第七話:作戦開始
美華から唐突に自身の感情を否定される虚也。
作戦開始の時が近付く中、美華は虚也に対し、彼の虚構と惑いを突きつけるのだった。
「………はぁ?」
虚也は素っ頓狂な声を上げる。
建前?何が?今の発言がか?
虚也は自分がかねてより抱いていた持論を述べたのだ。偽ってなどいないはず。
すると美華は突きつけた人差し指を上に向けくるくると回し始める。
「あたしにはわかるよ。
うっちゃん嘘つくとき、一旦テンパってから目ぇ細めてぶっきらぼうを演じるもん。
まあそれに気付いたのは割と最近なんだけど。」
「意味分からん。
別に嘘なんかついてないし、そんな仕草した覚えもねぇぞ。」
虚也が言うと、美華ははあと呆れたような顔をする。
そんな回りくどい態度に虚也が苛つき始めると、
「…ねぇ、うっちゃん。」
唐突に美華はシリアスな声音で口を開く。
そして、こう言った。
「……何を、怖がっているの?」
一瞬の沈黙。
「……は……?」
「怖いんでしょう?千尋さんが。
ううん、正確には、
『千尋さんと深い関わりを持つこと』
が。」
οοοοοοοοοοοο
夜。時間は10時30分を少しばかり過ぎた頃。
神楽町には、外れにあるホテルの玄関を静かにくぐる四つの人影があった。
それらは微かな足音さえ立てずに行軍する。
およそ30分ほどかけ、四人は市役所に到達する。そこに漂う不気味な空気は、夜だから、というだけでは決して無かった。
4人が物陰に隠れると、天仙は目を閉じ、数秒の沈黙が訪れる。
「・・・入り口に警護の魔術師が二人。それ以外は、地上には居らんな。」
「OK天仙さん。そいつらは俺が斬っておきます。」
天仙の言葉を受け、龍我が手にした二本の短刀を構え、役所の入り口へ最短距離で駆ける。
龍我の「軌道を操る程度の能力」は、他者の意識を自分の方向へ向けさせないようにすることも可能だ。
夜の闇と合わせれば、門番程度の者達に気付かれるようなことは有り得ない。
龍我の剣術を以ってすれば、そのまま二人の首筋を裂くのに1秒とかかることは無かった。
「・・・では、行こうか。」
合流後、天仙の言葉に従い、4人は暗い建物の中へと入っていくのだった。
随分久しぶりの投稿・・・待っていてくれた人などもういないでしょう、道述龍我です。
今回から魔術師掃討作戦が始まります。ここからどうつなげて行ってやろうかな・・・。