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第一話:瞑想の顕幻龍

墓に着くと、早速掃除を開始する虚也。

彼の想いはやがて、「彼女」と初めて出逢った時に遡る。

「さ~って、ちゃっちゃと始めちゃいましょうかね。」


虚也は簡単なお参りを済ませると、持参した酒類を傍らに置き、掃除用具を手に取った。


人間の墓を掃除するのだから、能力は使わず、人間と同じ場所に立って掃除をする。


それが虚也の想いであり、此処へ来るのに徒歩を使った理由だ。


一年間堆積した埃や塵、生命活動の痕跡により、墓一つといえど掃除するのにはひと苦労である。


それでも機嫌良くふんふんと鼻歌を歌いながら掃除をしていく虚也。


しかしその表情は、笑いながら、楽しみながらも、どこか寂しげで、虚ろだった……。





οοοοοοοοοο





――世界裏事会(せかいりじかい)。それは、世界の裏社会を取り締まり、決して表舞台に出ることのない組織。


「魔法」や「魔術」という概念が日常の社会へ事実として流出しないよう管理する組織である。


今はもう何十年と昔、虚也が其処へ入った当時、彼は笑うことをしなかった。


笑顔の作り方も解らなかった。


特殊な能力を持つ者達の中でも、虚也と、出身を同じくする少年「道述龍我(みちのべりゅうが)」の二人は他とは異なる者とされがちだった。


龍我の方は生まれつきコミュニケーション能力も高かったのか、組織内でも煙たがられることはあまりなかったのだが。



ある時、虚也が本部のソファに座っていると、


「よお。」


龍我が隣に座ってきた。


「…んだよ。」

「依頼だ。美華の奴が拾ってきたみたいだぞ。」


そう言うと龍我は、手にしたB5程度の大きさの紙をひらひらと動かす。


世界裏事会は、基本的に4人パーティで構成されており、その活動は依頼方式で、

能力者の保護や勧誘(管理)、その行動が危険な場合は討伐などの依頼が上層部から出される。


「美華」とは、龍我・虚也の所属するパーティの紅一点である「姫月美華(きつきみか)」という少女のことである。


「…あいつか。またしょうもない奴じゃないのか?」


「さあな。一回見てみな。」


「っはん…。」


虚也は依頼書を受け取ると、内容を読み始める。


「…討伐依頼…?」


どうやらとある辺境の地に、魔術師が実質支配をする町が出来たらしい。


そこの住民は裏で非常に強く縛られているらしく、元町長の方から裏事会へ通報があったようだ。


内容は、複数人いるとされる町内会の魔術師連中の殲滅だった。


「ほう…。全く、裏方だ何だ言っておきながら、意外と此処にもこんな大規模で物騒な依頼が来るもんなんだな。」


「良いんじゃないか?元々世界の理を護り、均衡を維持するのが俺達の仕事だ。」


「均衡を維持、ねぇ…。」


体裁を整えてはいるが、やろうとしていることは自治体一つ消すことに等しい。

慈善もへったくれもありはしない。



が。


「…まあ、俺は別に給料貰えんならいいさ。」


そんなどす黒い世界の方が自分には似合いだ、と虚也は自らを嘲った。

今回、行間隔を一行分ずつあけてみました。

その方が文字同士の間も作れて見やすいかと思ったので。

ご不満がありますようであれば戻します。

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