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短編集

愛犬の氏。

  朝の一報にて。


  愛犬の仔’が一日中、鳴き続けるかの勢いで泣き続けている。

 鳴いて、鳴いて、声が枯れようとも鳴き続けていた。

 相当、テンパっているのだろう。淋しさ、心配、嘆き、悲しみという類の落ち着きのなさである。

  私は一旦落ち着かせようと、しばらく一緒に、そばに居てあげる事にした。

 震えが止まらない様子で、圧し殺すように呻いていて唸り続けている。

 これが動物的本能、動物の勘なのだろうか。



  愛犬が危篤状態だという知らせで、朝の靄がまぶたを粘着させている状態なのが、一気に覚めた。

 立て続けで今回で計、2匹目だ。よりによって、仔である1匹目が亡くなった日付の1週間前後であるだなんて、私はロクでもない季節だなと、迎えるは間近、我が誕生日の季節を薄ら笑いとともに皮肉や自嘲を含めて苦節の笑みをこぼす。

 苦節よりか空節なのかわからぬ静寂が寒さの重みのように冷気と共に溜まっていって、寒さが身に染みる思い。

 身体が弱っていると人間や動物は皆、寒さにヤラれちゃうんだろうね。そのままポックリ逝っちまう。



  仔から伝わってくるものは私ですら、死期が近づいているのだろうなということが感じずにはいられないものが伝わる。あまりにも不自然なサインだ。

 極度に心配そうだったが、しばらくすると仔は私の近くにずっと寄り添うようにしている。

 安心したのか、寝息を立てて、ぐっすりとしている。彼も老犬の身だ、無理もない。

 鳴き疲れたのだろう。


  愛犬の容体は、午後頃に伝えますとの事だと言う。

 「危篤状態」と言っていたのだから、今夜が山だということなのだろうな・・・。

 そして今の私には祈る事の他、ないのでしょう。



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