒があるの?」
「そういう説もある。飽くまでもそういう噂だが……。僕はツチノコは蛇の一種だと思っているから、ツチノコには毒があると確信している。」
「どうして?」
「毒がない蛇は獲物や天敵を絞め殺すんだ。しかし、ツチノコは胴短極太だ。ツチノコのビール瓶のような胴体では相手を締め付ける事ができない。だから、相手を絞め殺す手段がないツチノコは毒蛇の仲間である可能性が高いんだ。」
「あらー、そうなの!」
「ひょっとしたらこの山にもツチノコがいるかもしれない。明日探しに行ってみよう。」
「ええ!面白そうだわ!行くわ!」
アキリサは秀一が置いて行った本のツチノコのページを熟読していた。何度も何度も繰り返し読んだ。そうしている内にアキリサはいつの間にか寝てしまった――――。
「おーい、起きろアキリサ!」
「うーん…。」
「おはようアキリサ!ツチノコを探しに行くぞ!」
「おはよう…お兄ちゃん。夕べ遅くまで本を読んでたから眠いわ。」
「ツチノコを探しに行けばすぐに目が覚めるさ!」
秀一とアキリサはツチノコを探しに山へ向かった。数時間歩き続けツチノコを探したがツチノコの痕跡一つ見つからなかった。疲れてしまいアキリサは休憩しながら髪の毛の手入れをしている。
「疲れたわあ。」
アキリサはひまし油を髪の毛全体に漫勉なく塗って髪の毛を手入れしていた。アキリサの綺麗な髪の毛にオイルがしみこみ、より美しくつやつやに輝いていた。それを見ていた秀一はある事を思いつく。
「そうだ!髪だ!」
「え?」
「ツチノコは髪が焼ける臭いが好きなんだ!」
「そういえば本にもそんな事が書いてあったわ!」
「よし!髪の毛を燃やそう!」
「えぇ?!ちょっとお兄ちゃん何するの!?」
「お前の髪の毛を燃やすんだよ。」
秀一はアキリサの髪の毛先に火を付けようとした。
「きゃああ!やめてお兄ちゃん!」
しかし、秀一はアキリサの髪の毛に着火してしまう。
「きゃあああ!!!髪があああああああ!!髪がああああああ!!!アキリサの命より大切な赤髪がああああああああ!!!」
アキリサは髪の毛を焼かれながら走り回った。
「熱い!熱い!!熱い!!!熱い!!!!熱い!!!!!熱い!!!!!!熱い!!!!!熱い!!!!!!」
アキリサは髪の毛を燃やしながら何十分も走り回った。アキリサは髪が焼ける酷い臭いを発しながら走り回る居続けている。すると木陰から何か飛び出してきた!
「捕まえたぞ!ツチノコだ!やったぞ!ツチノコだ!」
秀一はついにツチノコを捕まえた。その瞬間アキリサの髪の毛は全て燃え尽きた。
「や~ん!!!アキリサの髪があ………。キュートなキューティクルがぁ………。」
アキリサは気絶してしまった―――。
「おーい!アキリサ!起きろ!」
「うーーん………」
アキリサは布団の上で目を覚ました。
「…夢?」
「おはようアキリサ!ツチノコを探しに行くぞ!」
「いやああ!!ツチノコ怖い!怖い!怖い!絶対いかな~い!!」
悪夢を見たアキリサはツチノコが怖くなってしまうのであった。