138章 ゴーストライター
秀一はロザの元を訪ねた。
「神主さん!ちょうどいい所に来たわね!」
「おぅ?!なんだ?」
「新作の小説を書いてみたの!読んでみてちょうだい!」
「もー。しょうがないなぁ。」
数十分後。
「うん。まぁ全然面白くないね。」
「ええ!?どこがぁ!?」
「ありがちな設定だし、特にキャラが薄くてつまらないのが致命的。ギャグとバトルの詰まらなさや分かりにくさ・説明の多さ、滅茶苦茶駄目な部分ばかりで良い所が一つもねえ!」
「そんな!『私は天才だわ~!』って書いている時に思ったのにぃ!」
「ボツだね。」
秀一は原稿用紙を投げ捨てて部屋に戻ろうとした。
「待って!明日まで!明日までお待ちください!明日もう一回見て下さい!書き直しますから!」
「え?明日?書けるのか今から10万字!?」
「明日の夜12時ギリギリまであれば間に合うわ!」
「それ実質明後日だよね?」
「なら、明日の夜の11時が締め切りで!」
「そこまで言うなら…。」
次の日。
「23時16分。遅刻だぞ。」
「ギリギリまで頑張ったので…。とにかく読んでみて!」
数十分後。
「相変わらず空っぽだなこの小説。何も詰まっていないよ」
「そ!そんなぁ!」
「逆にお前はこれのどこが面白いと思ったんだ?」
「キャラが薄くてつまらないって言われたからキャラをこれでもかってくらい個性的にしたのよ!」
「こんなん全員よくいるキャラだよ。なろう小説で53万回はみたよこんなキャラ。既視感が強い個性はむしろボツ個性。」
「週刊少年ジャックのライバルキャラや主人公なんて既視感バリバリのキャラばっかりじゃないですか!」
「確かにWJの人気作の主人公やライバルは共通点が多い。それはストーリーや設定が良いから許されているだけだよ。それにある程度似通っていながらもその作品のキャラでしかない差別化はきちんとなされている。こんなオリジナリティのないキャラしか作れないんだったら、大人しく二次創作でもしていれば?」
「それは、表の社会に出るなてこと?」
「趣味の範囲でやれって話ね。飽くまで。」
「それでも…私が書きたいのは私が楽しめるような小説なんです…!」
「なんじゃそらー!!!」
秀一はロザをフルボッコにした。
「いたたたたた…。」
「突貫工事で書いても面白くなるはずがない。2ヶ月間待ってやる。2ヶ月で最高傑作を仕上げてこい!」
「はい!分かりました!」
2か月後。
「約束の日よね…?」
「本当に2ヶ月間目一杯かけてきたね。」
「ええ。まぁ…。」
「2ヶ月ずっと書いていたのか?」
「いいえ。プロットを練り始めたのは20日ほど前からで…。あ!」
ついぽろっと本音を漏らしてしまった。
「って事はそれ以外の時間は、岸八先生みたいに色々と吸収してくれたんだな?40日もあっただし。聞かせてくれよーその40日間で何をしたのか。」
「…………メ………メダカのタマゴを孵化させていたわ…。」
「スカポンタン!!!!」
秀一はロザの顔面を岩壁に押し当てながら引きずり続けた。
「あああん!私の美貌がああ!!!」
「自業自得だな。」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
その夜。ロザはぐっすり寝ていた。
チーン!!!
ロザの部屋の電子レンジに雷が落ちた。その衝撃でロザは目を覚ました。
「大変だわ!電子レンジが真っ黒こげ!」
ロザは電子レンジを恐る恐る開けてみた。
「ここ…これは!?1000年後の週刊少年ジャック!?しかも50冊も!」
ロザは良からぬことを思いついてしまう。
(この新連載面白いわ!50週も連載が続いて居るのにまだまだ終わる気配もないし!これを盗作して小説したら面白くなるかも…!!!)
「いいえ!ゴーストライターなんて絶対に行けないわ!」
その時目が覚めた。
「なんだ夢だったのね…でも例え夢の中でも盗作しなかったのは偉いわ!盗作なんて絶対にやったちゃいけない事だものね!」
それを陰でこっそり見ていたのは秀一であった。
(偉いぞロザ。少なくとも作家魂は本物である事が証明されたぞ!)
実は秀一が妖術で夢を見せてロザを試したのであった。
(がんばれよロザ!)