34章 土砂降りの遭難
ローサと秀一はお寺の庭にある山で散歩をしていた。しかし、急に雲行きが怪しくなった。
「一雨来そうだな。ここはひとまず洞窟で雨宿りするぞ。」
「そうね。」
秀一の予想通り酷い土砂降りになった。待っても待っても雨脚は強まるばかりである。
「寒いしお腹が空いたわ。」
「困ったな。何か持ってきていないのか?」
「いいえ。なにも。」
「お腹にあるその大きなポケットの中に何か入っていないのか。」
「ああ、これは二次元ポケットよ。」
「二次元ポケット?」
「絵なの。」
「紛らわしいもの描くな!!!」
秀一は電撃でローサを痺れさせた。
「あああん!!!」
「全くもう。」
「今ので少し温まったわ。」
雨風は次第に強くなり気温も下がって行った。
「寒いわ…。」
「寒い。寒い。」
二人は凍えそうになった。
「そうだわ!私の髪の毛で温まりましょう!私の髪の毛を体に巻き付けるの!」
「そうだな。少しは温かくなるかも。」
二人はローサの長い赤髪に包まった。
「暖かいわ~。」
「気持ちぃー。」
髪フェチの秀一は喜んだ。その数時間後ようやく雨足が弱まった。
「見て見て!虹だわ!」
「綺麗だなぁ。」
「それほどでも~。」
「お前じゃない!」
秀一はロザの顔を引っ掻き回し、丸い岩を投げつけた。
「あん!あん!あん!」
「とにかく無事帰れそうだな。ありがとう。」
「え?」
「お前の髪の毛のおかげだよ。ありがとう。」
「どういたしまして。」
二人は虹を見つめながら寺に帰って行った。