第二話:パーティ
龍我から依頼書を渡される虚也。すると二人の背後に忍び寄る影があった…。
「りゅ・う・ちゃ~~ん!!」
ばふっという音と共に龍我の背後から人型の何かが突っ込む。
150cm後半程度の身長に鮮やかな橙のボブカット。
白を基調とした明るい服装は彼女の性格を物語るようだ。
「あー、うっちゃんもいる♪なにしてんのこんなところで。」
「……喧しいぞ、もっさり太陽。」
姫月美華。
このような場所にはとことん似つかわしくない性格だが、
彼女もまた、その能力によって周囲から否定され、拒絶され、ここへ辿り着いた異能者だ。
「へーんだ。
そんなぶあいそだと彼女出来ないぞー隠キャドラゴン。」
「別にいらねぇよ。」
「…一応離れてくれないか、美華。そろそろ首がいたいんだが。」
「断~る♪」
「………。」
相変わらず美華のテンションに二人はついていけない。
「んでんで、結局何してたの?
あ、うっちゃんに依頼書渡してたのね~。」
「ああ。…っというか、何でまたこんな依頼なんだ?」
「だって結構急用そうだったし、あんまやりたそうな人いなかったから。」
「そらぁ町の組織一個潰すんだから面倒だろ。」
「へ?2~3人消せば良いんじゃないの?」
「相手は上層部なんだろ?
餓鬼一匹消すより隠すのは難しいし、事後処理も面倒だろうが。」
「そこはうっちゃんに丸投げすれば無・問・題♪」
「………(グレネードを出す)」
「ふえ~んうっちゃん怖い~!
助けて龍ちゃん!」
そんなやりとりをしていると、
「…それで、結局虚也も、依頼の受諾に賛成で良いのか。」
声のした刹那、大気が変わる。
コツ、コツ、と、ゆったりと、重厚な足音と威圧が迫る。
ソファへ現れたのは、組織内でも稀にみる覇気を纏った壮年の男性だった。
「……驚かさんでくださいよ、天仙さん。」
引きつった顔で虚也はその人物に文句を垂れる。
神薙天仙。
三人の属するパーティを率いるリーダーだ。
その実力は裏事会の現総統からでさえ信頼を寄せられる程で、
その座を受け継ぐ諸候補達の中でも特に人気の高い人物だった。
「ふん、この程度で臆するとは、まだまだ若いのぅ。」
その基準で言えば裏事会の殆どは若僧でしょうがと思うが、彼にとっては実際そうなのだから何も言えない。
「…まあ、別にいいですよ。
俺は金と居場所があれば構いませんから。」
「うっわ~やな発言。
ちょっとは町の人達の為に~、とか思わないの?」
「人の為と書いて偽りと読む。
割と有名だぞ。」
「ホントうっちゃんゲスの極みね。」
「お前みたいに楽観主義じゃ生きてけないんでな。」
「失礼しちゃうわね。
私だって色々と考えてるのよ?
今日のお夕飯何にしようかな~、とか!」
「雑草でも引っこ抜いて喰ってろ。」
「まあまあ、それだけ余裕を持って、幸せに生きられている、ということであろう。
余り目くじらを立てるでない。」
「へいへい。」
さしもの虚也も天仙には逆らえないため、大人しく引き下がる。
「それじゃあ天仙さん、ちょうど4人集まっていることですし、今回の計画もここで立てておきましょうよ。」
会話の途切れを見極め、龍我がそう切り出す。
「ふむ、確かにその方が手っ取り早いな。
2人共、よいな?」
「は~い。」
「了解。」
そうして4人は、件の土地、神楽町へと赴くのだった。
何だか投稿ペースが地味に早い気がします。普通なのかな?多分段々遅くなっていくと思います(^。^;)