41章 ブラック企業
秀一はチェリーの元を訪ねた。
「いらっしゃい神主さん。」
「うん。どうだ?少しは働く気になったか?」
「全然。」
「即答かよ!」
秀一はチェリーの顔を何度も何度も踏みつけた。
「いた~い!」
「夢とかないのかよ。」
「夢は寝てみるわ~。」
「じゃあ、できそうな仕事とかはないのか?『こんな仕事ならできるかも~』という仕事は。」
「そうね。シュレダー係りならやってみたいわ!」
「シュレッダー係?」
「『ヒアリさんマークの引っ越し便』って会社にある部署よ。ただシュレダーをかけるだけで良いの。」
「それって追い出し部屋だろ。」
「追い出しベアー?」
「いらない社員を辞めさせるための部署だぞ?最初からそこに入りたいという希望を出す社員なんか採用するわけがないだろ!」
「そんな~面接の受け答えも考えたのに~!」
「なに!?本当か!?
せっかく考えたんだ。練習してみるか。」
「ええ!」
「おっほん!
君が弊社を受けた志望動機はなんですか?」
「はい!シュレッダー係になるためです!幼い頃からシュレッダーに興味がありました!子供の頃から不要な書類をシュレッダーに掛けるという事に生きがいを感じおりました。御社のシュレッダー係にもきちんと正社員と同等の扱いをして給与を払うという温情深い社風に憧れて御社を志望いたしました!」
「おお!中々それっぽいじゃないか!でも幼い頃からシュレッダーに興味があったというのは嘘だね?」
「えへへ。面接っていうのはいかにもっともらしい嘘を付くかっていう大会でしょう?」
「まああながち間違いでもないか。
さあ、続けよう。」
「あの…。考えたのは志望動機だけ。えへへ。」
「それだけかーいい!」
秀一はチェリーの顔を蹴り飛ばした。
「いたあいぃ!」
「まったくやる気が無いな。」
「私が一番向いてる職業は社内ニートだと思うの。」
「結局ニートなんかーい!」
秀一はチェリーの顔に膝蹴りを食らわせた。
「あう~!」
「駄目だこりゃ。」