表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

うちゅう人の独り言 隣の芝は、青く見える

変わったモノの見かた、心理的に今措かれている状況より、すぐ隣にある、中々行く事の出来ないものが、素晴らしいモノに見えて来る事があります。


 隣の家って、気に成りますよね、偶に。

 誰が、住んでいるのだろうとか、庭の手入れの仕方とか、あっちの方が、日当たりが良いのではとか、不思議な事に、比較してしまうのです。自分の家の方が、優れているとかもね。

 

 「おとうちゃん、今、帰ってきたよ。」上がりぶちに腰かけて、手拭いを頭から取り外して、家の中をのぞく。

 「今日は、何とれた?」と、おとうちゃん。

 「おとこひとり、おんなのこどもひとり、こっちとあっぢのちゅうかんで、ひろてきた」

 「おとこは、外で、あらってから、うちにいれろな、こどもは、ちいさいのけ?」

 「まぁ、まだ、かあちゃんほどおおきくない。」

 「かあちゃんほどおおきかったら、おとなだべ。」

 「それもそうだ。」と、あたい。

 「だいたい、12周期しゅうきぐらいだなぁ」

 「12周期かぁ、まだそだてねど、だめだなぁ」と、おとうちゃん。

 「んだね」と、あたい。

 「おとこ、あらったよぉ」と、かあちゃんのこえ。

 「んだらば、よくふいてから、こっちさいれろ」と、おとうちゃん。

 「とうちゃん、なにさつかうのや、あたいのものにしてもいいのか。」と、あたい。

 「まぁ、それでもいいげどよぉ、まんず、しなさだめしてがらったな。」

 「かあちゃんも、よぐみろや」大判のタオルの真ん中に穴をあけて、頭を出して腰の所で紐で結ぶ。

 「こっぢさこい、じぶんで、あるげっぺ」ちょっと、なまってきたおとうちゃん。

 「おとうちゃん、なまってきたよ、わかりにくいよ、はなしかた。」

 「あ、わりがった、なおす。」と、おとうちゃん、「おんめも、すっごすなまってるぞ」

 「わがったなおす。」と、あたい。 

 「で、ひろって来てしまいましたけど、何で、あんな所で、ぼろぼろに為っていたのですか。」

 『ここは、何所どこ焦点しょうてんの合っていない眼をした、おとこの人。

 「はなし、わがらねが。」「とうちゃん、また、なまってる。」「いいべした、このぐらい。」

 「言葉判らないのかな」と、かあちゃん

 「そんなはずないよ、「たすけて、たすけて…」って、いっでたもの」と、あたい。

 『むすめは、どこだ』われに返って、あたりを見渡す。

 「むすめっこは、そっちで、介抱中かいほうちゅうだぁ。」

 「あのままでは、しんでしまうとおもったので、消毒して寝台しんだいせているよ。」

 『あっ、ありがとうございます。』涙をこぼしながら、頭を下げる。

 「そいで、なして、あそごにたおれでいたのですか?」

 「おとうちゃん、ことばすこしへん。」

 「やっぱり、なまっていねど、わがんねな。」

 「まぁ、それがおとうちゃんのいいところだもの。」と、おかあちゃん、ほほに手を当てにっこり。

 『少々の訛りでしたら、私にも娘にも分かりますので、大丈夫です。』

 「そりゃいがった、しばらぐこごさいっどいいべ。」と、おとうちゃん。

 「そうですよ、むすめさんもおちついてきたようですし。」と、おかあちゃん。

 「そのうち、きがつくでしょうけど、そのまえに、どうしてあそこにうずくまって居たのですか」と、あたい。

 「そうせかしても、なにがなんだかわからないでしょうから、おちついてから、おはなしききましょうね」と、おかあちゃん。

 むすめのおやが、滔々(とうとう)と、はなしだす。

 『すみません、此処ここって、何処どこなんですか?』

 『わたしたちの時代じだいでもいようですし』 

 『まさか、詩語しごの世界とか』 

 『たしかに、うた沢山たくさん作りましたが、ひとつもれませんでした。』

 『妻と娘と暮らしておりましたが、病気で妻に先立たれ』

 『娘と二人で暮らしておりましたが、収入は無く、食べる物も無くなって、家は、人手に渡り。』

 『ヤマに入れば、何か食べる物が、有るのではないかと思い、入山致しました。』

 「おやま?」と、あたいは、首をかしげる。

 「どこだそれ?」と、おとうちゃん、胡坐あぐらをかきながら首をかしげる。

 「ここは、とうげんきょう、ここは、ひとのすむばしょじゃないところですよ。」と、おかあちゃん

 『えっ、それじゃ、異界いかいの地、御ヤマに入った時、モヤッとした所をくぐったら、急に体がだるくなって、大きないのししの様なモノに突かれ、娘を守りながら、めぐっておりましたが、それが、精霊様せいれいさまのご寝所しんじょ

 『申し訳ありません、大それた事をしてしまいました。』畳に潜り込む様な勢いで、頭をり付ける土下座。

 「まぁ、そうゆうことであれば、しょうがないか」と、あたいは、頭をかきながら戸口に手をかける。

 「おとうちゃん、しばらく、ここで静養せいようしていただきましょう」と、おかあちゃん。

 「んだな、めったにひどこねものな、かあちゃんのきょかもでだし、しばらぐいろや。」と、おとうちゃん。

 『ありがとう、ございます。』土下座のままこたえる、むすめのおや

 「おぼこは、こっぢで、あづかっでもいいぞ」と、おとうちゃん。

 「こどものは、あたいたちのえいようになるしね。」と、あたい。

 『しばらくの間、あづかって頂けるのであれば、その間、狩りのお手伝いさせて頂きます。』

 「かりっいうか、とちみだな。」あたいが言って、おとこに装備品を与える為に納屋に連れて行く。

 「ひとのおどご、つづっでって、だいじょぶがぁ」と、おとうちゃん。

 おとこを置いて、急いで戻ってくる、あたし。

 「むすめのおっかあいねど、こまっぺ、いまのうちに、おしえでおいて、ここで、ものにしねど。」

 「むがさりのはなしがぁ、どっちにしろ、ここさいっど、精霊化せいれいかしてしまうからね。」

 「かあちゃん、はなしわかっごど、むすめっこさ、お母さんほしいからね。」

 「なに、あのおどこさ、きめだのが」おとうちゃん、胡坐あぐら組み直して

 「ひろってきたとき、おとうちゃんもおかあちゃんも、そんなこといってたべ。」

 ひざひじせて、手にあごせた状態じょうたいで、

 「んだってもよ、こげなどこでよ」

 「そうですよ、おとうちゃん、ここで、きめないと、カスミ様のいいなりになってしまいますからね。」

 「んだってもよ、そっちのほうがいいぐねえがぁ」

 「カスミ様は、いやなの、人のおとこがいいの、今回は、偶然みつけたから」話をしているうちに、容姿が変わっていく、段々、色が着いてくる。

 「山神やまがみ【大猪様】さまからもらってたんだし、おとこの人がいの」と、私。

 「あれっ、おま、いろが、つきはじめたぞ」いぶかしむ、おとうちゃん。

 「いろ?」だいぶ、普通の人のように、色が着いているまるで、水墨画すいぼくがから人が抜き出たように

 「いろがつきはじめると、ひと化するんですよ。」

 「人化ひとか?すると、人と子供が作れるよね。」と、私、少し顔を赤らめながら。

 「んだがら、ひとになっでも、おとこのほうが、せいれいになったらできねべ」と、おとうちゃん。

 「ああ”っ」、「んだね、まずいは、これ、どないしよ、おとうちゃん、おかあちゃん」

 「カスミ様のどごさ、いがねど、なおんねのたな。」

 「もとのもくあみってが」がぁ~ん、と云う顔をしている。

 「おとこのひともいっしょにつれていけば、いいでないの」

 「さすが、かあちゃん、年のとしのこうだね。」と、私。

 「ほめらっだんだが、けなさっだんだが、わがらねな。」

 「すなおにほめました。」にっこりほほえむ、私。

 そこに、くだんのおとこのひとが、はいってきました。

 『シタクできました。」色がうすれて、精霊化せいれいかが、はげしい。

 『ドコにいきますか?」あしもとはわらんだ深靴ふかぐつすねには、脚絆きゃはんあしまもります。

 こしには、〆しめなわたばさかき数本すうほん

 かたからこしまでおおみの羽織はおり肩からひじまで、うす布で、おおい、肘から手首てくびまで、長めの甲当こうあて【今はまだ藁色わらいろ】を両腕りょううで装備そうび

 「いやぁ、とち見に行くつもりだったんだけどね』と、私。

 「そのまえに、カスミ様にご挨拶に行かなきゃならなくなっちゃったんだ、てへっ』罰悪そうに、左手で、軽くグーを握って、自分の頭をこつんとたたく、私。

 『カスミ様?」

 「このとちのおまもりさまで、しゆうどうたいなのですが、これ(私)さ、とついでこいって、いってきているのよ。」と、おかあちゃん、私のあたまをかかえて、指差ゆびさす。

 「りょうえんですか、おめでとうございます。」と、むすめのおや

 「で、なくて、私は、とつぎたくないの」頭をかあちゃんの腕から外して、むすめのおやにむきあう

 「そうなんですか、ほかによいえんでもあるのですか?」と、むすめのおや

 「りょうえんて、いうか、あんたをみつけたとき、ホッて、むねのおくが、あたたかくなったの、だから、あんたが、いいの」もじもじしながら、上目づかいで、むすめのおやを見つめる。

 「わたしは、まだ、妻の事が、忘れられません、それでも良いのですか。」体全体に色が着き始める、何か心に思いを出して、吐き出すと、色が着くようだ。

 「それでも、いいの、あたしもあんたの事を忘れらんねぐなったから。」髪の毛が、黒くなってきた。

 「まぁまぁ、それぐらいにして、カスミ様さ、とりあえずほうこくにいってきな。」

 「んだなぁ、はやぐいがねど、こっちゃくっかもしんねぞ。」と、おとうちゃん。

 「わがった、いまいってくる、あんたもいっしょにきてけろ。」おとこの手を取り、走り出す。


 「もうすこし、ゆっくりはしって、くださいませんか。」いきれしている。

 「もう一寸ちょっとだから、辛抱しんぼうして。」手をつかんだまま、走り続ける。

 

 「とりあえず、此処ここまで来た、この階段登った処に、御社があるのよ。」大きな鳥居の下まで来て、小休止。

 「此の階段、駆け上がるから、用意して」え”って、顔をしている、おとこのひと、「この急な登り梯子はしごの様な石畳いしだたみをかけあがるぅ~」上を見て、色が点いたり消えたり、ふらふらしている。  

 「なんでもなかったべ」ケロッとして、御社の前に居る。

 「でしたね、なんだったのでしょう。」一段目を上がったら、ふわっとしたあの感覚、気づいたら、登り切っていた。

 「ここが、カスミ様のお社」「へぇーっ、時代を感じさせる、立派なものですね。」

 『人から、褒められるのも、悪くはないな』

 「カスミ様、おひさしぶりです。」

 『色まで、付いて、おとこづれ、今までの返事の事ではないね。』

 「はい、申し訳ありません」平伏する。

 「私が、来てしまった事による、罰則は、私が受けますので、どうか、むすめと精霊様には手を上げないで下さいませんか。」

 『別に、責めたりは、しないよ、娘さんもいるのか、此処には居ない様だが、どうした。』

 「はい、娘は、まだ一人では、立つ事も出来ない状態ですので、精霊様のご寝所に寝かして来ました。」

 『それは、真か』じろっと、見る「あたしは、べつに何もしていませんよ。」オドオドし始める。

 『人に、精霊の寝所は毒』「えっ、如何言う事です。」「あたいたちは、別に悪い事はしていないよ、少し、生気を分けて貰うだけだから、大丈夫未だ、生気は取れないから、消耗が激しすぎて、取ってしまったら、本当に死んでしまうから、今は、未だ、介抱中のはずよ。」『よほど、可愛い子だったのかな。』「それは、もう、一度会ったら、忘れられない、珍しく精霊にすごく近い子だよ。」『はて、精霊に近い?』

 『ふむ、ふむ、もしかして、母親は、既に死去しているとか、申すのではないか。』「「はい」」

 「娘が、10に成った時いきなり、体から力や気力が抜けて、死に至る難病になりました。」

 「それって、もしかして、こちら側の女」「えっ、妻が、精霊様だったと言いたいのですか。」

 『で、在れば、娘ごをあづかっても、何も問題はない、養生して、回復ののち、顔を見せるがよい。』

 「カスミ様、それで、あたいとこっちの男の人は、くっついても、問題はないですか。」「私の話聞いていましたかぁ~。」『くっつきたいの、こども作って、こっちで育てて、ふむ・・・、まあ、ゆるそう』

 「ゆるされたぁ」「わたしのはなしぃ」『子供は、あっちで無いと作れないからね、このものの奥方と同じ事に成る様な気は、するが、大丈夫か?』「えっ、こっちじゃ産めないの」『当たり前だ、実体がないと作れないぞ、あっちで、作って、連れてくるのだな。』「むりじゃん、こっちへの帰り方わからない、おとこの人と娘さんが、通った方法は、一回こっきりしか使えないって、おかあちゃん、言ってたもの」

『そうそう、奥方の話だったな、あれは、精霊ではなく、ワシ等神側じゃ』「・・・・・・えっ」まっしろになった。『こっち側に戻ってきておるぞ、転生したから幼女じゃが、会っていくか?』「ええええええええっ、幼女、妻が、幼女、幼じぅ、よ・う・じょ」、ニマッて、笑った、「チョット気色悪い。」と、あたし。ときめきが無くなると、色が無くなる、精霊は、精霊ね。

 いとしい心も、一瞬でめる、人の変容へんよう

 



見方が、違うだけで、ほとんど変わらない、事実に気づく人は、少ない。

気づく事が出来れば、その先に進むことが、出来ます。

ちょっと、難しいですが、切り替えの時期である事には、気づくはず。

【あとは、あなたがた、ひとのこころづもりで、かんがえ、こうどうしてください。】


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ