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台風の日の告白

作者: 仙葉康大
掲載日:2017/08/07

「明日は台風が列島を横断します。暴風や洪水に気をつけましょう」


 モニターには天気図が映っている。人工知能による天気予報を聞いて、私は、告白しようと決意した。


 夜が明けないうちに計画を立てる。いつ、どこで告白するか。今まで見た映画やドラマや漫画の告白シーンを参考にして決めた結果、明日、台風が通り過ぎるとき、学校の屋上で告白することにした。校舎裏でもよかったけど、せっかく台風が来てくれるのだから、高いところで迎えよう。


 高校に登校して、誰もいない教室で朝の読書なるイベントに興じ、時間をつぶす。割れた窓から見える空は灰色で、雲は重たく渦巻いていた。


 正午になった。朝の読書をやめて、外へ出る。雑草が伸び放題のグラウンドにたたずんで、私は口を開けた。食事の時間だ。湿った風をすする。風は私の主食なのだ。今日の風は口にまとわりつく。


 雨が降り始めた。


「来た来た。ワクワク」


 私は屋上へと急いだ。


 さびついた鉄扉てっぴを開けると、天井のない空間が広がっていた。

 雨風は強まるばかりだ。遠くに見える海も波を逆立てている。びしょ濡れになりながら、私はただ待っていた。


 不意に、風が弱まった。降ってくる雨滴の数が極端に少なくなり、日差しが薄く差し始める。

 台風の目に入った。

 今だ。


「好きです。大好きですっ」


 私は地球へ向かって叫んだ。


 隣の銀河から引っ越してきて、もう五年近くになる。私が来た時には、すでに人間は滅んでいた。でも、鳥や魚は今も生きている。風だって生きている。


 告白を終え、たたずんでいると、また雨風が勢いを増してきた。台風の目はもう行ってしまったようだ。


「待ってよ」


 私は屋上のさくを乗り越え、ジャンプした。台風のお尻に飛び乗った私は、そのまま一緒に、行けるところまで行った。


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