137章 サムサイ8
秀一はロサの元を訪ねた。
「何だ。漫画を読んでいたのか。」
「ええ!そうですわ!すっごく面白い漫画ですの!」
「何の漫画を読んでいるんだ?」
「『サムサイ8』ですの!あの『メンマ疾風伝』の岸八先生の新作ですの!」
「岸八先生って、あの岸八先生か!?」
「そうですわ!」
「『メンマ疾風伝』、通称『綿湿布』の作者…。それならさぞ面白いんだろうなぁ。」
「勿論ですわ!メンマ疾風伝のノウハウが全部詰め込まれた漫画ですわ!」
「ほぉ。どんな漫画なんだ?」
「和物SFですの!この漫画はSFアニメ映画『AKIRAME』の監房での主人公たちの会話シーンがヒントになってって作られたんですの!」
「そりゃあ凄い!なら面白いはずだ!」
「色んな作品を吸収するのはアーティストには欠かせない事ですものね!」
「『AKIRA』を見たのに何も学ばなかった奴。」
秀一は作者を指さした。
「それだけでなく、登場人物は『ヒトラえもん』のキャラがベースになっているんですの!」
「『ドラえもん』を見たのに何も学ばなかった奴。」
秀一は作者を指さした。
「それも『ヒトラえもん』のキャラをただ真似だけですとただのパクりですけれど、『ヒトラえもん』のキャラをただ模倣するのではなく、キャラのイメージとキャラの性格を“ズラす”って言うテクニックを使う事で完全なオリジナルキャラにしているんですの!」
「成程、いわゆるギャップってやつか。」
「『イッ卜』って映画を分析してキャラを“ズラす”事の面白さを吸収されたんですの!」
「『IT』を見たのに何も学ばなかった奴。」
何度もこっちを指さすな!
「『白金魂』の後ろを付いて行く漫画ですの!」
「そうか!『白金魂』がまさしく“和物”で“SF”だったな!」
「5巻完結っていう短い連載でしたけれど、メンマ疾風伝のノウハウが全部詰め込まれていて、順当に行ったのでメンマ疾風伝を越える面白さになりましたの!」
「なるほど、量より質か。」
「ちなみに、わたくしは『AKIRAME』も『ヒトラえもん』も『イッ卜』も見たことありませんけれど!」
「見とけやボケェ!!!」
秀一はロサの顔を日本刀で切り裂いた。
「いやあああ!!わたくしの美しい顔があああ!!!」
「岸八先生の次回作も楽しみだなぁ!」