23章 シナリオライター
秀一はジェシーの元を訪ねた。
「いらっしゃい、神主さん。」
「うん。」
「私、アニメのシナリオライター兼監督になってみたいと思うんです。」
「それは良いじゃないか!夢を持つのは良い事だ。」
「タニカンさんでも監督なれたんなら私でもなれると思います。」
「誰かが成れたから自分も成れるというのは甘い考えじゃないか?」
「自信を持つことは大事だと思います!私なら売れるアニメを作れるはずです!」
「どのぐらい売れる見積もりだ?」
ジェシーは窓の方に行き自慢げに応えた。
「私のアニメの円盤の売り上げは
53万フラクタル
です。」
ドシーン!(後ろの木が倒れる音)
「1フラクタルが約700枚だから…3億7100万枚以上!?日本の人口より多いじゃないか!」
秀一はジェシーの顔を引っ掻きまわした!
「ありがとうございます!」
「そんなに売れるわけがないだろう!」
「目標は大きい方が良いと思います。」
「そうだが…。監督やシナリオライターって結構大変なんだぞ?」
「そうでしょうか。原作があるから楽じゃないでしょうか。」
「やっぱりそういう思考回路なのな。」
「原作を好き勝手に弄ってより面白くする…。私ならできると思います。」
「好き勝手に弄っていいわけじゃないぞ。『主要人物の性格を変えない』とか『話の雰囲気を変えない』とか色々な決まりがあるんだぞ。」
「そんな決まりを守ってないアニメは沢山あります。」
「そういうアニメは叩かれているんじゃないか?」
「そうですけど……私なら大丈夫だと思います。」
「甘い!他人が失敗しているのに自分なら大丈夫という考えは甘い!」
「うう…。」
「他の人が失敗していて自分なら大丈夫だと言う根拠は何なんだ?」
「特にありません…。やっぱり監督やシナリオライターになるのは諦めようかと思います…。」
「諦めるのが早すぎるだろ!」
秀一はジェシーの顔をグーで何度も何度も殴った。
「あんっ!ありがとうございます!」
「試しに好きな漫画かアニメのシナリオを書いてみたらどうだ?」
「そうですね…。」
「これだ!これで良い!『ドラグソボール』のシナリオを書いてみろ!」
「はい…。」
ジェシーは1時間かけてシナリオを書き終えた。
「できました。」
「どれどれ…。」
秀一は熟読した。
「グリリンとナムチャが弱すぎないか?地球人としては最強クラスの実力なのに。」
「主人公を引き立てるためには仕方が無いんです。」
「強さ描写がいい加減すぎるだろう。こんなんじゃ、まともな強さ考察ができないじゃないか!」
「そんなオタクみたいな事を言わないで下さい。」
「アニメを作るんだったらオタクからも色々言われるぞ。そもそもお前もオタクだろう。」
「名オタク名監督にあらず、です。」
「アニメを作ればオタクから叩かれたりもする。」
「やっぱり、私にはアニメの監督やシナリオライターは無理だと思います。」
「諦めるのが早すだって!今は駄目でも何度も練習すれば才能が開花するかもしれないぞ?」
「才能の問題じゃないです。私のメンタルではオタクに叩かれるのに耐えられません。」
「メンタルの問題か…。お前メンタル弱いもんなぁ。」
「はい…。」
ジェシーは背後から秀一に抱き着いた。
「やめろ!!!!」
秀一はジェシーの顔を蹴り飛ばした。
「ありがとうございます!!!」
「打たれ強い癖にメンタルは弱いんだよなぁ。」
秀一は困惑して帰って行った