155章 観覧車レストラン
秀一はローザの元を訪ねた。
「何を描いているんだ?」
ローザは楽しそうに絵を描いていた。
「うふふ!新しいレストランのアイディアよ~!」
「また飲食店を始める気か?」
「そうなの!」
「どれどれ。」
「名付けて『観覧車レストラン』よ~!」
「観覧車レストラン?」
「そうよ~!ゴンドラの中身が食堂になっているレストランよ!」
「ほー面白そうだな。」
「でしょー!完全個室のゴンドラの中で食事すれば最高の景色を眺めながらプライバシー空間も守れるのよー!普通の観覧車と違って料理を注文しさえすればずっと乗って居られるの!」
「なるほどぅ、なるほどぅ。でもこれってどうやって注文された料理を運ぶんだ?」
「え?」
「注文した後ゴンドラが地上から離れたら料理を運べないだろう。」
「それは気が付かなかったわ!」
「考えが浅はか過ぎるだろおおお!!」
秀一はロサの顔を引っ掻き回し、ロザの顔をつま先で蹴っ飛ばし、ロザの顔をスパイクで踏み、ロザの顔にかかと落としを食らわせた。
「ああん!私の美貌があああ!!」
「全く!」
「じゃあこんなのはどう?注文品が届くまで待合室で待って貰って、食事を運ぶのと同時にゴンドラの中に乗せるの!これなら問題ないでしょう?」
「追加注文したい時はどうするんだ?どうやって追加注文された料理をゴンドラに届けるんだ?」
「それはその…。」
「またそこまで考えて居ないか?」
「えーと…その…。そうだわ!追加注文はタブレットで受け付けてゴンドラが地上に戻ってきた時に注文を届けるようにすれば良いわ!」
「都合よくゴンドラが下に居るタイミングに合わせて調理できるのか?そんな短時間に配膳と食器下げが間に合うのか?それにお客さんがトイレに行きたくなった時はどうするんだ?下まで戻らないとトイレにいけないし、トイレから戻るのにもゴンドラが下りるのも待たなければならない。それにお客さんが帰った後の清掃も大変だ。清掃後にゴンドラが下に下るまで大幅なタイムロスがある。そんな非効率的なレストランが本当に実現可能なのか?」
「そ、それは…。」
「思慮が無さすぎるだろおおおおおおおお!!!」
「きゃああああああああああああああ!!!」
ローザは電撃を浴びせられた。
「良いアイディアだと思ったのにぃ!」
「そんなアイディアじゃ融資して貰えないよ!」
人生はそんなに甘くはないのであった。