131章 ラーメン屋
秀一はローザの元を訪ねてみた。
「いい香りだな。ラーメンか?」
「そうなの!ラーメン屋さんを目指そうかと思って!」
「本当か!?」
「名付けて『100円ラーメン均一』よ!ラーメン全品100円よ!」
「正気か!?そんな値段でラーメンを作って採算がとれるのか!?」
「うふふ!秘策があるのよ!」
「なに!?どんな!?」
「それは後でのお楽しみ!うふ!」
「ほぉ!」
「お願いがあるの!ラーメン屋さんの練習に付き合ってくれない?」
「ラーメン屋さんごっこか!良いだろう!それが職業訓練になるのなら!」
「じゃあ私がお客さんね!」
「何でお前がお客やねん!!!」
秀一はローザ顔面をあっつあつのラーメンに付けた。
「きゃああ!!熱い!熱い!熱い!熱い!熱い!熱い!!!」
「僕がお客をやろう。」
「それでお願いするわ。」
「ガラガラ―。」
「お客さん、うち自動ドアなんですけど?」
「最近のラーメン屋はハイテク!時を戻そう。」
秀一は時間を捲き戻した。
「ウィーーン!」
「お客さん、うちの自動ドア回転式なんですけれど?」
「気密性と省エネを重視したラーメン屋ならそれもありうる!時を戻そう!」
秀一は時間を捲き戻した。
「ラーメン下さい~!」
「いらっしゃいませ!メニューをどうぞ!」
「おお!メニューまで作ってあるのか!本格的だな!ラーメンは全部1杯100円か!」
「ただし、お一人様1杯限りです。」
「味噌ラーメンも醤油ラーメンも塩ラーメンも勿論、その他色々あって全部でメニューは30種類近くもあるのか!じゃあここはオーソドックスに塩ラーメンで!」
「はい!かしこまりました!」
ローザはお冷とメンマとチャーシューのキムチを出した。
「これは?」
「お通しです。」
数分後、ローザはラーメンを持ってきた。
「お待ちどう様です!」
「ん?なんだ?このラーメンチャーシューが入っていないのか?」
「お楽しみはこれからよ~!」
ローサは星型のチャーシューを投げた!
「流れ星~!」
チャーシューは弧を描くようにラーメンの中に落下した。
「こういうサービスよ!」
「なるほど汁が飛び散らない様に淵に反しがついたどんぶりになっているのはそのためか。少し食べにくいが演出重視ならアリかも知れないな。いただきまーす!」
秀一はラーメンを一口食べてみた。
「びやああ!うまい!」
「でしょ!」
「一味違うなぁ!癖になる旨さだ!」
「これでリピーター続出よ~!口コミでも間違いなくバズるわ!」
秀一はあっという間にラーメンを食べ尽くした。
「ごちそうさまでした!じゃあお会計頼む。」
「はい、1100円になります。」
「ええ!?100円じゃなかったのか!?」
「はい。レシートです。内訳が書いてあります。」
レシートには以下の内容で書かれていた。
塩ラーメン 100円
お通し 300円
お水 300円
チャージ代 200円
サービス料 200円
「なんだよ!?チャージ料とお通し代両方取る店なんて普通殆どないぞ!?」
「他人は他人。うちはうちよ!」
「それに、水だけで300円もとるのかよ!?」
「当然よ!良い水使っているんだもの!某カリスマシェフが800円で提供しているお水と同じ水なのよ!300円でもむしろ良心的だわ!アクアパソナって言うブランド水ですもの!」
「お前が言っていた秘策ってこれか!?」
「そうよ~!100円でお客さんを大量に釣ってたんまり貰うの!まさにエビで鯛を釣るようなものね!」
「こんなぼったくり初見しか来なくなるだろうが!!!」
バリバリバリバリ!!!
秀一はローザの顔を満遍なく引っ掻き回した。
「いやああ!ラーメン屋の命の顔があああ!!!」
「顔は関係ないだろ!」
「でもこのお値段でもリピートしてくれる美味しさだって自信があるのよね。」
「確かにな。お通し200円・お水200円・チャージ代150円・サービス料150円くらいだったら1杯100円で騙されたお客をリピーターにできるくらいの美味しさかもな。」
「味に自信があるからこその秘策よ!」
良いアイディアだと思うので、味に自信がある方は100円ラーメン均一を起業してみては?!
ちなみにローザはラーメンを大量に作る熱気と体力不足に負け、ラーメン屋になる事に挫折するのであった。