何が俺達異世界トリップしました、だ。ふざけるな!
狭い面積の割りに大勢の人が暮らす日本の首都ーー東京
その小さな東京都の中のさらに小さなアパートの一室
清々しい朝日を遮る分厚いカーテン
ピッタリ締め切られた窓
出入りが少ないのだろうか、ドアの前には枯葉や埃が溜まっている
一見、空き家かと思わせる部屋だが、これでもちゃんと住人は居る
こんな部屋に住んでいるのは受験に勤しむ受験生か、はたまた出張ばかりの会社員か、それとも自分探しのために世界一周をしている放浪人か
見る者を想像に引き立てる部屋だが、そこに住んでいるのは受験生でも会社員でも、ましてや放浪人でもない
ーー現実は案外つまらないものである
中にいるのは黒髪黒目の典型的な日本人男子
切れ長の三白眼
ボサボサの髪
ジャージにジーパンというラフな服装
壁に掛かったままの制服
ちなみに、今日は平日の午前9時
これを見れば誰だって察しはつくだろう。
要は引きこもりである。
彼の名は月影優希。
何処にでもいる普通の学生だ。
彼の周りにはRPGもののゲームが散乱しており、今もベッドに身を預けながらゲームに没頭している。
ピコピコと電子音が鳴りそれに合わせて彼の指も巧みに動く。
「おっラスボス登場か…」
そう呟くと顔に思わず笑みが溢れる。
「しゃっ!いける!」
あと一回の攻撃で倒せる。そう思ったとき、
ーーグラリ






