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ひきこもり娘たちの更生員4  作者: 日本のスターリン
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118章 髪切り虫

 秀一はチェリーと2人で近所の廃墟を散歩していた。


「人と出会わなくても外に出るだけで、ひきこもりから早津行する訓練になる。」


 そう言いながら秀一はチェリーと手を繋いで歩いていた。


ズボ!


「きゃあああああ!!!!」


 チェリーの歩いている床が抜けてしまった!チェリーの手はすり抜けてそのまま地下まで落下してしまった。


 ドシーン!!!

 チェリーは顔面から地面に激突した。


「大丈夫かチェリー!今行くぞ!!!」


 秀一は地下に向かって跳び降りた!そして、起き上がったチェリーの顔面に着地した。


「いやあああん!!!」

「悪い悪い!」

「そこに居るのは誰だ?!」


 何者かが地下の陰から声を発した。


「む!妖気!…。人に名を訪ねる時は自分から名乗るのが礼儀だぜ!」


シーン…。


 しかし、反応は無かった。秀一は声がした方の暗闇に様子を伺いに行った。

 その時…!


「きゃああああああああああ!!!助けてえええええ!!!」


 なんと、チェリーが何者かに捕まってしまった!その人物は先ほどの声の主である。


「ほほぉ~!長くて綺麗で切り心地の良さそうな髪の毛だなぁ…。」


 その人物は、チェリーの髪の毛の毛先に巨大なハサミを向けていた。


「いやあああああああああ!止めて!切らないでええええ!!」

「そうか!お前の正体が分かったぞ!お前は、髪切り虫だな!」

「ご明察!」


 そう言うと髪切り虫は、チェリーのドリルヘアの髪の毛を解き、チェリーの毛先のハサミを毛元近くに移し替えた。


「この綺麗で長い長い髪の毛を肩からバッサリと斬り落としてやろうか?」

「いやああああ!!!止めてえええええええええ!お願いいいい!!!この長い綺麗な髪の毛は命より大切なのよ~~~!!」


 チェリーは泣きながら髪切り虫に懇願した。しかし、髪切り虫は首元の長い後ろ髪を挟みの刃でロックオンした。髪切り虫は大きく開いたハサミの刃を少しずつ閉じていった。


「いやあ!お願い!切らないでええ!!なんでもするから!髪だけはやめてええええ!!!」

「だが、断る!ふふはは!長い髪を無理やり切られる時に人はもっとも美しい表情をする!長い髪を無理やり切られる時の恐怖に満ちたこの顔が最高に溜まらないぜ!」

「いやあああ!お願いします!切らないで!この赤髪はずっと大切に伸ばしてきた努力の結晶なの!だから切らないでええ!」

「これだけ長い髪の毛はさぞ切り甲斐がありそうだな!ここまで長い髪の毛を切るのは初めてだ!」


 チェリーは必死に泣き喚いた。しかし、髪切り虫はチェリーの悲痛な反応に満足しながら、ハサミの刃をさらに閉じていった。そして、ハサミの刃先がチェリーの髪の毛に触れそうになったその時…!


「やめろおおおおおおおおおおお!!!」


 秀一はチェリーの顔目掛けてウルツァイト窒化ホウ素でできたモヤっとボールをチェリーの顔面に投げつけていた!モヤっとボールはチェリーの顔面に激突した。その勢いで、チェリーは吹っ飛んでしまった。

 チェリーが吹っ飛ばされたため髪切り虫の巨大なハサミからチェリーの髪の毛が抜け出してしまった。髪切り虫は突然起きた予想外の事態に焦っている。


「パワーアップした僕の裁きのいかずちを受けよ!1000ごくボルト!!!!」


 秀一が放った雷は髪切り虫のハサミに引き寄せられ、髪切り虫に直撃した。髪切り虫は一瞬で消滅してしまった。


「ふう。忌々しい野郎だったぜ。」

「あーん!私の綺麗な髪の毛を引き立てる綺麗な顔があああん!」


 吹っ飛ばされていたチェリーは、顔を覆いながら起き上がった。


「顔の傷はすぐ治る。しかし、長い髪は一度切ると元に戻るまで長い長い時間がかかるからな。」

「ふふふ!その通りね!助けてくれてありがとう!」

「どういたしまして。」

「悪い妖怪を倒した記念に花火をやりましょう!」


 チェリーは数本の手持ち花火を差し出した。


「一緒にやろうと思って、持ってきていたの!」

「でもバケツに水をくまなきゃ花火はできないよ。ここにはバケツも水もないじゃないか」

「固い事言わないの!堅物なんだから!」


 そういうとチェリーは花火に火を着けた。その瞬間!花火は勢いよく暴発した。

 そして、暴発した炎はチェリーの赤髪の毛先に燃え広がった。


「きゃあああ!!!私の赤髪ぃいいいいい!!!命より大切な赤い髪があああああああああああ!!!!」


 チェリーは必死に走り回った。しかし、燃え盛る炎は無情にもチェリーの大事な髪の毛を焼き払っていった。


「いやあああ!!!あついあついあついあついあつい!!!赤髪があああ!赤髪がああああ!!私のサラサラヘアーがあああ!!!私のツヤツヤヘアーがああああ!!!」


 チェリーは必死に走り回り続けたが、チェリーの髪の毛の炎はどんどん大きくなっていくばかりであった。

 それからしばらく走り続けた後、チェリーの髪の毛は炎滅し、その炎と共に消えた。


「あああん!せっかく切らずに済んだのにぃ!髪切り虫から必死に守った私の髪がぁ……。毛根がぁ…、頭皮がぁ…。」


 チェリーは髪の毛が毛根から毛穴まで全て焼き払われたショックでショック死してしまった。


「だから花火をやる時はバケツに水を入れてやらなきゃ駄目だと言ったのに。」


 秀一はチェリーを電気ショックで心肺蘇生した。チェリーは生き返ったが気を失ったままだった。


「せっかく髪の毛を守ってやったのに…。」


 大切に手入れしてきた努力も髪切り虫から髪を守った苦労も全て水の泡になってしまうのであった。


「僕の幼術でも元に戻せないぞ。」

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