48章 スポ根
秀一はジェシーの元を訪ねた。
「お帰りなさいませ。神主さん。」
「うん。今日はお前の為に良いアニメを持ってきた。」
「はい?」
「スポ根アニメの金字塔『イスラムダンク』だ!不良の主人公がバスケをする事で成長していくというスポ根アニメの王道作品だ!」
「それならもう見てます。」
「何?!じゃあ感動の最終話も見たのか?」
「勿論です!主人公が合宿で努力して、最終話の試合で合宿での積み重ねが実って、最後にシュートを決めるのには感動しました!」
「最終回の最後のシュート良いよな!」
「はい!最終回の主人公のヘディングシュートには感動しました!」
「そうだよな!最終話のヘディングシュートは感動するよなぁ!最後のヘディングシュートはカッコ良い!バスケなのにヘディングシュートを決める所がまた熱い!」
「それで、その『イスラムダンク』がどうしたんです?」
「そうだそうだ。そうだった。このスポ根アニメを見て少しは努力する根性を身に着けて欲しい、と思ったんだ。」
「それは無理です。アニメの努力・根性をみて感動するのと、それを真似ようとするのは全く別の感情です。」
「努力や根性に共感しないのか?」
「感銘は受けますけれど、共感とは違います。飽くまでも別世界から観察してるのが視聴者です。」
「そういうなよ。試しにやってみれば面白いかも知れないぞ。」
秀一は底が抜けた虫編みを持ってきた。
「これをゴールに見たててシュートしてみろ。」
秀一は虫編みをセットし、バスケットボールをジェシーにパスした。
ガン!
「いやん!!!」
バスケットボールはジェシーの顔面に激突しバウンドした。そしてそのままゴールに入ってしまった。
「顔面シュートか!なかなかやるじゃないか!」
「い、いえ、今のはたまたま…。」
「いや!今のはただのまぐれじゃない!顔面シュートの練習するぞ!」
秀一はジェシーの顔面にバスケットボールを投げつけた!
バシン!
「んっ!」
ボールはゴールにかすってバウンドした。
「惜しい!よーし!もう1回!」
秀一はジェシーの顔面にバスケットボールを投げつけた!
バシン!
「あんっ!」
ボールはゴールのバッグボードに当たってリバウンドし、ジェシーの顔面に当たった。
「いった~いぃ!!!」
「惜しい!もう1回!」
「もうやめて下さ~い!!!」
「諦めたらそこで試合終了だよ。」
「うぅぅ…。」
「さぁ!後100回ゴールするまでこの練習を続けるぞ~!」
「ひ~ん!!」
こうしてジェシーの顔面シュートの練習の為にジェシーは顔にボールを激突させられ続けるのであった。
しかし、ジェシーはこの痛みに愉悦を感じているのであった。