167章 ゲートフリーター
秀一はチェリーの元を訪ねた。
「何を広げているんだ?」
「『ゲートフリーター』っていうTCGよ!」
「どんなカードゲームなんだ?」
「地っち店長が開発したカードゲームよ!」
「地っち店長と言えば『王道ビート』で有名な?」
「そう!カードエンパイアの創設者でもあるその地っち店長よ!」
「どんなカードゲームなんだ?」
「ふふふ!それはひみつ!」
ガン!!!
秀一はチェリーの顔面にタライを落とした。
「歯ブラシ!」
「言う気になったか?」
「言う言う!だから顔は止めて!顔は!」
「どんなゲームなんだ?」
「プレイヤーごとに色んなルールで対戦できるカードゲームよ!TCG界の異種格闘技みたいなカードゲームね。」
「それは言って見れば『遊戯帝』と『デュエルミスターズ』で戦えるって事か?」
「イメージとしては近いわね!」
チェリーはどや顔でそう言った。
ガン!!!
秀一はまたチェリーの顔面にタライを落とした。
「酢昆布!」
チェリーは顔を押さえながら嘆いた。
「ちゃんと説明してるのにぃ~!」
「顔がむかついたから。」
「とにかく!『フリーターGO!』の掛け声とともにお互いにセットしていたフリーターをオープンしてゲーム開始!このカードゲームはゲーム開始前に選んだフリーターと呼ばれるカードによってルールが決まるのよ!フリーターによっては手札の概念もマナの概念もないフリーターもあるのよ!」
「手札がない?!クソゲー乙!」
「そこがこのカードゲームの奥深い所よ!」
「ところでなぜプレイヤーカードの名称がフリーターなんだ?」
「地っち店長はTCGをやっているのは学生でも社会人でもないフリーターだって言ってたからよ。」
「やるだけでフリーターと思われるゲームか。」
「そう!このカードゲームを始めるとニートでもフリーターに出世できるのよ~!」
「できるかああああああああ!」
ガン!!!
秀一はまたまたチェリーの顔面にタライを落とした。
「あああん!私の美貌があああん!!」
「ところで…。」
「?」
「なんで赤い布敷いているんです?」
「プレイマットの代わりよ。このゲームのスターターセットには紙のプレマも説明書も入っていなかったから。」
「説明書まで入っていなかったのか!?」
「なんでもネットで調べればいいと思ったかららしいわ。確かに遊戯帝のストラクチャーデッキを買う度についてくるルールブックはいらないわ~って思っていたけれども。」
「第一弾のスターターセットなのにルール解説書がないってどうなんだ?」
「そうよね。ルールブックを廃止するにしても、構築済みデッキの第1弾にだけは付けておくべきだったわね。そうすれば、途中から始める初心者にも古いスターターデッキを進める理由にもなるわ。」
「確かに第1弾にだけルールブックを付けておけば古い構築済みデッキを買わせるいい商売になったのに勿体なかったな。」
「そうすれば大儲けだったかもしてないわねぇ。」
チェリーはゲス顔でそう言った。