52章 ニート特集
秀一はロサの元を訪ねた。
「いらっしゃいませ。神主さま。」
「今日は見て欲しいのがある。他の娘たちにも見て貰う予定だ。」
秀一はDVDを取り出した。そして、そのDVDを再生した。
「朝日チャンネルで、6時のニュースをお伝えします。今日の特集は『ひきこもりとニート』です。」
「見て欲しい物はこれだ。」
「あら…。ちょっと『朝日チャンネル』ですわよ?どうせ捏造でしょう!」
「確かに朝日チャンネルは放送法違反な捏造や偏向報道ばかりしている局だが………。しかし、この放送では『お寺で八人の女性が引きこもっている』という話もやっているようなんだ。」
「え?」
ロサと秀一はVTRを見た。
「今日の特集ではある噂についてお届したいと思います。匿名のタレコミで8人ものひきこもり女性たちがある古寺に立てこもって共同生活しているというのです!」
「これって…わたくしたちの事じゃ…。」
「そのひきこもり女性たちの一人は赤い色が好きだそうです。」
「これってわたくしの事ですわ!」
「また、別のひきこもり女性は…。」
アナウンサーは、名前こそ出さないもの、アイドル志願のローザ、小説オタクのロザ、ミリオタのローサ、アニオタのジェシー、たこ焼き好きのアキリサ、ゲーマーのチェリー、Xカップのイチゴと思わしき説明を次々と続けた。
「お前たちについて噂になっているようだな。」
「本当ですわ……。」
「そろそろ働くことを真面目に考えた方が良いんじゃないか?」
「どうせ『アサヒる』で有名な朝日チャンネルですもの。誰も信用してませんわ…。」
「っぐ……。」
(作戦失敗か…。)
実は匿名のタレコミをしたのは秀一であった。取材が杜撰な朝日チャンネルなら不確かな噂を流しても報道しても貰えると踏んでタレ込んだのである。場所や個人を特定されるような情報は流していなかったが、朝日チャンネルはろくに取材もせずに食らいついてくれたのだ。
(マスコミの粗を利用した良い手だと思ったんだがなぁ…。)
「でもどうせ特集されるならテレビに出てみたいですわ。」
「!?
テレビに出演する仕事がしたいのか?」
「いいえ。テレビに出てただ目立ちたいだけですわ!」
「仕事の事を考えろよーー!!!」
秀一はロサを電撃で痺れさせた。
他のひきこもり娘たちに同じVTRを見せてもやはり上手くいかないのであった。