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人間って、何?

此処に居た、此処で暮らした、でも、自分は何処に居るのだろう、迷ってマヨッテ、たどり着いた。

此処は人の国、今は、ちょっと昔、腹が減ったら、山に山菜取りに、猪や鹿や山鳥と熊を狩り。

暮らしは、まぁまぁ、貧乏って何、人との繋がりが無くなる事だよね。

人との繋がりが無くなると、家との繋がりが無くなり、孤立する、孤独と孤立は違う。

孤独は、人との繋がりが、ちょっと薄い、たまには、繋がりを持ちたいと思うが、人と話す事が苦手。

孤立は、人との繋がりが、全く無い、自分でも繋がりたく無い。


 或る所に丈夫な男がいました。

 「俺は、丈夫すぎて、怪我も病気すら逃げ出す、これで、あと試していないのが、死ぬことである。」

 そう、言うと、「まずは、首つり自殺だ、少々の事では、折れない樫の木の枝、丈夫で、切れる事のないロープ」と言いながら、裏の山へ出かけました。

 途中、クマに出くわしましたが、クマの鼻づらへ、パンチ「ズドン」、クマは、這う這うの体で、逃げて行きました。

 「あの一撃で、終わりとは、クマにも逃げられた。」何となく、クマに対して、情けないと思ってしまいました。

 クマを見送り、つぎに襲ってきたのは、スズメバチ、これも、手に持った、切れないロープを「ブンブン」振り回して、一匹残らず、退治してしまいました。「山登りの人を襲う、蜂達を屠ってしまった、、、まぁ、良い事したと言う事で、気持ちを切り替えよう。」

 ずんずん、山を登って、ちょうど樫の木林に付いた頃、先に逃げたはずのクマにまた出会った。

 クマは、「鼻は、殴らないで下さい。」と、丁寧に言いました。

 男は、「いきなり出てくるから、殴ってしまった、申し訳ない。」と、言い素直に謝った。

 「ところで、どうして、ロープを持ったまま山登りをしているのですか?」と、クマは、聞きました。

 男は、「自分の体が、丈夫すぎて、怪我も病気もしない、高い所から落ちても死ななかった。」と言い、「できれば、一度死んでみたいと思ったので、少々のことで、折れない、樫の木の枝を探していた。」と、言いました。

 クマは、「死んでしまうと、それっきりですよ、生き返らないのですよ、復活は、無いのですよ。」と、男を諭しましたが、男は、一向に聞こうとは、しませんでした。

 クマは、やや考えたのちに、「それでは、おうちに帰って、練炭自殺をしてみては、如何でしょう」と、アドバイス。「その意図は?」と、男。

 「この美しい山に、人の死骸、それも首つり死体なんて、不釣合い、誰が、あなたを地上に下ろすのですか、糞尿をまき散らし、よだれや吐しゃ物まみれの、人間を食べる、物好きは、ハエや鳥しか居ないのですよ、山の動物たちの事も考えて下さい。」と、懇切丁寧に、述べるクマ。

 「美しい山、それに惚れて、試してみたかったのだが、たしかに、自分勝手では、在ったな、すまぬ。」男は、頭を下げて、下山してゆきました。


 街場に戻り、小道具屋で、練炭を買おうとしましたが、店主が、売ってくれません。

 「何で、俺に練炭売ってくれんのだ。」と、男は、店主に掴みかかり、店主は、青く引き攣った顔で、「こんな時期に、練炭買うなんて、自殺以外に用途が無い状態で、売れるかぁ。」、「何で、自殺って分かった。」男は、驚いて、聞き返した。

 「街の者は、知っているんだよ、お前が、死にたがっている事、いや死んでみたいと思っている事、死んでも生き返る何て事は、絶体に無い。」と、店主、続けて「厭きるほど、生きてみてから考えたら良い事なのに、直ぐに試したくなる悪い癖だ。」と、語気を強めて言い放ちました。

 男は、「厭きるほど暮らす、う~ん、どの位掛かるのだろう、試してみるか。」と、言い、街の中心に向かって、大きな声で、『俺は、厭きるほど暮らしてから、考える』って、宣言して、うちに帰った。


 「さて、厭きるほど暮らすとは、言って見たものの、どうしたらよいものか。」と、腕を組んで、思案しましたが、「何にも、思いつかん、厭きるほど生きると言う事は、既に生きたと言う事ではないか。」と、自問自答し、「やはり、初志貫徹。」


 服毒自殺、【毒が効かない】軒下首つり、【足がついて、ぶら下がれない】水死【だめだ、勝手に泳いでしまう】火事【マトイを回してしまい、消防隊が、消してしまった】「西洋には、ギロチンなる物が、在る、との噂を聞き、それで、試せるのではないか。」しかし、間違って、渡米「原住民に会ってしまった。」インデアンに、縛り首にされ、馬で、引きずられる、トマホークの的にもされる、吹き矢の練習台、火あぶり、焼き鏝の実演、しかし無傷。 そして、大声で「おれは、ギロチンを試したいんだ。」と、吠える。


 しかし、インデアン達もこの異丈夫差を天が与えた英雄であると、思い、祭る事にした。

 「おまえ、インデアンの神に選ばれた、英雄、ここから立ち退くのも動くのも、禁ずる。」と言って、男を飾りたて、村の中心に祠を作り、安置した。

 安置されてから、幾星霜(かぁ~るく150年位)、周りの環境もだいぶ変わったが、未だ祀られたまま。

 男は、歳すら取らず、安置されたままの時を暮らしている。

 「そろそろ、家に帰ろうかな、言葉も覚えたし、皆とも仲良くなった様だし、世代が、変わってしまい、少し遣る瀬無い、おれも老いたかな。」ふっと、空を見上げ、口からこぼれた、人恋しいと。

 その日の夜、自分の代わりのトーテムポールに自分の飾りと衣装を着せて、『われは、天に帰る』と、言葉を残し、手こぎ船で、川を下る、途中、蒸気船に拾われ、大海に連れて行ってもらう。

 口八丁手八丁で、港の検問を素通りし、船乗りに案内され、帆船の交代要員として、航海に出る。

 「で、これは、家に帰る船だよなぁ~?」行先を聞かずに乗ってしまった。

 船体をよく見ると、タールが塗られた黒い船で、大砲もある、何に使うのかな?

 時代が、いつの間に逆行しているのか?「まさか、黒部に・・・黒船、ばかな何時の時代だよ。」

 「祀られたと言う事は、おれは、神の化身として、時間さえ飛んでしまったのだろうか。」

 思いを巡らせても、話す相手が居ない、寂しさが出る。「ほんと、歳だなぁ~。」


 

人の生き死にと、人の温かみに触れて、人との在り方(繋がり方)を学んでいく。

死を選ぶ人にナゼを投げかける。

あなたは、孤独ですか、それとも孤立ですかと。

孤独なあなたを人との繋がりのある状態に戻しましょうか。

孤立は、意固地に成り易い、此のままでは、誰にもわからない状態で、消滅してしまいます。

忘れられた人に成りたくないですよね、人間は、群れで生きる、生き物です。

身体は、ふつう、武器には弱い、【丈夫な男】の様には成りません。


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