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ひきこもり娘たちの更生員4  作者: 日本のスターリン
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49章 遭難2

 秀一はローザと一緒に寺の庭にある山中を散歩していた。


「二人きりで散歩なんて楽しいわ!」

「庭とは言え外に出る分だけ引きこもりの中ではマシな方なのかもしれないな。」


 二人は山奥を暗くなるまで歩き続けた。


「あら?なんかこの景色さっきも見たような…。」

「ん?」

「おかしいわ!ここさっきも通ったわ!」

「本当だ…この傷のある幹さっきも見たな。道に寄ったようだ…どうしよう…。」

「大丈夫!私に任せて!」


 ローザはポケットから方位磁針を取り出した。


「こんなこともあろうかと磁石をもってきてたの!」

「おおお!!!」

「北はあっちよ!」

「それで?どの方角に勧めば帰れるんだ?」

「ええ……と…。さぁ…。」

「方位が分かってもどの方角から来たか把握していないと意味ないだろ!!!」


 秀一はローザを電撃で痺れさせて顔を引っ掻き回して突っこんだ。


「いやん!ごめんなさ~い!」

「全く…。」

「でも北がこっちなのは間違いないわ!とりあえず北に進んでみましょう!」

「そうだな。同じ方角に進み続ければ同じ場所を行ったり来たりする事はなくなりそうだ。」


 秀一とローザは夜道を北に歩き続けた。何時間も歩き続けると、町が見えてきた。


「やったぞ!町に着いたぞ!」


 しかし、ローザは震えて動かない。


「どうした?ローザ?」

「駄目…怖いわ……。」

「そうか!他人がいる場所に行くのが怖いんだな!」


 ローサは震えながら頷いた。


「大丈夫だ。今は夜の11時、人気は無い。この町に沿って西に進めばお寺に帰る道にたどり着けるぞ。」


 しかし、ローザの震えは止まらない。


「怖いわ……体が動けないの……。」


 ローザは震えながら固まってしまった。


「よし!なら僕が背負ていってやる!」

「いやあ!それでも行きたくないわ………。人が居る場所は怖いの………。」

「人に見られるのが怖いんだな。それなら人に見られないように隠してやる!」


 秀一は上着と服・シャツを脱いで上半身裸になった。そして脱いだ衣類でローザを包んだ。


「衣類で覆ってしまえば誰も人を運んでいるとは思わないだろう。」


 ローザは衣類に包み込まれて隠れてしまった。しかし長い赤髪がはみ出してしまった。


「この長い髪も隠さなくっちゃな。」


 秀一は一旦ローザを衣類から出し、ローザの長い髪の毛を糸巻きに巻き付けるようにローザの身体に巻き付けた。そして再びローザの身体を衣類で覆い隠した。


「よし、これで大丈夫だ。」


 秀一はローザを入れた衣袋を背負いながら町に進んだ。ローザは怖くて声も出なかった。


「大丈夫だ。町中には入らない。町沿いを通るだけだ。」


 秀一は小声でローサに囁いた。秀一は誰ともすれ違うことも出会う事もなくお寺に帰る山道に辿り着いた。


「ここまでくれば大丈夫だ。誰とも出会わなかったし、この先には僕達以外居ない。」


 ローザは泣きながら秀一に抱き着いた。


「怖かったわ~!!!」

「よしよし。もう大丈夫だ。」


 人が居る場所はローザにはそれほど恐怖だったのだ。秀一はローザの頭を撫でた。


「よし、帰るぞ!」

「ええ!」


 秀一とローザは手を繋ぎながら帰って行った。

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