38章 トランプ
秀一とひきこもり美女たちは集まっていた。親睦を深めるためである。ひきこもり美女たちはトランプで遊ぶことにした。
「なんのゲームにする?」
ローザが訊ねた。
「ババ抜きなんかいいんじゃないかしらね?」
ロザが提案した。
「いいわね。ルールも複雑じゃないし。」
ローサが賛成した。
「ばば抜きなら私とジェシーとアキリサしかできないじゃない。」
イチゴが意見した。
「そうですね。」
「アキリサとジェシー・イチゴ以外は無理ね。」
「どうしてですの?」
「ばば抜きならおばさんには抜けて貰わなきゃ。」
アキリサが答えた。
「オ」
「お、おばさん!?」
「バ」
「お…おば…。」
「サ」
「お・お・お、お・ば・さ・ん!?」
「ン!?」
「おばさんですって~!?」
八人の美女たちは激怒した。
「誰がおばさんよ!」
ロザが激怒した。
「そうよ!あたしたちだってあなたとそんなに変わらないわよ!」
「そうですわ!」
「そもそも、ババ抜きっておばさんを抜かすって意味じゃないし!」
ローザが説明した。
「ババ抜きのババはジョーカーの事よ!52枚のトランプにジョーカーを一枚だけ入れてゲームするのよ。手札から同じ数のペアを捨てるの。お互いの手札を引き合いそれを繰り返す。最後にジョーカーが手札に残った人が負け。」
「なんだ、それならそうとはやく言ってよ。おばさん。」
「だからおばさんじゃないわよおおおおおおおおおお!!!」
何はともあれルールを把握した美女たちはババ抜きを始めた。ゲームは順調に進んでいきイチゴとローサの一騎打ちになった。
「あたしの番ね!!!」
「ちょっと待って!」
イチゴは手札を伏せシャッフルしてカードを見ずにこういった。
「さあ!選びなさい!」
「ちょっと!狡いわよ!運否天賦に任せるなんて!」
「ルールの範囲内よ!表情で手札を読もうとする方が狡いわ!」
「それこそルールの範囲内よ!」
「運も実力の内っていうじゃない。私より運命力に自信ないの?」
「…………!!
あるわよ!いいわ!選んであげる!」
ローサはイチゴから札を引いた。ババだった。
「きぃ~!!!」
ローサは手札を伏せてシャッフルし、イチゴに選ばせた。
「何よ!あなたも私と同じ手を使うんじゃない!」
「お互い様でしょ!」
イチゴは札を引いた。ババだった。
「ぐぬぬ!!」
「面白いわ!この勝負で負けた方が罰ゲームにしましょう!」
ロザが提案した。
「そんな!」
「勝手に決めないでよ!」
ローサとイチゴが反発した。
「良いじゃない!面白さそうだわ!」
「そうね。負けた方が罰ゲームで!」
ローサとイチゴ以外の美女たちは賛成した。
「そんな勝負が終わるころに決めるなんて!」
「多数決で決まりよ!負けた方は罰ゲーム!」
「うう!勝てば問題ないんでしょ!次はあたしの番よ!」
イチゴは手札をシャッフルし、ローサに選ばせた。
(ここは敢えて、手札を見たまま引かせるわ!)
イチゴは片方の札を上にずらした。
(こっちの上にずらした方がババ…
…と見せかけて、こっちの上にずらした方が最後の札!)
ローサはあえて上にずらされた方の札を引いた!ババだった!
「そんな!!!」
「引っかかったわね!裏をかいて正解だったわ!」
「うう!裏を読んだことが裏目に!」
ローサは手札をシャッフルしそのままイチゴに選ばせた。ローサも片方を上にずらした。
(また私の真似を…なら…)
イチゴは下の方の札を引こうとした。
(私の真似なら…上がババなはず!)
ローサは札を放さなかった。
「ちょっと!離しなさいよ!!」
「ちょっと待って!今のはノーカン!ノーカン!」
「真剣勝負に『待った』は無いのよ!」
イチゴはローサから札を奪い取った。
「やった!上がり!私の勝ちよ!」
「悔しい~~~!!!」
「さあ、負けたからには罰ゲームよ!」
「罰ゲームって?」
「そうね!髪を切るのはどうかしら!」
「いいわね!切っちゃいましょう!」
「賛成!」
「いっそ剃っちゃおうかしら!」
ローサ以外の美女たちは次々と賛成した。
「多数決で決まりだわ!」
「そんなあああ!!!いやよ!いやよ!」
「ショートヘアになりなさい!」
「いやああああああああ!!!」
「やめろおおおおおおおおおお!!!」
秀一は美女たちに電撃を喰らわせた。
「なんであたしまで……。」
「つい癖で…。
そんな事より髪を切るなんて卑劣な罰ゲームは止めろ!完全にいじめだぞ!」
「ごめんなさい。つい調子にのっちゃって。」
「ごめんさい。」
「ごめんあそばしまし。」
美女たちは次々に謝罪した。
「じゃあ、罰ゲームはノーカンって事で。」
「バカ言っているんじゃない。続行だ。続行ならいいぜ。」
「え?罰ゲーム自体はやるの?!」
「そうだ。ただし、罰ゲームは僕が考えるぜ。
罰ゲームはこれだ。」
秀一はローサの口にキスした。
「あああ!!!」
「ずるいわ!!!」
ローサはこの日一番の幸せ者だった。