1章 幻術
秀一は悪霊を成仏させることに成功した。しかし、ひきこもりの美女たちの美しかった赤髪は無残にも燃え尽きてしまっていた……。……だが、秀一は妖力を10%ほど使い8本のくしを具現化させた。このくしで髪をとかし続けるといかなるダメージからも一度だけ回復する事ができるのである。秀一はそのクシで気絶している美女たちの髪の毛をとかしはいじめた。すると焼けて縮れていた髪の毛が伸び始めた。気絶している美女たちを叩き起こすと、1週間毎日20時間以上髪をとかし続けると髪が健康な長い美髪に1度だけ元に戻すことができる事を教えた。美女たちは言われた通りに1週間髪の毛をとかし続け、見事な赤い美髪を取り戻した。こうして秀一の妖力のくしで髪を元に戻したのである。
「悪霊は無事成仏させたし、髪の毛も長くて健康な赤髪に戻ったし良かったな。」
「この真っ赤な長い美髪は私の誇りですもの!」
「この真っ赤な長い髪の毛を朝な夕なお手入れするのが私の生きがいよ!」
「この長い赤髪は、ずっと伸ばしてるの。誰よりも美しく長い髪に成れますようにって願を掛けて。」
「髪は長い友と書くとは言ったものですわ。わたくしの長い赤髪は私の唯一の親友ですの。これからも末永く伸ばし続けますわ!」
美女たちは身長より長い赤髪を命より大切にしており、それが誇りであった。その赤髪を奪われたのは死ぬよりもショックであった。なので、その赤髪を取り戻せた事を心底喜んだ。
しかし、赤い髪を取り戻した事で自信と誇りを取り戻した美女たちは互いに嫉妬し合うのであった。
「でも一番美しい髪はこのアキリサの赤髪よ!」
「いいえ!違うわ!最も美しい赤髪はあたしの髪の毛よ!」
「なに言ってるのよ!あなたたちの薄汚い髪の毛なんて、私の真っ赤な美髪の足元にも及ばないわ!」
「いいえ!わたくしの赤髪こそ特別で最も素晴らしい赤髪ですの!」
「赤髪で美しい髪なのは私だけよ!だって私の髪は史上最も美しい髪なんだから!」
赤髪の美女たちは喧嘩を始めた。秀一は懲りない美女たちを懲らしめようと美女たち全員に妖術を掛けた。
「私の誇りの赤髪を侮辱するなんて許せないんだから!!!」
「そっちこそ許せないわ!」
「ゆるせないのはあなた達の方です!」
美女たちは怒りの炎に燃えていた。
「怒りに燃えているな。」
「当然よ!私が誰よりも美しい美貌と美髪の持ち主なんだから!」
「いいえ!私です!」
「わたくしですわ!」
「あたしよ!」
「アキリサよ!」
「……。本当に燃えているぜ。」
「「「「「「「「え?あら?」」」」」」」」
そんな怒りの炎が美女たちの髪に引火したのだった。
「「「「「「「「きゃああああ!!また燃えてる!また燃えてる!!!」」」」」」」」
美女たちは走り回ったが、美女たちの髪の毛は毛根まで真っ白に燃え尽きてしまった。
「「「「「「「「命より大切な赤髪があああ!せっかく苦労して元に戻したのにぃ……。毛根まで燃え尽きちゃうなんて………」」」」」」」」
美女たちはショックで気絶してしまった。秀一が気絶した美女たちを叩き起こす。
「起きろ!」
「私の赤髪が…あら?夢?」
「私の髪の毛が燃え尽きてない!?」
「よかった!あたしの赤髪は無事だわ!」
秀一は妖術を使って美女たちに髪が毛根まで燃え尽きる幻を見せていたのだった。
「僕の超能力を使って幻術を見せたのさ。これに懲りたら少しは仲良くしろよ。」
「「「「「「「「はーい。」」」」」」」」
美女たち、猛省ッ!しかし、美女たち仲が良くなることは無いのであった。