125章 スピンオフ
秀一はロザの元を訪ねた。
「珍しく小説じゃなく漫画を読んでいるんだな。」
「そうよ!これすっごく面白いの!」
「どんな漫画なんだ?」
「『一日外出録 ハンチョウ膝』よ!反張膝でデイトレーダーのひきこもりが1ヶ月に1回だけ外出して外の世界を満喫する様を描いたスピンオフ漫画よ!」
「ふーん。」
「基本的には飯テロ漫画なのよ。」
「と言うと?」
「『センタッキ―』にフライドチキンを食べに行ったり、『バタフライバーガー』と『マクドナルドダック』と『ウェンデイズ』のハンバーガーを食べ比べしたりしているのよ!」
「成程な。しかし、スピンオフか…。」
「?」
「最近の漫画やアニメは、利益を上げなきゃならんからと言って比較的安定して売れやすい安易なスピンオフ作品なぞに走りがち!」
「そうだけれど…。面白ければいいのよ面白ければ。」
「このハンチョウ膝だって本来はギャンブル漫画のキャラクター。なのにスピンオフはギャンブルと一切関係がない。」
「スピンオフってそういうものでしょう?」
「いや、基本パラレルなスピンオフもあれば、本編に組み込まれても殆ど問題ないスピンオフもある。」
「スピンオフから逆輸入される設定やキャラもいるわん。」
「スピンオフだからと言ってあまりに別キャラにしすぎるとそれはそのキャラである必要がない。もはやそれは、そのキャラクターのコスプレをした精神異常者だ!」
「『野原数多 朝飯の奥義』とかそうね。でも私は好きよ。そういうの。」
「じゃあ、お前も何かのスピンオフ小説を書いてみたらどうだ?」
「それはちょっと…。」
「なんでだー!!!」
秀一はロザの顔を何べんも何べんも引っ掻き回し顔中万遍なく傷だらけにして蹴り飛ばした。
「酷いわ酷いわ顔に!」
「スピンオフのご利用は計画的に。」